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「生きる意味は努力して成功すれば自然に見つかる」という思い込みが、豊かさの中で意味が失われる逆説を見えなくしていた

「一生懸命働き、目標を達成し、安定した生活を手に入れれば、生きている意味は自然にわかるはずだ」とずっと思っていた

努力して仕事で成果を出し、物質的に豊かな生活を築けば、「何のために生きているか」という問いは自然に解消されるはずだという感覚がありました。「生きる意味」について考えることは、まだ目標を達成できていない人の話であり、成功すれば消える問いだという前提がありました。「意味を求めるより、まず行動する」という実用主義的な姿勢が正しいと思っていました。

でも、物質的に不自由なくなったはずの時期に「なぜか空虚だ」という感覚が消えませんでした。達成すればするほど、次の目標が「もっと大きな空虚」を埋めるためのものになっていく感覚——それを説明する言葉を持っていませんでした。

上田紀行著『生きる意味』を読んで、その感覚の正体がわかりました。

上田紀行著『生きる意味』はこちらから読めます。


日本は今、経済的不況より深刻な「生きる意味の不況」の中にある

著者が本書で示す診断は、現代日本が経済的な不況よりはるかに深刻な「生きる意味の不況」の中にあるという事実です。物質的な豊かさを手に入れた後、「自分は何のために生きているのか」という問いに答えを持てない人々が増えている——それは努力が足りないからでも、成功が不十分だからでもなく、「生きる意味は外から与えられるものだ」という前提そのものが崩れたからだと著者は言います。

スリランカでの悪魔祓い研究を通じて「いのちのかがやき」という概念を体感した著者は、生きる意味とは「自分の人生が輝いている」という実感から生まれるものだという視点を提示します。その輝きは、数字で測れる成功や社会的な評価からは得られません。「生きる意味はもはや既製服ではなくオーダーメイドの時代に入った」——著者のこの一言は、現代人が生きる意味を外部に求め続けることの限界を端的に示しています。本書にはさらに、グローバル化と数値化が生む「意味の喪失」の構造と、社会が生きる意味を生み出す場になるための具体的な考察が続きます。ぜひ本書でその全貌を確かめてみてください。

「空虚な達成感」の正体がわかった

読む前と後で、自分の「達成と空虚のサイクル」への向き合い方が変わりました。以前は「目標が足りない」「もっと大きな目標を設定すればいい」という解決策しか思い浮かびませんでした。でも今は、「この達成感のなさは、達成が外から与えられた目標だったからではないか」という問いを持つようになりました。

具体的には、何かを達成したとき「これは自分が本当に望んでいたことか、それとも社会から与えられた目標だったのか」を問うようになりました。その問いを持てるかどうかが、「達成後の空虚」に飲み込まれるかどうかを変えます。著者が「かがやき」と呼ぶ感覚——自分の人生がいきいきしているという実感——を、日常のどの瞬間に感じているかを意識するようになると、「生きる意味」という問いが遠い哲学の話ではなく、今日のできごとへの向き合い方として具体的になります。

東工大教授として文化人類学とスリランカ研究を続ける著者が、現代日本の病理を診断した

上田紀行(1958年生まれ)は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授として文化人類学を専門とし、スリランカでの悪魔祓い研究をもとにした著作「かがやきの喪失」で知られる著者です。本書は2006年度の大学入試問題への出題数が全国1位となり、全国40以上の大学の入試に使われた一冊です。「生きる意味の不況」という診断は、20年以上経った今も色あせることなく現代日本の状況を言い当てています。

この本を読まなければ、生きる意味を成功や達成感で解決しようとし続け、豊かさの中で意味が失われる逆説と向き合う機会を持てないままでいたでしょう。

上田紀行著『生きる意味』はこちらから読めます。



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