Photo by
urabetti
曼殊沙華は恋をする【毎週ショートショートnote】
僕は生まれ変わった。
曼殊沙華になっていた。
曼殊沙華になってみて初めて分かったのだが、曼殊沙華には個性がある。
人間の顔や体が一人一人違っているように、一つとして同じではないのだ。
僕は周りを観察した。
すると、ちょうど僕の斜め向かいの曼殊沙華がとても美しかった。
僕はすぐに恋をした。
風に揺られて、僕は体を揺らした。
風に揺られれば揺られるほど、僕は幸せを感じる。
あの美しい曼殊沙華も僕の方を見ていて、彼女も風に揺られて体を揺らし始めた。
まわりに目をやると、他もみんな揺れている。
どうやら曼殊沙華は恋をするようだ。
植物の寿命は長い。
地面に根を張るので、そこが荒らされない限り、人間の寿命よりもずっと長いのだ。
だが、花が咲いている期間は短い。
僕ももうすぐ枯れてしまうだろう。
彼女もだ。
でも、また来年会うことができる。
そう考えた刹那、ドドドドドという大きな音が聞こえてきた。
ブルドーザーだ。
ああ、どうやらここは開発されてしまうようだ。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※書いた内容がちょっと負のイメージもあり、幸手権現堂秋祭りの募集要項に引っかかってしまうかなと思いましたので、そちらは不参加にいたします。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。