今もなおコメが高いのは「足りないから」

「2025年はコメが豊作で米が余っているはずなのに高いのはおかしい」という意見や記事が増えているように思う。
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/fca9f93542c0e10918d168ab643ef3033def721b&preview=auto
しかし私は「足りないからコメは高くなっている」と見ている。これについて説明を試みてみようと思う。

三菱総合研究所の 稲垣氏の資産によると 2022年、23年、24年の3年間での米の不足は 97万トンに上る。
https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20250807_2.html
他方、2025年のコメの生産量は、需要量より50万トン多い程度だと推定されている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA100A90Q5A011C2000000/#:~:text=農林水産省は10,ぶりの水準に増える。
差し行引き47万トンの不足。

いや 備蓄米が出ているじゃないかと思われる方も多いと思う。確かに 2025年7月の段階で60万トン以上の備蓄米が放出されている。
https://www.asahi.com/sp/articles/AST5J2JGNT5JUEFT008M.html
これなら上記47万トンの不足と差し引きしても10万トン以上コメがだぶついている計算になる。ただし。

備蓄米を大量に出したため、倉庫がスッカラカン。市場というものは、いずれは備蓄米を100万トンに戻さねばならないという「潜在需要」も織り込んで動く。そう考えると、一見市場ではコメ余りに見えても、備蓄米は現在15万トンにまで減少してるから、潜在需要は85万トン。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA203JB0Q5A620C2000000/#:~:text=小泉進次郎農相は20,日に早める予定だ。

さっきの10万トンの余剰は、85万トンの潜在需要と差し引きすると、75万トンの不足ということになる。今年の豊作のおかげで不足感はかなりマシになったようだけど、97万トンの不足が75万トンの不足に軽減されただけだと考えると、まだまだ不足していると考えたほうがよい。

また、備蓄米と新米を同列に考えるのも無理はある。コメは野菜と比べれば日持ちするとはいえ、やはり生鮮食品。特に精米してしまうと劣化は早くなる。しかも古古古米なんかになると、しっかりコメを研がないと臭いと言われているし、品質において新米と同列に扱うことは矢張り無理がある。

そんなこんなで、備蓄米がスッカラカンであり、これもいずれ100万トンの水準に戻さねば食糧安全保障上危険である、ということを考えると、コメは余っているどころか、潜在的に足りていない状況だと思う。しかも備蓄米と新米は同列に扱えない。だからコメは不足し、不足してるから高いのだと思う。

政府としては、「コメはたっぷりある、だから慌てる必要はない」とアナウンスすることで国民の不安を和らげるとともに、市場の熱狂を冷まそうと「心理作戦」を展開しているのだと思う。しかし市場というのはその点冷静で、だまされにくい。「足りないものは足りない」から、高くなっているのだろう。

「コメは余っているはずだ、余っているのにこんなに高いのは、誰かが買い占めて値段をつり上げようとしているからに違いない」と、またぞろありもしない犯人探しが起きかねない状況がそろいつつあるように感じる。しかし、いくらごまかそうとしても、市場はそのウソを見抜いて動く。

コメは足りてない。不足。だから高値。今さら古い備蓄米をもう一度備蓄しようとしても日持ちしないからそんなことはしない。でも備蓄米は、いったん精米すると新米よりはるかに劣化が早いから、売れ残ればさっさと廃棄(あるいは家畜のエサ)となりかねない。新米とは同列に扱えない。

とりあえず今年が豊作で、不足感を軽減したのはまずよし。問題は来年以降。私の試算通り、現在の不足が75万トンだとすると、来年、また需要量より50万トン多い豊作だったとしても、まだ20万トン以上の不足感が残る。そう考えると、来年、よほどの増産とならない限り、まだ高値が続くかも。

でも他方、5kg5000円というのはいかにも高く、価格が一服してる小麦製品に需要が移るかもしれない。パスタ何かはかなり安いし。そうなると、コメの需要が来年は減るかもしれない。そしたら、今年程度の豊作になったらコメ余りが来年は起きるかもしれない。

でもそうならないかもしれない。コメだけでなく、野菜も肉も卵も何もかも高くなっている。「おかず」が買えない家庭が増えてきているように思う。2024年のふりかけの売り上げが過去最高になったのは、おかずを買えずにコメにふりかけかけて飢えをしのいだ人が多かったということ。

もしかしたら、コメが高くて買えないという以上に、おかずが買えないので代わりにコメにふりかけかけて飢えをしのぐ、という人が増えかねない。そうなると、コメの消費は減るところか増える可能性もある。人間の食欲はたんぱく質の摂取量でコントロールされている。もし肉が高くて買えなければ。

やむなく、コメか小麦製品を買って、飢えをしのぐという行動をとる人が増えるだろう。こうして考えると、コメの需要が増えるかもしれない要因と、減るかもしれない要因の2つが同時に起きるので、来年のコメの需要が増えるのか減るのか、予測が難しい。

来年がどうなるのか全く予想がつかない。農水省は非常に難しい舵取りを迫られることになるだろう。
一つ言えることは、「来年の新米が出るまではコメは不足し、高値が続く」だろうこと。少なくとも今年から来年の夏までは、コメが潜在的に不足しているのだから。

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