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★弁護士に「破産しかない」と言われた社長へ。事業も家族も家も守る、第二会社方式という最後の道

1. その夜、社長室で

「破産しかありませんね」

弁護士事務所を出た瞬間、足が震えた。

帰りの電車に乗る気力もなく、駅前のベンチに座り込んだまま、気づけば日が暮れていた。

家族には何と説明すればいいのか。従業員はどうなるのか。自宅は——担保に入っている。

スマホを開いて、震える指で打ち込む。「弁護士 破産しかない」。

何かを探していたわけではなかったのかもしれない。ただ、誰かに「まだ道はあるよ」と、そう言ってほしかっただけなのかもしれない。

もし今、あなたがそんな夜を過ごしているのなら、少しだけ時間をもらって、この記事を読んでみてほしい。

私は元銀行員として15年、事業再生屋として10年、累計300件以上の中小企業の事業再生に伴走してきた。第二会社方式での再生実行は100件を超える。そして、弁護士に「もう受けられない」と断られた案件も、これまで30件以上、引き受けてきた。

伝えたいことは、ひとつだけだ。

弁護士の「破産しかない」は、最終結論ではない。

2. なぜ弁護士は「破産しかない」と言うのか

ひとつ、誤解を解いておきたい。

「破産しかない」と言ったその弁護士は、決してあなたを見捨てたわけではない。むしろ、誠実に、自分にできることの限界を伝えてくれたのだと思う。

弁護士は法律のプロだ。法的整理——破産や民事再生——の専門家として、事案を判断する。だから、彼らが提示できる選択肢は、その法律の枠組みの中にある。

一方で、事業の再生は、法律の問題だけではない。財務、税務、銀行との交渉、取引先との関係、従業員への対応、不動産の処分、第二会社方式のような実務スキーム——こうした領域は、弁護士単独では扱いきれないことが多い。

そして、弁護士が断る案件には、ある特徴がある。

事業面で見れば、実は再生可能性が残っているケースが、思いのほか多いのだ。

「破産しかない」という言葉の本当の意味は、こう受け取ってもらえるといいかもしれない。

「私(弁護士)の視点では、これ以上手を打てない」

事業として終わっている、という意味ではない。

3. 破産で失われるもの、第二会社方式で守れるもの

「破産」と「第二会社方式」は、まったく違うものだ。

破産を選んだとき、何が起きるか。少しだけ、想像してみてほしい。

事業は廃業になる。従業員は解雇せざるをえない。長年連れ添ってきたパートさんたちも、職を失うことになる。取引先には倒産通知が届き、これまで築いてきた信用は失われる。自宅は、担保に入っていれば競売にかけられる可能性が高い。連帯保証していれば、会社の借金は個人にも残ったまま、再起への道が長くなる。

これが、破産という選択肢のその先にある現実だ。

一方で、第二会社方式とは何か。

旧会社(つまり今のあなたの会社)は法的整理を行う。ただしその前に、優良事業——黒字部門、有望な取引先、価値ある資産、優秀な従業員——を、新しく作る「第二会社」に承継させる。新会社は、過去の負債から切り離された形で、新しいスタートを切れる。

従業員の多くは、新会社で雇用を続けられる。取引先との関係も、新会社で継続できるケースが多い。自宅についても、状況によって守れる可能性がある。任意売却やリースバックといった手法を組み合わせれば、住み続けながら再起を図れることもある。

破産と第二会社方式、どちらも法的に認められた選択肢だ。だが、その先に残るものは、ずいぶん違う。

4. 第二会社方式とは何か

第二会社方式について、もう少し説明させてほしい。

第二会社方式は、会社分割または事業譲渡を活用した、適法な事業再生スキームだ。中小企業庁の事業再生施策の中でも、中小企業の再生手法として位置づけられている。

ネット上には、「第二会社方式は逃げだ」「違法ではないのか」といった声もある。けれど、正規の手続きを踏み、債権者の利益にも配慮した形で進めれば、これは完全に合法な手法だ。

ただし、注意点もある。

不適切な進め方をしてしまうと、「詐害行為」として後から取り消される可能性がある。たとえば、債権者を意図的に害する形で資産を移したり、対価が著しく不当だったりすれば、後で問題になりうる。

だからこそ、第二会社方式は、弁護士・税理士・金融機関対応の実務家がチームで動かなければ、安心して進められない。

自分一人で本を読んでできるものではない。経験のある専門家の伴走が必要だ。

逆に言えば、正しく進められれば、これほど経営者と従業員と家族を同時に守れる手法は、ほかになかなかない。

5. 「破産費用すら出せない」状態の社長へ

ここまで読んで、あなたはこう思っているかもしれない。

「第二会社方式が良いのはわかった。でも、自分には、もう支援を依頼するお金もない」

これが、絶望期の社長が最後にぶつかる、いちばん重い壁だ。

そして、ここが、私が事業再生屋として10年間、ずっと考え続けてきた部分でもある。

私は、お金の有無を理由に支援するかどうかを決めない、という姿勢でやってきた。再生支援は、当初は無報酬で動くことが多い。報酬の話は、第二会社が立ち上がって、収支が回るようになってからで構わない。場合によっては、数年後の分割払いでも、難易度や状況によってはいただかないこともある。

