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私的映画録…「女帝[エンペラー]」 2007年 [映画感想文]

あちこちでいろいろな文章を書いたり、本を出したり、セミナーで話したり、Web関連を中心としたPRのディレクションをしたり、音楽作品を出したり、アーティスト紹介サイトの運営をしたり、うさぎの動画を作ったり…なんてことをしているけれど、そのどこでも書けていない、これまでに観た映画等の感想でも書いておこうかと書き始めた第199弾。

今回は、おそらくは五代十国時代(唐の滅亡から北宋成立までの間すね)頃の中国の一王朝での宮廷権力争奪物語を描いた作品「女帝[エンペラー]」のお話。

先に書いておくと、原則としてネタバレとかまったく気にせず書いているので、まだ観てない方やネタバレが気になる方はお読みにならない方がいいかもと思います。

ちなみに先に言い訳しておくと、この感想もだいぶ前に書いているものをちょっとなおして載せているので、まさに今の情報とは違っていることもあるかもしれませんので、そういった点もお許しください(毎回冒頭から言い訳が多い)。


公開:2007年6月2日
監督:フォン・シャオガン
脚本:盛和煜、邱剛建
製作総指揮:王中磊、ユエン・ウーピン
出演者:チャン・ツィイー、グォ・ヨウ、ダニエル・ウー、ジョウ・シュン、等
製作:華誼兄弟影業投資有限公司、寰亜電影有限公司
配給:ギャガ

中国のこの手の映画って、本当に画がきれいなものが多くて素晴らしいと思うことが多いんだけれど、この映画は、そういった画の美しい映画の中でも特に美しい映画として印象深い。

例えば、竹で作られた巨大な滑り台のような舞台で舞われる舞は、古典というより前衛のようで、とても興味深いし、水を張ったツボや、画面の端に出てくる小物とか、いろいろなところに新しい発見と惹きつけられる美しさがある。
さらに、剣による戦闘シーンのすべてがさながら舞であり、その動作の美しさ、カメラワークの素晴らしさは、オーバーではなく息を呑むほどの美しさだ。

また、物語としても充分に楽しめる内容。
よく知っていると思いがちな中国に、さらに異文化を感じるという意味でも、その奥の深さを感じることができる。

シェイクスピアの「ハムレット」を下敷きにしているというけれど、こういう物語を観ていると結局、愛って要は執着なんだよなぁと改めて思う。
そしてそれはかなり利己的なものかも知れないとも。
そう考えると、「スター・ウォーズ」のジェダイが、愛を抑制していることも納得がいく(「エピソードII」は本当に素晴らしいと思う)。

ところで一つだけ。
ラストでチャン・ツィイーさん演じる皇后を刺したのは誰なんだろう。
そこはどうも腑に落ちない。
因果応報的に終わりたかったのかもしれないが、それならばそこにもきちんとした裏付けが欲しいものだと感じた。
というか、あのまま、愛するものを失いながらも権力だけは手にした皇后が、孤独と失意の内に空虚な栄華の中で余生を過ごすということでも良かったような…。
なぜならそれは、死ぬことよりもはるかに重い罰のような気がするから。
まぁこれも自分が見逃しているだけかもしれないので、ちょっと勘違いもあるかもしれないけれど、ま、とんでもなく素晴らしい映画の中の小さな小さな引っかき傷…みたいなものかなと。

小さな引っかき傷でもう一つ。
タイトルが「女帝」なのに「エンペラー」っておかしくね?…って。
とはいえこんなイージーなミスをするはずがないので、なにか意味があるんだろうと思って調べてみたらまぁたくさん出てきました…いや、その意味を解説しているのではなく、私の様にその違いをツッコんでる記事がw
公開当時からツッコミまくられてきてたんですね。
そういう意味では同じワナにハマってしまったw
で、ChatGPTならなにか分かるかなと思って聞いてみたら、
・まず原題は「夜宴(Ye Yan)」で直訳すると「夜の宴」
・これは物語の舞台となる「権力争いと陰謀の宴」を指している
・英語圏タイトルも「The Banquet(宴)」
・だから「女帝[エンペラー]」というタイトルは日本側でつけたもの
・表向きは「皇后(エンプレス)」でありながら実質的には「皇帝(Emperor)」として国を支配しているという逆転構図を表現するためにこうつけた
・もし「エンプレス」にしてしまうと“皇帝の妻”という受け身の意味になり作品の中心テーマである「権力と支配」を正確に伝えられなくなってしまうと考えた
ということなんだそうです(どうも一部ChatGPTの予想も入ってそうですがおおよそは合ってそうですね)。

まぁなんかこの邦題を考えるミーティングで誰かが言い出して(きっと「ダブル・ミーニング的で云々…」とか)、日本側のプロデューサーかなにかが「それいいね!」とか言って決まったんだろうなぁ…。
正直言うと、邦題として原題とはかけ離れたタイトルをつけることには、あまり賛成できないんだけど…だって作り手の意図が歪められることも多いと思うし…まぁ、その映画を買ってくる人たちは「とにかく売れなきゃ」が優先なんだろうから、作り手の意図より優先されることにもなるんだろうけれど…この映画なんて「夜宴」でよくね?…とか思っちゃうし「それじゃ弱い」と思うなら、そこに副題的な「女帝」をからめたらよかったんじゃないかななんて思っちゃうけどなぁ…。

とにかくこの映画は大画面で見るべき映画だと強く思う。
出てくるありとあらゆるシーンが美しく、また様式的で、かつ異文化をめちゃくちゃ感じることができる。

そしてもちろんチャン・ツィイーさんが寒気がするほど美しく悲しい。
だからより一層素敵だ。

映画「女帝[エンペラー]」をご覧になりたい方はこちら。
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※アマプラにねぇし…これほどの作品なのにもったいない。
 ネトフリにもないなぁ…。


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