Photo by
akankooo
未練配達員【毎週ショートショートnote】
あまり大きい声では言えないのだが、僕には大きな未練がある。いつもそのことを考えてしまってような大きな未練だ。夕方、仕事が終わって夕焼けの赤さを見て、立ち止まって大きくため息をついた。仕事で疲れたわけではなく、未練のことを思い出していたからだ。すれ違う人も僕のことを心配そうに見ている。ひとはみな大きさは違えどなんらかの未練をもっている。僕は赤すぎるくらい赤い夕焼けの光が、ビルの隙間から、一本の電柱に差し込んでいた。なんだか不思議な感じに赤くなった電柱に近づくと張り紙が一枚あった。『未練配達員 運びます あなたの未練』と書いてあり、電話番号もあった。あやしいと思いつつも僕は電話をしてしまった。すると、やさしい声の女性が出て、その女性は僕の未練を全部聞いてくれた。そして、この未練をどこかに運んでもらえるのか尋ねた。「あなたの未練はもう運び終わりましたよ」と女性がやさしい声で言った。僕は前に進めるような気がしていた。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
この物語はフィクションです。
※僕はフィギュアは一つも持っていないのだが、ハードオフでロストプラネット2のロボットのフィギュアを見つけて、欲しいなと思ったけれど、そのときはそれを買いませんでした。家に戻ってから考えてやっぱり買っておこうと思って、再度お店に行ったらすでに誰かに買われてしまっていたのが最近の未練です。酸っぱいブドウに出てくるキツネのように、フィギュアを持っててもどうしようもないよと自分に言い聞かせています。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。