語られざる天才性を言語化する技術〜“当たり前”の奥に眠る、成果の本質を見抜く─暗黙知のモデリングからはじまる探究の旅〜
【第4回】
「わかる」と「できる」の決定的な違い
〜知識があっても行動できない、
そのギャップを生む“暗黙知の断絶”〜
1. 「わかってるのに、なぜできない?」
勉強して、知識も得た。
講義や本で理解した。
頭では「なるほど、そうか」と納得している。
けれど―なぜか、行動に移せない。
実践の場では、「あれ?どうすれば…?」と手が止まる。
そんな経験はありませんか?
これは、意思と意志や根性の問題ではありません。
“知っていること”と“できること”の間には、
構造的な断絶があるのです。
2. そのギャップの正体は「暗黙知の不在」
この断絶を埋めているのが、
実は“目に見えない知”─暗黙知(Tacit Knowledge)です。
私たちは、学んだ知識(=形式知)だけでは、
行動に移せません。
行動には、次のような“暗黙の構造”が必要です:
どのタイミングで反応すればいいかという
「身体感覚」状況や相手に合わせて微調整する
「判断軸」現場で無意識に働いている
「感覚的なスイッチ」
これらはほとんど言葉にはされません。
でも、これが“あるかどうか”が、
行動できるかどうかを決めるのです。
3. なほ様の体験に見えた「理解と行動のズレ」
なほ様のレビューには、こんな言葉がありました。
「学ぶこと自体が目的になっていて、
実務でどう使うかを考える視点が欠けていた」
「知識を得て満足し、行動にまで落とし込めていなかった」
まさに、“わかる”が“できる”につながらない構造です。
これは「意識の問題」ではなく、
構造の未接続なのです。
4. 「知識がある人」が「成果を出せる人」とは限らない
教育現場や研修の場面でも、
こうしたズレはよく見られます。
テストでは高得点
理論は完璧に説明できる
でも、現場では動けない
これは、「頭の中の理解」だけでは
「現場での行動」に至らないことを物語っています。
つまり、成果とは、知識×暗黙知の掛け算なのです。
どちらが欠けても、“本当の実践”は成立しません。
5. 暗黙知を介さずに、知識は行動化しない
ここで重要なのは、
知識と実践の間に、
「暗黙知」という媒介層が存在しているということです。
◇形式知(わかる)
↓
◇暗黙知(感じる・判断する・適応する)
↓
◇実践知(できる)
この“中間層”が抜けていると、
知識は空回りし、実践には結びつきません。
だからこそ、
モデリングではこの「暗黙知の断絶」を
どう架橋するかが最大のポイントとなります。
6. 成果者の「わかっていること」は、言語の外にある
私 石川大雅がこれまでモデリングしてきた成果者たちは、
しばしばこう言います。
「それって、感覚的にやってるだけなんだよね」
「説明しろって言われても…難しい」
「普通にやってるだけなんだけどなあ」
この「普通」「感覚的」という言葉の奥にこそ、
行動に直結する天才性=暗黙知が宿っています。
7. 暗黙知の架け橋としての「問い・観察・再構築」
この連載では、
この「暗黙知の断絶」をどう橋渡しするか──
その方法論を丁寧に扱っていきます。
具体的には、以下の3つのステップです:
問いかける:
なぜそれができたのか?と本人にも意識化させる問いを重ねる。観察する:
言葉になっていない判断や行動の微細な特徴を丁寧に見る。構造化・言語化する:
感覚や状態を「使える知」として再構築する。
この技術こそが、
「わかる」を「できる」に変えるための鍵です。
【次回予告】
【第5回】
教科書には書かれていない「知」の正体
〜形式知だけでは届かない、学校教育が見落としてきた知の深層〜
