ミラノで覚えた、本物のジェラートの見分け方
夏のミラノを歩いていると、道の角ごとにジェラテリアがある。ショーケースの中で、ピンクや黄緑や真っ青のジェラートが、こんもりと山を作ってツヤツヤ光っている。虹みたいで、正直、めちゃくちゃ美味しそうに見える。
でも――ミラノで暮らすうちに、僕はだんだん「あの派手なやつ」を素通りするようになった。

というのも、あの色つやこそが、実は"見分けの手がかり"だったからです。今日は、旅行で使える「本物のジェラートの見分け方」を三つ。
① 色が地味なほど、疑わしくない
これがいちばん意外なところ。派手な色は、逆に注意サインなんです。
天然の素材だけで作ると、色ってどうしても地味になる。本物のピスタチオはくすんだ灰緑色。鮮やかな緑はたいてい着色料の仕業です。バナナ味も、黄色くならない。すりおろしたバナナは酸化して、むしろ少し灰色がかる。ミントも真緑じゃなくて、白っぽい。
だから、「わあキレイ!」より「なんか色、地味だな…」のほうが、口に入れた瞬間に裏切られる(いい意味で)確率が高い。
② 山盛り・ツヤツヤは"見せ用"のことがある
ショーケースでこんもり盛り上がって、角までピンと立って、テカテカしている――あの造形美は、空気をたっぷり含ませて、安定剤で形をキープしているから保てる、ということが少なくない。もちろん全部がそうとは言わないけれど、"映える見た目"と"素材の味"は、必ずしも一致しないんですね。
③ 丸い金属の蓋を探せ(ポッツェッティ)
そして僕がいちばん信頼しているのがこれ。カウンターに、丸い金属の蓋がずらっと並んでいる店。あれは「ポッツェッティ」といって、ジェラートを蓋つきの筒に沈めて保存する昔ながらのやり方です。空気と光にさらさないから、酸化せず、香りが飛ばない。
見た目に派手さはない。蓋を開けるまで中身も見えない。でも、その"隠している"感じこそ、作り手が味を守っている証拠なんです。
――というわけで。今の僕は、虹色の山盛りより、地味な色が蓋の下に静かに隠れている店を探して歩く。ミラノがくれた、ちょっと偏屈な"目"の話でした。
