身体管理学協会ニュース【2026年2月15日発行】

身体を正しく管理できる人を日本中に増やそう!/日本身体管理学協会事務局
◉【今週のご挨拶】
皆様こんにちは。立春を迎え、暦の上では春の始まりとなる2月です。とはいえ、まだ冬の寒さが続いており、体調管理が難しい時期でもありますね。
この時期、お客様から「お腹の調子が悪い」「なんとなく胃腸が重い」といったご相談を受けることが増えていませんか?
実は、冬から春への季節の変わり目は、気温の変化や生活リズムの乱れから、消化器系のトラブルが起こりやすい時期です。
「消化器系の不調には薬しかない」と思っていませんか?実は、運動・栄養・休養という身体管理の三本柱で、消化器の健康を整えられることが医科学的に示されています。腸内環境、ストレス管理、運動習慣という視点から、トレーナー・健康指導者としてお客様に提供できる価値は、想像以上に大きいのです。
◉【身体管理学協会からのお知らせ】
「なんとなく知っている」を「根拠を持って伝えられる」に変える、最後のチャンスです。
トレーナーや健康指導者として現場に立つとき、こんな経験はありませんか?
「お客様に質問されたが、根拠を持って答えられなかった」 「知識はあるはずなのに、点と点が繋がらず体系的に説明できない」 「SNSや書籍で情報を得ているが、何が正しいのか判断できない」
それは、知識の「土台」が整っていないサインです。
身体管理指導士®養成講座は、運動・栄養・休養を医科学的根拠に基づいて体系的に学べる、日本で唯一の総合的な養成プログラムです。これまで多くの受講者の方々から、以下のようなお声をいただいています。
「この講座の内容を30年前に知っていれば、私の人生は間違いなくもっと良くなっていたと感じました」
「率直に、トレーナーという職業を本気で志す方は、必須条件として受けるべき講座だと思います」
「全ての項目の根本になるものを学べる」
今あなたが費やしている時間と労力を、正しい方向に使ったら、どんな未来が待っていると思いますか?
経験が浅い方もご安心ください。これまで多くの方が「経験は少ない」という状態で受講し、その後の現場で「自分の軸が明確になった」と実感していただいています。
まず「土台」を作る。それができるのは、今このタイミングです。
お問合せはこちらからどうぞ
2026年は、資格者保有者向けの勉強会など新しい企画も随時開催予定です。
◉内科的身体管理の視点
【第88回:「健康指導者ができる消化器系の身体管理」】
こんにちは、神谷です。
このnoteを読みくださっている皆様へ、身体管理を指導するトレーナーに必要な内科系関連の情報を、今回も交えてお伝えします。
今回のテーマは「消化器系の身体管理」です。消化器は栄養吸収の場であるだけでなく、免疫機能や精神状態にも深く関わる「全身の健康の要」です。近年の研究では、腸内環境が肥満・糖尿病・うつ病・認知症などの発症リスクとも関連することが明らかになっています。
健康指導者として、お客様の消化器系の健康を整えるためのアプローチを、医科学的根拠とともに3つのポイントに絞ってお伝えします。
ポイント1:「腸内環境の調整」が全身の健康の土台
消化器系の健康において最も重要なのが「腸内環境」です。腸内には約1000種類・100兆個の細菌が生息し、これらが形成する「腸内フローラ(腸内細菌叢)」が、私たちの健康を左右しています。
腸内環境と肥満・糖尿病の関係:
医薬基盤・健康・栄養研究所が217名を対象に行った研究では、肥満でない方や糖尿病患者でない方の腸内には、ビフィズス菌・酪酸産生菌であるフィーカリバクテリウム菌・ブラウティア菌の割合が多いことが判明しました(参照:日本生化学会誌 2023年95巻4号)。
つまり、腸内細菌の構成が肥満や糖尿病のリスクに関係しており、腸内環境を改善することで生活習慣病の予防・改善が期待できるということです。
腸内環境と免疫機能:
免疫細胞の約60〜80%は腸に存在し、腸は「最大の免疫器官」と呼ばれています。腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸・プロピオン酸)は、免疫細胞の活性化や腸のバリア機能の維持に重要な役割を果たします(参照:株式会社明治「腸内環境を整えるメリット」)。
実践的な取り組み:
腸内環境を整えるためには、以下の栄養アプローチが有効です。
プロバイオティクス(善玉菌そのもの)の摂取: ビフィズス菌や乳酸菌を含むヨーグルト・発酵食品を日常的に摂取することで、腸内の善玉菌を増やすことができます。
プレバイオティクス(善玉菌のエサ)の摂取: 食物繊維やオリゴ糖は、腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を促進します。野菜・果物・全粒穀物・海藻類などを積極的に摂取することが推奨されます。
医薬基盤・健康・栄養研究所では、日本人の腸内細菌データと1600以上のメタデータ(食事・運動・血液データなど)を含むデータベースを構築しており、腸内環境と健康の関連が精力的に研究されています。
ポイント2:「運動による腸内環境の改善と消化機能の向上」
