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世界最高のDFファン・ダイクが19歳まで「普通の選手」だったオランダ、15歳でエリート選別し育成年代を使い捨てる日本

明日6月15日、ワールドカップで日本はオランダと対戦するわけですけど、「日本代表はオランダから何点取れるか?」とか考えてる人、さすがにいないでしょうね?
オランダ代表の主将ファン・ダイクは、デカい・早い・上手いの三拍子揃った、現在世界最高のディフェンダーとして知られています。

ところで彼は19歳まで「普通の選手」だったって話、知ってますか?


19歳まで「クビ寸前」だった世界最高DF

ファン・ダイクが育ったのはヴィレムⅡという、オランダ1部下位から2部でよく見かける、地味なクラブです。
彼をユースで指導していたロビー・ヘンドリクス氏(現・ヴィレムⅡ・アカデミー・ダイレクター)の証言はこのようなものです。

「ファン・ダイクは普通のディフェンダーで、当時は彼より優れた選手が他にいた」
「19歳以下のチームでは、彼を残すか放出するか、判断が分かれていた

才能を「逃がさない」育成 九州ほどの面積から生まれたファンダイク

このように19歳時点のファン・ダイクはプロサッカー選手として特に目立った才能がないと思われていて、クビにするか当落選上の選手に過ぎなかったそうです。
ヘンドリクス氏は現在のファン・ダイクの活躍を目の当たりにして「どんな子どもにも平等に機会を与えるべきだ」「選手の未来が見える水晶玉(ガラス玉)はない」と言っています。

将来プロになりたい、ワールドカップに出たいと思う世界のサッカー少年たちにとってはなかなか勇気づけられる実例ですよね。

他の記事を調べてみると、19歳時のファン・ダイクを評価する意見もあって「早く正式契約を提示しろ」とフロントに要求していたコーチもいたようです。しかしヴィレムⅡの上層部は結局契約を見送ってしまったそうです。

さらに驚くべきは、彼の才能を見落としたのはヴィレムⅡだけじゃないってことです。
オランダサッカーの2大巨頭、PSVとアヤックスの両クラブも当時のファン・ダイクの才能をスルーしていました。世界トップレベルの選手スカウト網を持つアヤックスですら、ファン・ダイクを目にしながら、選んだのはファン・デル・ホールンというセンターバックだったそうです。

「個人の努力」の話で終わる日本、「出場機会」で育てる欧州

こういう遅咲きのストーリーを見聞きすると、日本のスポーツ界は決まって

「ファン・ダイクは腐らずに努力したから這い上がれたんだ」
「やっぱり最後は本人の努力する才能だ」

みたいな、精神論に話をすり替えがちですよね。
このエピソードを「個人の努力」の話で終わらせてるんじゃ、日本のスポーツは変わらないんです。本質はそこじゃない。

「才能は、試合で使わないと磨かれない」という部分が本質なんです。

オランダに限らず、欧州各国の育成事例を調べてみると、この信念が共通して強くあるとすぐ分かります。

スカウトやクラブ幹部が「この選手はプロでは通用しない」と評価しても、

  • 選手の才能を別角度から評価し、実際に「試合で使ってくれる」チームが存在する

  • 年齢に関係なく、常に真剣勝負ができる出場機会(環境)が整っている

ここが重要なんです。

ファン・ダイクが(ヴィレムⅡから移籍して)フローニンゲンで才能が開花し始めたのも、彼を試合に出し続け、彼の成長に合わせて指導する丁寧な育成環境があったからです。(オランダは人口・国土的には九州くらいですから、九州リーグで育てたという感じでしょうか)

前掲の新聞特集において、オランダで20年以上サッカーを指導している川合慶太郎氏は日本との根本的な違いを指摘しています。

「オランダは人口が少なく、面積も九州くらいしかない。本当に誰一人のタレントも逃したくない、という考えが根底にある。」
「どのレベルでもサッカーを平等にプレーできる時間がある。ベンチにずっと座らせておくことがない」
日本は考え方が逆でサバイバルで生き残った人しかプレーができない。上手な子どもにしか良い環境が与えられない」

