【企画参加】お題 : 梅雨占い|#毎週ショートショートnote
占い袋にぎっしりと詰めこまれたツユウラナイの群れ。ある日の夕刻、一族の目の前で解放されると、黒い霧になって舞い上がり北へ去っていった。
我々は占いには従わない──
進路を南へ──
そう宣言する族長。
「でも、どうして南へ?」
僕がそう聞くと、何日も寝ずにツユウラナイを採集していた族長は血走った目で、
「お前は、こんなまやかしを信じるのか?」
かつて彼は、占いに盲目的に従う部族に疑問を持ち、抜け出したのだという。
「昔の人は、ツユウラナイにしたがってたの?」
おそるおそる僕が聞くと、
「ああ。しかし、あんなものはまやかしだ。やつらが北に行くなら水場は南だ。間違いない」
「なるほど」
占いとは逆に行く。
僕はそう頭に叩き込んだ。
翌年の同時期、また袋いっぱいのツユウラナイを解放すると、黒い霧が今度は西に去っていった。
我々は東へ向かう──
そう宣言する族長の隣で、必死に思い出す。
ええと。
東へ。族長はそう言った……
あ、逆……そうだ。占いの逆だ。
僕は族長に背を向け、歩き出した。
水場は、西だ。
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