私的映画録…「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」2011年 [映画感想文]
あちこちでいろいろな文章を書いたり、本を出したり、セミナーで話したり、Web関連を中心としたPRのディレクションをしたり、音楽作品を出したり、アーティスト紹介サイトの運営をしたり、うさぎの動画を作ったり…なんてことをしているけれど、そのどこでも書けていない、これまでに観た映画等の感想でも書いておこうかと書き始めた第448弾。
今回は、ものを食べている場面がやたらと印象深い不思議な山本五十六像を描いた作品「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」のお話。
先に書いておくと、原則としてネタバレとかまったく気にせず書いているので、まだ観てない方やネタバレが気になる方はお読みにならない方がいいかもと思います。
ちなみに先に言い訳しておくと、この感想もだいぶ前に書いているものをちょっとなおして載せているので、まさに今の情報とは違っていることもあるかもしれませんので、そういった点もお許しください(毎回冒頭から言い訳が多い)。
公開:2011年12月23日
監督:成島出
脚本:長谷川康夫、飯田健三郎
原作:半藤一利
製作:小滝祥平
製作総指揮:川城和実、古賀憲一、渡部隆、武部由実子、大橋善光、大芝賢二、福井栄治、桑田潔
出演者:役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、阿部寛、吉田栄作、椎名桔平、益岡徹、袴田吉彦、五十嵐隼士、河原健二、坂東三津五郎、原田美枝子、瀬戸朝香、田中麗奈、中原丈雄、中村育二、伊武雅刀、宮本信子、香川照之、等
制作:デスティニー
製作:バンダイビジュアル、東映、木下工務店、ワタナベエンターテインメント、東映ビデオ、テレビ朝日、寿スピリッツ、SBIホールディングス、ブロードメディア・スタジオ、アサツー ディ・ケイ、吉田正樹事務所、ディ・コンプレックス、フードディスカバリー、エネット、新潟日報社、新潟放送、新潟総合テレビ、テレビ新潟、新潟テレビ21、読売新聞社、山陽鋼業、アオイコーポレーション、デスティニー
配給:東映
山本五十六はいろいろな人が演じているが、役所広司さんがやるとこうなるんだなぁ。
これまで観た山本五十六の中でいちばんジェントルで柔らかいと感じた。
自分の内側に信念的なものはしっかりと持ちつつも、それが今一つ表に出ず、賞罰がはっきりしないという点では、本当にこんな感じだったかもしれないと思う反面、さすがにちょっとカッコ良すぎとも思う。
もっとも、山本長官の実像は、むしろもっと直感型の人だったのではないかと思んだけど…。
だって真珠湾攻撃の前には「反転命令が出てそれに従えない者は今すぐ辞めろ」とか、ミッドウェイ作戦だって「これをやらないなら自分は辞める」とか言ってるみたいだし。
まぁ、役所広司さんのキャラが多分に反映された山本五十六ってことで、それがけっこういい味出してるよなぁという感じかな。
特に印象的なのはミッドウェイ敗戦後の表現かなぁ。
ミッドウェイの敗戦後、帰ってきた南雲中将をはじめとする生き残った将官を責めなかったという話は有名だけど(てか自分も責任取らなかったけどね;;;)、その報に接した時の表現は素晴らしかったなぁ。
司令長官として動揺を見せまいとしつつも実はだいぶ動揺していたことが微妙な表情から伝わってくるようだった。
このあたりはさすがに役所広司さんだなぁと改めて思いましたなぁ。
そしてこの映画は、ものを食べているシーンが多いのも印象的。
特に山本五十六の出身地である新潟県・長岡の水まんじゅうには興味を惹かれた。
干し芋は…あれだけを食ったらけっこう口の中が厳しいと思うなぁ。
そう言えば「瀬戸内の鰯は骨までうまい」なんていうセリフがあったけど、あれも食べてみたいなぁ。
カレイの煮付けもおいしそうだったっけ。
なんかこうして思い出してみるとおいしそうなものがいっぱいだなぁw
それにしてもこの映画、タイトルが長ぇなw
ただ、原作者の半藤一利さんががっつり監修に入って細部までこだわり、映画と小説を同時に構築していったようなので、「太平洋戦争70年目の真実」というやや大仰と感じるサブタイトルは、ある意味半藤一利さんの気合いの現れなのかもしれないなぁなんてことも思ったり。
さて、こういう映画を観るといつもつい思っちゃうんだけど、この戦いの反省をきちんとしなければ、本当の意味での日本の国防は考えられないなぁと…。
この作品の中で描かれているシーンだと例えば、ミッドウェイ作戦の前戦指揮を取る南雲中将に、現場トップである山本五十六とは違う目的を告げる…あの伊武雅刀さんがやっていた役は…永野修身軍令部総長か。
そもそも現場で死ぬほどいろいろ研究して立てた方針に対して、自分の直感の方が勝って正しいなんてあまりないことと思うけど、なまじ権力を持っている奴が裏でこっそりこういうことをやるってことは、実際会社なんかでもけっこうあるもんなぁ…で自分の権力争いとかに利用しようとする。
また、事前の図上演習で出た結果が自分の意に沿わないからと権力を使ってその結果を捻じ曲げちゃう宇垣纏参謀長(演・中村育二さん)とかもね。
こういう連中のために失敗も増え、かつ最終的に負けたのだと思うと腹立たしい。
ちなみに実際の永野修身軍令部総長が本当にそう言ったという記録は見つけられなくて、単に反対だったけど山本に「この作戦をやらないなら自分は連合艦隊司令長官を辞める」とか言われて渋々容認したということらしい。
それにしたってちゃんとこの作戦のリスク評価ができてないと思うよなぁ…軍令部総長としてそれってどうなん?
この辺りは、あの牟田口廉也のインパール作戦立案過程で、反対意見が多かったにも関わらず「牟田口がそこまで言うなら」とかなんとか言って、自身も懸念を抱いていたにも関わらずそれを押し殺して最終的に容認・推進し、3万人もの兵を殺したビルマ方面軍司令官・河辺正三陸軍中将と同じだよなぁ。
こういうエピソードを知ると、旧日本軍って本当にダメな組織だったんだなぁと思っちゃうけど…ひょっとして今もさほど変わらなかったりして?…だったら嫌だなぁ…。
そしてこの作品にはメディアに対する皮肉も多分に含まれていると思えていい。
それは香川照之さんが演じる東京日報・主幹に代表されている。
部下の記者(演・玉木宏さん)が山本五十六に取材し、例えば日独伊三国同盟の危うさを書こうとすれば、当時の好戦的な機運に乗せられてそれに反対しむしろ戦争を煽ろうとする。
しかし敗れれば途端に自由を口にする。
この表現はおそらく、半藤一利さんが描きたかった「真実」の中でも、けっこう大きな比重を占めていたんじゃないかなぁと想像しちゃうなぁ…。
だって現実にあるでしょ?
戦前は軍部に協力的な記事を書きまくってたくせに戦後途端に変節して、今や日本を貶めるためにはありもしなかったことをさもあったように書いちゃったような新聞。
あれからあの新聞が言うことには必ず眉に唾して接するようになったもの。
新聞が恣意的に嘘をつくようになったら終わりよマジで。
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