HYROXを始めるなら(4/6)ーー筋肉をつけながら、HYROXにも強くなるハイブリッドトレーニング実践編
Upper / Lower+Accessory+HYROXで作る「ハイブリッドアスリート」
ここまで3回にわたって、
* HYROXとは何か
* 8種目をどう鍛えるか
* ランニング初心者がどう走力を作るか
を解説してきました。
今回はいよいよ実践編です。
テーマは、
「筋肉を作りながら、HYROXにも強くなるには、1週間のトレーニングをどう組めばいいのか?」
今回の答えは、
Upper / Lower+Accessory+HYROX Day
です。
1週間の全体像
曜日 /AM/ PM
月/ Easy Run /Upper A+HYROX
火/ Interval Run /Lower A+HYROX
水/ Easy Run /Upper B+HYROX
木/ Recovery Run /Lower B+HYROX
金/ Easy Run /Accessory Day
土 /HYROX Day
日 /完全休養
今回はすでにランニング習慣ができ、毎日走れるようになった事を前提とします。
また、HYROXのSkiErg、RowErg、Sled、Wall Ballsなどを使える施設を想定します。
HYROXの設備がない場合は第2回で紹介した代替種目を行ってください。
筋トレの基本は「ストレングス」
今回の筋トレは、一般的なボディビルのように全種目を高ボリュームで行うのではありません。
基本となるのは、
「強い身体を作るためのストレングス」 です。
特に参考にしたいのが、HYROXトップ選手として活躍する
Alexander Roncevicのトレーニング。
彼のトレーニング詳細については過去の記事をご覧ください。
https://note.com/shinazugawa_ai/n/nea014fb10303?sub_rt=share_pw
今回のストレングスの柱として、以下の9種目を採用します。
* Squat
* Front Squat
* Deadlift
* Romanian Deadlift
* Bench Press
* Military Press
* Pull-Up
* Row
* Walking Lunge
この9種目で基礎的な筋力を作り、それをHYROX Specificityにつなげていきます。
月曜日:Upper A
朝:Easy Run 40〜50分
会話できる程度の楽なペース。
午後:Upper A(PULL系メイン)
* Weighted Pull-Up 4×4〜6
* Barbell Row 3×5〜8
* Military Press 3×5〜8
* Bench Press 4×4〜6
HYROX Specificity
SkiErg 500m × 3
Row 500m × 3
ここでは全力でタイムを狙うのではなく、フォームとペースを揃えることを重視します。
火曜日:Lower A(四頭筋メイン)
朝:Interval Run 1km × 4
各セットの間に2〜3分のEasy Jog。
午後:Lower A
* Back Squat 4×4〜6
* Romanian Deadlift 3×5〜8
* Walking Lunge 3×8〜10/脚
HYROX Specificity
Sled Push 25m × 3
Sled Pull 25m × 3
ここでは「一発の最大パワー」より、一定の速度で押し続ける能力を重視します。
水曜日:Upper B(PUSH系メイン)
朝:Easy Run 40〜50分
午後:Upper B
* Military Press 4×4〜6
* Bench Press 3×5〜8
* Pull-Up 3×6〜8
* Row 3×6〜8
HYROX Specificity
Farmers Carry 50m × 3
Wall Balls 20回 × 3
Farmers Carryでは握力だけでなく、体幹を安定させたまま歩く能力を意識。
Wall Ballsでは、最後まで一定のリズムを維持することを重視します。
木曜日:Lower B(ハムケツメイン)
朝:Recovery Run 30〜40分
午後:Lower B
* Deadlift 4×3〜5
* Front Squat 3×5〜8
* Walking Lunge 3×8〜10/脚
HYROX Specificity
Burpee Broad Jump 20m × 3
Sandbag Lunge 20m × 3
