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乳幼児期の発達支援で一番大切なこと

親御さんは我が子に、先生はクラスの子どもたちに。
一生懸命発達の支援をしているのに、なぜかうまくいかないと感じることはありませんか。
そんなときは、その子の「今の発達段階」を見直してみる必要があるかもしれません。

いいはずの方法が効かないときに見直すこと

園での相談支援に携わる心理職として、私が乳幼児期の発達支援で何より大切にしているのは、「その子の発達段階をきちんとアセスメントする(見立てる)こと」です。

たとえば──

  • 「一般に『よい』と言われている方法も、この子には効果がなかった」

  • 「この方法を試して解決したけど、別の困った状況が出てくるようになった」

  • 「療育の方針通り〇〇は伸びているけれど、気になっている△△は変わらない」

こんな悩みや状況を抱えている保護者や先生は、少なくありません。
その背景には、発達段階との“ズレ”があるのかもしれません。


「視覚優位だから」で進めてもうまくいかないとき——事例で考える

「視覚優位だから視覚支援を」と考えるのは自然な流れです。
ただ、大切なのは、「視覚優位だから何をするか」ではなく、今この子にとって“支援が必要な育ち”は何かを見立てることです。
ありがちな事例を挙げてみましょう。

事例1:絵カード遊びを頑張っているのに言葉が出ないA君

2歳児クラスのA君は、言葉がゆっくりな子です。担任の先生は、親御さんから「視覚優位だから、絵カードで遊ばせるように専門家から助言を受けている」と伺っていました。
そこで、犬や車やコップなどの絵カードをせっせと見せて、単語を教えておられました。

「それで、この遊びを始めてから言葉は出始めましたか?」と尋ねると、
「いいえ、それが全然…。」

私がA君を観察させていただいたところ──A君はまだ「誰かと一緒に遊ぶ」ことを楽しいと思える気持ちが育っていないように見えました。

もっというと、「誰かと一緒に遊ぶ楽しさ」を知る以前、目の前にいる「人」を意識することも難しい発達段階にいるようです。

私は、
「まず、目の前の人(先生)に関心をもってもらうことから始めましょう。人と関わることが楽しい、嬉しいという気持ちをしっかり育てていくことが大切です。絵カードが役に立つのはその次の段階です。」
と伝え、具体的な方法を提案しました。


事例2:「×」を見せても伝わらないBちゃん

Bちゃんの親御さんは、「この子は視覚優位なタイプらしいので、ダメなことを教えるときは、こうしているのですが」と、両腕をクロスして大きく「×」を作って見せておられます。

「でも、全然言うことを聞いてくれなくて。この子には視覚支援が効かないんです。」

Bちゃんは、お母さんの「×」の動作を確かに見ているのですが、従おうとはしません。まるでお母さんの注意を無視しているように見えます。

しかし、私が簡単な遊びを通して関わるなかで、実はまだ「いいこと」「わるいこと」を区別できていない、というか理解できていないことがわかりました。

「〇=いいこと=もっとしよう、続けよう」
「×=悪いこと=止めよう」

私は、
「このような認識、そして後に続く行動は、多くの子どもは自然に身につけていくので先生や親御さんも意識することが少ないかもしれません。でも、ここを育てるのに、ひと工夫が必要なタイプのお子さんです。」
と説明して、普段の関わりや遊びの中でそれらの概念を育てる方法と、+αを提案しました。


合わない方法が引き起こすこと

どんなに素晴らしくて定評がある方法も、タイミングが「その時のその子の発達段階」に合っていないと、効果が出ないだけではありません。逆効果になることもあります。

お子さんの負担が増えてしまったり、反対に難しさが目立つようになってきてしまうこともあります。
そして何よりも、時間だけが過ぎてしまうことになりかねません。

しかし、巷にあふれかえる情報の数々・・・。
最近、驚いたのは、書店の心理学書のコーナーに、私が発達領域の仕事に関わり始めた十数年前とは、比べものにならないほどのタイトルや内容、量の本が、所狭しと並べられていたことです。

本のタイトルは、発達障害を持つ子どもや大人の「伸ばし方」「育て方」「遊び方」 や「ほめ方」。
「コミュニケーション」「就職」「指導」「勉強」「生活」のしかた、させかた。
発達障害がよくなるとする「食事」や「サプリメント」。
発達障害の「薬とのつきあい方」から「なおし方」にいたるまで。

私がこういった情報に接していつも思うのは、
「いいことが書いてある本はたくさんあるのに、この子の段階では“今は”効果が出にくいことがある」
ということです。

X(旧Twitter)やブログなどのネット情報、おじいちゃんおばあちゃんの体験談、先輩ママ友からのアドバイスも──残念ながら例外ではありません。

子どもの発達は、千差万別、百人百様。
例え同じ発達の特性を持っていても、それをサポートする関わり方はひとり一人違います。


まとめ 効かないときは「発達段階に合っている?」を点検する

いいはずの方法を試してみて効果がない時は、

「この子の発達段階に合っていないのかも?」

と、いまいちど振り返ってみてください。

追記 別記事のご案内

地域差や支援体制、専門家のばらつきについては、長くなったので別記事にまとめる予定です。〔 近日中に公開 〕







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なおこ先生👶キンダーカウンセラー ありがとうございます。 いただいたサポートは、書籍の購入や学会等の参加費に活用し、社会に還元できるようこれからの発信に繋げていきます。