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外は落書き、中はピカピカ ── イタリア人の「きれい」の基準

ミラノの街を歩いていると、最初は少し、面食らう。

何百年も建っていそうな、立派な石造りの建物。 その壁が、落書きだらけなのだ。 スプレーで書かれた文字、誰かの名前、意味の分からない絵。 歴史ある街並みと、無秩序な落書きが、当たり前のように同居している。

(もったいない……。こんなに立派な建物なのに)

日本の感覚だと、そう思ってしまう。 外壁を磨き、玄関先を掃き、家の"外側"をきれいに保つ。それが日本の「きれい好き」だ。 うんうん、と頷いてくださる方も多いと思う。

ところが、ある日、同僚の家に招かれて、僕は二度びっくりすることになる。

外観は

このくらい違うww

例によって、年季の入った石の建物。壁には、やっぱり落書き。 重い扉を開けて、中に入った瞬間——世界が変わった。

床は、鏡のように磨き上げられている。 キッチンも、窓ガラスも、曇りひとつない。 聞けば、水拭きだけでなく、アルコールを使って、床から棚から、ピカピカに磨き上げているのだという。 外の無法地帯ぶりからは、想像もつかない徹底ぶりだった。

へえ、と思った。 彼らにとって、建物の外壁は「街のもの」。 でも、扉の内側は「自分の城」。 外がどれだけ汚れていようと、自分の城は、一点の曇りもなく磨き上げる。

日本は、外をきれいにして、世間に顔を立てる。 イタリアは、中をきれいにして、家族と客をもてなす。 どちらが正しいという話ではなく、「きれい」の基準が、まるで逆を向いているのが、面白かった。
そんな中でイタリア人に招かれての最初の単身赴任時の夕食はとても
幸せな気持ちにさせてくれたことを今でも思い出す。

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