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ju88d
髭は恋をする。【毎週ショートショートnote】
最近、駅前に立つ髭の男をよく見かける。
その男は少し微笑みながら一輪の花を持っている。
通勤の人たちはみんなそれを見て見ぬふりで通り過ぎている。
彼は誰かに恋をしているのではないか、もしくは誰かを待っているのではないか、通り過ぎる人も一様に皆そう思っているようであった。
あるとき、僕は気分が悪くなり3日間ほど仕事を休んだ。
髭を剃らず、外にも出なかった。
髭はボーボーに伸びているわけではないけれど、今までの自分の中では伸びている方ではあった。
そのとき、心の中で声が響いた。
女性の声で、とても魅力的な声だった。
しかし、髭を剃ると聞こえなくなってしまった。
もう一度、僕は髭を伸ばした。
すると、また声が聞こえてきた。
そして、僕もスーツを着て一輪の花を買い、それを携えて駅に向かった。
駅に着くと、髭を伝ってあの女性の声が響いてきた。
とても心地よい声だ。
駅前はなぜかその声が一番よく聞こえる場所であった。
いつも髭は恋をする。不思議な声に。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※札幌は桜が咲いてきましたが、本日はあいにくの雨です。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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