運動は、腸内細菌の構成を変化させ、消化器系の機能を向上させることが医科学的に示されています。
運動と腸内細菌叢の関係:
日本臨床スポーツ医学会誌(2019年34巻1号)では、運動がその腸内細菌の構成を変化させ、有益な代謝系をもつ腸内細菌叢に変化させることが報告されています。アスリートの腸内細菌叢は、運動と食事によりダメージを修復し、高エネルギー獲得系の腸内細菌叢に変化していることが興味深い知見として挙げられています。
日本スポーツ栄養協会(SNDJ)のナラティブレビューによると、座位時間が多く不活発な群では細菌の多様性が低く、アスリートは多様性が高いことが報告されています。また、アスリートは活動性の低い人よりも、筋肉の代謝回転と全身的な健康の向上に関連する短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸)を多く有していることが示されています。
運動と腸の蠕動運動:
適度な運動は、腸の蠕動運動を促進し、便秘の改善につながります。株式会社明治の報告では、体を動かすと腸の活動が促進されることが分かっており、適度な運動は血行が良くなり自律神経のバランスを整え、腸内環境改善につながるとされています。
実践的な取り組み:
週3回・30〜60分程度の有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・サイクリングなど)を継続することで、腸内細菌の多様性が向上し、短鎖脂肪酸の生産が活発になると報告されています(参照:RENA CLINIC「運動で腸内環境が変わる!」)。
また、腹部を刺激する運動(体幹トレーニング・ツイスト運動など)は、腸の蠕動運動を促進し、便秘の改善に効果的です。
健康指導者として、お客様に「運動は筋肉だけでなく腸内環境も改善する」という視点を伝えることで、運動継続のモチベーション向上につながります。
ポイント3:「脳腸相関とストレス管理」
近年、「脳腸相関(brain-gut interaction)」という概念が注目されています。これは、脳と腸が自律神経系やホルモンを介して密接に関連し、互いに影響を及ぼし合うことを示す言葉です。
ストレスと消化器系の関係:
公益財団法人腸内細菌学会の用語集によると、ストレス刺激によって誘発された副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)は、胃・十二指腸の運動を抑制し、一方で結腸運動を亢進させることが示されています。これが、ストレスによる便秘や下痢といった症状につながります。
九州大学の須藤信行教授らの研究では、腸内細菌をまったく持たない無菌マウスは、通常の腸内細菌を持つマウスに比べて、生体のストレス応答が過剰になることが明らかになっています。同時にビフィズス菌を与えると、過剰なストレス応答が通常マウスと同等レベルまで抑制されることが突き止められています(参照:健康財団「腸内細菌の良好な環境が自律神経のバランスを整える」)。
腸から脳への情報伝達:
迷走神経は脳と腸を直接結ぶ神経で、その情報伝達量の約90%は腸から脳への情報伝達で占められているとされています。つまり、腸の状態が脳の機能や精神状態に大きな影響を与えるということです。
実際に、過敏性腸症候群(IBS)の患者では、ストレスに対して過敏に反応し、腸の蠕動運動異常を起こすことが知られています。日本人のおよそ10人に1人がIBSにかかると報告されており、ストレス管理が消化器系の健康に不可欠であることが分かります(参照:ミルテル「腸が第二の脳と呼ばれるのはなぜ?」)。
実践的な取り組み:
ストレス管理のアプローチ: 適度な運動、質の良い睡眠、リラクゼーション(深呼吸・瞑想・ヨガなど)を取り入れることで、自律神経のバランスが整い、腸の機能が改善されます。
規則正しい生活リズム: 睡眠不足はストレス耐性を下げる大きな原因となります。生活リズムを整えて、質の良い睡眠が取れるような工夫をすることが、腸内環境の安定につながります。
健康指導者として、「ストレスが腸に影響を与え、腸の状態が脳に影響を与える」という脳腸相関の視点をお客様に伝えることで、運動・栄養・休養の三位一体の重要性を理解していただくことができます。
◉編集後記
暦の上では春の始まりですが、外はまだ冬の寒さの中にいますね。
この「春の始まりにもまだ冬の中にいる」という状態は、実はトレーナーや健康指導者としての私たちの姿にも重なるように思います。「もっと良くなりたい」という芽生え(春)は心にある。けれど、すぐに結果や変化は見えない(冬)。その間の過程で「自分は成長しているのか」と不安を感じる瞬間もあるかもしれません。
でも、立春には「春になる」という確実さがある。その確実さの裏側には、冬の間も地の下で根を張り続けていたものがある。見えなくても、動かしていたものがある。
この1年を豊かにするためのコツは、「今日だけの結果」を見る習慣をやめ、「根を張る時間」も自分の成長の一つとして受け入れてみることかもしれません。栄養や運動や休養の指導も、お客様の身体管理も、そして自分自身のキャリアも。根張りの時期がある組織や人が、きちんと春になるのではないかと思います。
それでは、また次回の更新をお楽しみに!