疲労した脚でもフォームとリズムを崩さないことを意識します。
金曜日:Accessory Day(腕、肩横メイン)
ここが今回のプログラムで重要なポイントです。
HYROXとストレングスだけをやっていると、どうしてもボディビル的に不足しやすい部位が出てきます。
そこで金曜日は、
「競技力ではなく、身体の完成度を高める日」とします。
メインは、腕+肩のサイド です。
例えば、
肩横
* Cable / Dumbbell Lateral Raise 4×10〜15
* Machine Lateral Raise 3×12〜15
二頭
* Barbell Curl 3×8〜12
* Incline Dumbbell Curl 3×10〜12
三頭
* Overhead Cable Extension 3×8〜12
* Triceps Pushdown 3×10〜15
必要に応じて、リアデルタや、腹筋など自分の弱点部位を少量追加しても構いません。
ここではストレングスのように重量を追いかけるのではなく
筋肉にしっかり刺激を入れ筋肥大を狙う事が目的です。
これにより「HYROXのための筋肉」と「見た目を作る筋肉」
をうまく両立させます。
土曜日:HYROX Day
そして土曜日は、HYROXをHYROXとして練習する日。
競技の流れをできるだけ再現します。
例えば、
1km Run↓
SkiErg↓
1km Run↓
Sled Push↓
1km Run↓
Sled Pull↓
1km Run↓
Burpee Broad Jump
……
という形です。
最初から毎週フルレースを行う必要はありません。
まずは全体の50〜60%程度から始め、徐々にボリュームを増やしていきます。
最終的には、8km Run+8種目を安定してこなせることを目標にします。
HYROX 8種目はすべて週2回
今回の構成では全種目が週に2回回ってくるように設定しています。
これにより、ワークアウトに必要な筋力だけでなく、技術も身に付きます。
SkiErg 月 土
Sled Push 火 土
Sled Pull 火 土
Burpee Broad Jump 木 土
Row 月 土
Farmers Carry 水 土
Sandbag Lunge 木 土
Wall Balls 水 土
しかも月〜木は2種目ずつに分散するため、毎日大量のHYROX Specificityを行う必要はありません。
また、土曜日に8種目を実戦形式でつなげることで、
「単独ではできるけど、走った後はできない」
というHYROX特有の問題にも対応できます。
ただし、毎日100%ではない
このプログラムで絶対に避けたいのが、
全部を限界までやること。
朝はランニング。
午後はストレングス。
さらにHYROX。
これだけのトレーニング量を毎回限界まで行えば、どんなに体力のある人でも疲労が蓄積します。
筋トレは基本的に、RPE 7〜8程度。
「あと2〜3回できる」というところで止める。
Easy Runは本当にEasy。Recovery Runはさらに軽く。
HYROXも毎週タイムトライアルをする必要はありません。
重要なのは、
1回のトレーニングでどれだけ頑張ったかではなく、
1週間、1か月、1年間続けられるか。
ということです。
目指すのは「ただのHYROX選手」ではない
今回のプログラムの目的は、単純にHYROXのタイムを縮めることだけではありません。
筋肉を作る。
強くなる。
速く走れる。
疲れても動ける。
そして、見た目もカッコいい。
この全部を狙います。
ストレングスで作った強さをHYROXで使い、
ランニングで心肺能力を高める。
そしてAccessory Dayでボディビル的な身体の完成度を高める。
これこそが、
「筋肉をつけながら、HYROXにも強くなるハイブリッドトレーニング」
です。
ボディビルかHYROXか。
どちらかを選ぶ必要はありません。
「強くて、走れて、筋肉もある身体」を作る。
それが、このトレーニングの最大の魅力です。
次回予告
次回は、トレーニングと同じくらい重要な、
「筋肉を落とさずHYROXに強くなる食事・回復戦略」
について解説します。
ランニング、ストレングス、HYROXを組み合わせると、当然エネルギー消費は増えます。そこで、
何をどれだけ食べるのか?
炭水化物はいつ入れるのか?
タンパク質はどれくらい必要なのか?
筋肉を増やしながらHYROXのパフォーマンスを上げられるのか?
「ハイブリッドアスリートの身体をどう作るか」を、食事と回復の面から掘り下げます。
