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いちばんの贅沢は、家にある。


もう15年以上も前のある日。
書店で偶然、手に取った一冊の小さな本があった。
『インテリアのセンスを磨く 172のルール』(別冊 Grazia)。

実用的なインテリアのハウツー本のように見えたが、
ページをめくるうちに、私の「設計」に対する
考え方を根底から揺さぶられた。

そのきっかけとなったのが、冒頭に書かれていたこの一節だ。



いちばんの贅沢は家にある


住む人の数だけ家があり、部屋がある。
そこは、ほかの誰のものでもない。

自分たちの「好き」と「気持ちいい」が詰まった空間。
だから、ふたつとして同じ家はない。どの部屋も違った顔を見せる。

自分に幸せを与えてくれるものを探し、集め、
時間をかけて、居心地のいい家をつくり上げていく。

疲れた体と心をやさしく包み込んでくれるのは、
温かな灯りだろうか、それとも窓から見えるたっぷりの緑だろうか。

大切な人、訪れる人のために料理をつくり、しつらいを整える。
食卓に笑顔があふれる。なんと豊かで、満ち足りた時間だろう。

気取らず、気張らず、よそゆきではなく、
普段着の自分でいられる空間。

そんな空間を手に入れたなら、
まず、どう暮らしたいのか、自分に問いかけることから始めよう。

最初は、小さなコーナーひとつだっていい。
手間を惜しまず、少しづつ、ゆっくりと心地よさを積み重ねていく。

もう外には出かけたくないくらい、
そこに居ることそのものが気持ちいい。

いちばんの贅沢は、ほかでもない、あなたの家にある。

「インテリアのセンスを磨く172のルール」本文より



光と素材が対話する空間。 余白の中にこそ、暮らしの豊かさが宿る。



初めてこの文章を読んだとき、胸の奥が静かに震えた。
“デザイン”とは形やスタイルの話ではなく、

「自分たちの好きと気持ちいい」を丁寧に積み重ねること。
その本質に気づかされた瞬間だった。

家づくりとは、図面を描くことでも、素材を選ぶことでもなく、
“心地よさ”を見つけていく行為なのだと。

そして、その積み重ねが「住む人の幸福」に変わっていく。






今でもこの本は、私の本棚の中でひっそりと息づいている。
ページを開くたび、初心に戻れる気がする。

流行や効率ではなく、
“心がほどける場所”をどう設計するか。

それが、建築に携わる私にとって永遠のテーマだ。


Structure, light, and the rhythm of life. 暮らしが、空間をデザインする。




外の風景が、暮らしの中にそっと溶け込む。 その瞬間、家がいちばん“やさしい場所”になる。



どんなに時代が変わっても、
「いちばんの贅沢は、家にある。」

その言葉は、今も変わらず私の中に生きている。

※本記事にはAmazonアソシエイト・プログラムによるアフィリエイトリンクが含まれています。

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