なぜそうしているのか。

理由は単純で、本当に苦しい経営者に「お金がないから救えない」と言いたくないからだ。

銀行員時代、私は数字だけで会社を判断する立場にいた。返済が滞れば、融資を引き上げる。担保があれば、淡々と手続きを進める。それが仕事だった。

でも、その数字の向こうには、寝ずに働き続けてきた社長がいて、家族がいて、従業員がいる。当時の自分には、それを直接救う手段がなかった。

銀行を離れた今、私は逆の立場に立っている。だから、お金の有無で支援するかどうかを決める仕事はしたくない、と思っている。

ただ、ひとつだけ確認させてもらうことがある。

「本気で事業を続けたい」という覚悟があるかどうかだ。

ここだけは、お金の話よりも先に聞かせてほしい。

6. 弁護士に断られた社長を救った道のり

ある社長の話を紹介させてほしい。

複数の実例を組み合わせて再構成した、架空のAさんの話だ。守秘義務に配慮するため、具体的な業種や地域は伏せている。けれど、これに近いケースは、私の現場では決して珍しくない。

Aさんは50代後半、地方で中堅の事業を営んでいた。コロナ禍で売上が3割減、そこから完全に回復しきらないうちに、主要取引先が倒産。資金繰りが一気に悪化した。

ファクタリングに手を出した。最初は1社、次に2社、最後には複数のファクタリング業者に支払いに追われる自転車操業になっていた。

弁護士に相談したのは、すべてが回らなくなった日だった。「破産しかない」と言われた。しかし、自宅は担保に入っており、奥さんと高校生の娘がいる。連帯保証もしている。破産費用すら、捻出できなかった。

Aさんから私のところに連絡が来たのは、その日の深夜だった。

最初の面談では、何も提案しなかった。ただ、3時間、Aさんの話を聞いた。事業のこと、家族のこと、銀行員時代から取引先との関係、そして「自分の判断が間違っていた」という後悔。

提案を始めたのは、2回目の面談からだ。

第一会社の債権者対応をまず始めた。銀行、取引先、税務署、それぞれに、私から状況を説明していく。元銀行員として、それぞれの組織の論理を知っているのが、こういう場面で生きる。一方的に「待ってください」と頼むのではなく、相手の立場を踏まえて、落としどころを探っていく。

数ヶ月後、第二会社を設立した。優良事業——Aさんが長年築いてきた、本当に強い部門——を新会社に承継した。従業員のうち多くは、新会社で雇用を続けられた。自宅は、リースバックの形で、住み続けながら守った。

今、Aさんの新会社は、軌道に乗りはじめている。奥さんとの会話も、戻ってきたと話していた。

これは特別なケースではない。第二会社方式が機能する条件——本気で事業を続けたい社長と、適切な専門家チームと、十分な時間——が揃えば、こうした再生は実現できる。

7. なぜ、私はこの仕事をしているのか

正直に言えば、私は聖人君子ではない。

事業として、再生支援も経理代行も業務効率化も、ちゃんと収益を上げている。場合によっては、再生先の会社にスポンサーとして出資することもある。私自身も、生活も家族も、ちゃんと成り立っている。

ただ、信念だけは曲げたくない、と思ってやっている。

弁護士に断られた経営者を支えられるのは、たぶん私のような立場の人間だけだ。元銀行員として、銀行側の論理を知っている。事業再生屋として、実務スキームを設計できる。経理代行業として、再生後の会社の数字をずっと見続けられる。

この3つが揃っているから、長期戦の事業再生に、最後まで伴走できる。

「進撃」という言葉を屋号に入れているけれど、攻撃的な意味ではない。

進撃とは、絶望から未来へ進む力のことだ。倒産という暗闇に飲み込まれそうになっている経営者が、もう一歩、踏み出す勇気のこと。

私は、その一歩に伴走したい。

それだけだ。

8. 諦めるのはまだ早い

最後に、伝えたいことがある。

弁護士に断られても、まだ道はある。

破産費用が出せなくても、事業と家族を守れる方法はある。

ただ、ひとつだけ覚えておいてほしい。動くのは、早いほうがいい。

時間が経つほど、選択肢は狭まる。差押えが進めば資産は失われ、取引先が完全に離れれば再生は難しくなる。逆に、まだ動ける段階で正しい判断ができれば、守れるものは多い。

一人で抱え込まないでほしい。

決断を急ぐ必要はない。話を聞かせてもらうだけでも、見える景色が変わることがある。

諦めるのはまだ早い。

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