【冒険の代償は大きい】映画『ARCO』感想
冒険の代償が大きすぎる。
しかも代償を受けるのは本人じゃないというね…
映画『ARCO』は2つの未来を舞台に、空から降ってきた少年と少女の出会いと冒険を描いたフランス産の長編アニメーションだ。
監督は本作が初長編アニメ作品となるウーゴ・ビアンブニュ。製作には完成までに実に5年の歳月が掛かっている。また製作に俳優のナタリー・ポートマンが関わっていることでも注目を浴びた。
本作は2025の年アヌシー国際アニメーション映画祭の長編部門でグランプリを受賞。またアカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされている。
『羅小黒戦記』や『アメリと雨の物語』もそうだったけど、ここ最近のアニメーション作品はジブリの影響を感じることが多い。

本作もジブリの多大な影響を感じさせる作品だ。
『天空の城ラピュタ』よろしく空から男の子が落ちてくるし『千と千尋の神隠し』を感じさせる演出もあるしところどころジブリ味がある。メインテーマなんてもろに久石譲。
そうしたジブリの影響を感じつつも、面白いし好きな作品だった。
まずアニメーションの素晴らしさ。
敢えて手描きにこだわっただけあってアニメーションの美麗さは別格。
特に背景の書き込みなどの細かさは見惚れるほど。今年観たアニメは素晴らしいものばかりだけど、その中で一番好き。
話の大筋は王道のボーイ・ミーツ・ガール。
こんなの誰もが好きに決まってる。イリスとアルコ、お互い惹かれ合うのが早すぎる気もするけど(海外だからか)この年代の子はドラマ的な出会いをしたら恋に落ちるもんだよな。
意外だったのが未来描写。
劇中には2つの時代の未来が描かれる。
創作物で描かれる未来描写だと、AIによる管理社会とか今よりも厳しい階級社会などが多いが、ここで描かれる未来からはそういった要素はあまり感じられない。
地球の気候変動などで対応を余儀なくされているが、それでも暗さは感じなかった。人間に希望が持てる未来描写だったのは個人的に好き。
また、根っからの悪人が登場しないのも好きな点。
3人組も序盤こそ怪しいが、話が進んでいくにつれコミカルさが増していく。(クレヨンしんちゃんの映画シリーズに出てくる悪役のよう)
自分はイリスに片思いをしているクリフォードのキャラクターが特に好き。自分の好きな子を健気に応援している姿は胸を打たれる。
そんな本作は出会いや思いを紡いでいくような作品だ。
イリスとアルコの出会いもそうだし、イリスの親代わりともいえるミッキの献身的な愛、そうしたかけがえのないものが時を超えて人々の運命に影響していく。SF的ギミックとの絡ませ方も上手かった。

ただ気になる点もある。脚本が全体的に駆け足気味な印象。
キャラクターが魅力的だからこそもう少し掘り下げて欲しいと思った。
そして後半のある展開。
冒頭にも書いたけど冒険の代償が大きすぎる…
良い映画であることに変わりはないんだけど、観終わった後にモヤモヤした拭い切れない思いが残ったし、結果的に一番インパクトを受けたのもこの場面だった。
日本のアニメだとこうした描写にはならないだろうな、こうした描写からも文化の違いを感じさせる。
気になる点はあるもののそこを含めても自分は好きな作品だった。ウーゴ・ビアンブニュ監督の次回作も気になる。

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