才能を「逃がさない」育成 九州ほどの面積から生まれたファンダイク

やっぱり「選手の未来が見える水晶玉はない」って話なんですね。
超一流のスカウトでもファン・ダイクの才能を見逃すくらい難しいのだから、国ぐるみで「才能を取り逃さないシステムを作る」というところを日本も見習うべきなんです。

「高校サッカー」「大学サッカー」という、単なる学校宣伝ビジネス

日本のサッカー関係者は「日本には高校サッカー大学サッカーという独自の素晴らしい育成システムがある。三笘を見ろ、遅咲きの選手も救われている!」と誇らしげに主張しますけど、私はやっぱり首を傾げますね。

実態を見れば分かりますけど、日本の高校サッカー、大学サッカーって、部員100人なんて当たり前ですよね。中には「5軍」「6軍」まで作って、部費を払ってスタンドで応援するとか…。
唖然としたのは、県立高校なのにサッカー部員を200人も抱える大津高校。こんなムダなことをして3年が終わってしまいます。(だから不祥事が起きたんですね)

大津が実施している“校内リーグ”という強化策は、ぜひ多くの人に知ってもらいたい取り組みだ。それぞれプレミア、プリンス九州1部、プリンス九州2部、熊本県2部リーグに参戦している4つのカテゴリーのメンバーに入れなかった選手は、週末にサッカー部内で開催されるリーグ戦でプレーする。

「Jクラブユースか、高体連か?」論争に終止符。プレミアリーグが示す“継続性”と“競争力”

昔からあるこの「才能をかき集めては使い潰すばかり」のシステムを放置し、有望選手とプロ契約もせず、無料で高校や大学で使っているだけなのに「日本独自」の「育成システム」?
いやいや…オランダの「誰一人として才能を取り逃がさない」「才能は試合で使わないと磨かれない」育成と180度異なってますよね。

プロリーグ30年で「上っ面」しか作れなかった日本

ファン・ダイクを育て上げたのは、マンチェスター・シティのようなメガクラブではなく、アヤックスのような育成の名門でもありません。
地方でも育成年代でしっかりプレー機会が与えられ、その後も中小クラブ複数をわたり歩ける、というセーフティネットが彼を世界一のディフェンダーへと導きました。

じゃあ日本に見落とされた才能を掬い上げるシステムがありますか?っていうと、ほぼ存在しない。
Jクラブに設置が義務付けられているユース育成機関も単なるエリート選抜組織であり、「部活ビジネス」と毛色は変わっていません。

「やっぱりJユースは本当に中学年代のトップレベルの選手に声を掛けていますし、もちろんJユースから話があった選手は、だいたいそっちに行くと思います」

「Jクラブユースか、高体連か?」論争に終止符。プレミアリーグが示す“継続性”と“競争力”

ジュニアユースからユースに上がれなくてもサッカーを続けることはできるし、森重真人(広島ジュニアユース→広島皆実高)や本田圭佑(G大阪ジュニアユース→星陵高)のように、ユースに上がれなくても日本代表に昇りつめる選手もいる。しかし、この挫折を力に変えて成長するのは、決して簡単ではないことも現実だ。

Jクラブの常識を超えていく「6年育成」。サンフレッチェ広島・新三矢寮に宿る哲学

日本サッカーは、あくまでも個人の努力(サバイバル)を課し、その中の何人かが偶然成功するのを祈るのみ、という貧しい育成環境が現状。

Jリーグが始まって30年以上、日本サッカーは「エリートルートに乗らなかった選手のサッカー環境」についてほとんど関心を持ってきませんでした。協会幹部がみなエリート出身だからでしょうか。高校&大学サッカーの名門校に配慮してきたからでしょうか。欧州のクラブシステムの真髄の部分がまるで分かっていないのです。

「部活ビジネス」を絶賛し続ける現状で、日本サッカーが本当に強くなるのはもはや困難でしょう。
なぜなら「超一流スカウトでも、ファン・ダイク級の才能を見落とすことは当たり前にある」とオランダサッカーが教えてくれているのですから。


今回のオランダ代表を、倒すべき日本の敵と思って見るより、「日本とは全く違う、丁寧な育成環境で育ってきた選手が揃う、多士済済、多様性に富んだチーム」なんだなと思って試合を観ると、また違った印象で楽しめると思いますよ。

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