見出し画像

未達した営業組織に必要だったのは、戦略ではなく「狂気の当たり前」だった

昨年度の某日、四半期の最終日。
3名から5名に増えた私たちの
エンタープライズセールスチームは、
大幅未達に終わった。 

CROの宮城からも、
このまま成果を出せなければ、
エンタープライズ領域への投資を続ける意味がないと突きつけられた。
パイプラインはあったはずだったのに、未達。
振り返ってみると、答えはシンプルだった。

「圧倒的に、当たり前の基準が低かった。」

  • CRMがきちんと入力されておらず、ネクストアクションが曖昧。

  • お客様の課題が言語化されていない。

  • なぜ今すぐ導入すべきなのかが見えていない。

  • メールの返信が遅い。

  • 今Qの案件ばかり追っていて、次Qのパイプラインが薄い。

  • ISとAEの連携も弱い。

  • チームではなく、個人商店になっている。

一つひとつは、拍子抜けするくらい基本的なことだった。
でも、営業組織はこの基本が崩れた瞬間に弱くなる。
そして怖いのは、基本が崩れている組織ほど、
自分たちではそれに気づきにくい。

「プロダクトに問題がある」
「リードが足りない」
「市場が難しい」
そう言いたくなる。

が、本当はもっと手前で負けている。

当たり前を、当たり前の顔をして、やり切れていない。

このnoteでは、大幅未達の営業組織を、勝てるチームに変えるために何をやったのかを書きます。
すごい話はありません。
めちゃくちゃ地味です。
でも、組織を変えるのは、だいたい地味なことだと思っています。


案件はあった。でも「案件の実態」は見えていなかった

未達後、まずCRMを見直した。
そこで見えたのは、かなり厳しい現実だった。
案件はある。
が、、、、実態が見えない。

  • CRMの入力漏れがある。

  • 入力されていても、ネクストアクションが「日程調整」で止まっている。

  • お客様の課題が曖昧。

  • 提案している解決策も曖昧。

  • セキュリティやリーガルの状況も見えない。

パイプラインはあるように見えて、実際にはよめていなかった。
現場では、
「この案件はいけそうです」
「お客様の温度感は高いです」
こういう言葉がよく出てくる。
気持ち良くなるからだ。
でも、具体がなければフォーキャストには使えない。

  • 誰が、何に困っているのか。

  • なぜ今やる必要があるのか。

  • 誰が意思決定するのか。

  • 予算はあるのか。

  • 比較対象は何か。

  • セキュリティや・リーガルのリスクは何か。

  • 次に誰と、何を、いつ合意するのか。

ここまで見えていない案件は、
進んでいるように見えて、止まっている。
営業は「進んでいる感」に騙される。

温度感が高いです!
前向きです!
全部、便利な言葉だ。
でも、その言葉の裏に具体がなければ、
ただの願望でしかない。
未達の原因は、案件が足りなかったことだけではなかった。

案件を正しく見られていなかったこと。
チームとして、案件を見る基準が揃っていなかったこと。

ここに問題があった。


CRMは日報ではない。勝つための作戦盤だ

最初にやったのは、案件状況の可視化だった。

CRMの情報をスプレッドシートと連携し、

1: カミナシの提案領域はどこか?
2: 実務・経営課題は何か?
3: 競合は存在するのか?
4: カミナシの提案内容・必然性は何か?
5: 最終意思決定者(EB)は誰か?
6: championは誰で、推進の原動力は何か?
7: 契約締結までのプロセスはどうなっているのか?
8: 導入時期の必然性は何か?
9: 失注・期ズレリスクは何か、そしてその対策は何か?
10: リーガル・セキュリティ・与信チェックは合意できているのか?
11:次回アクション日とアクション内容

上記の情報を、全案件分シートで一覧で見られるようにした。

実際のスプレッドシート

これによって、状況が一瞬で見えるようになった。

「このネクストアクション、曖昧じゃない?」
「セキュリティシートは、いつ誰が回収するの?」
会話が変わった。
曖昧な会話が減り、具体の会話が増えた。

大事なのは、管理表を作ることではない。
そこに書かれている情報を見ながら、
毎週、毎日、案件の解像度を上げ続けることだ。

CRMは、上司に報告するための場所ではない。
勝つための作戦盤だ。
作戦盤に事実が載っていなければ、
勝ち筋なんて作れない。 
だから、入力基準を徹底的に上げた。

特にこだわったのは、ネクストアクションだった。
「日程調整します」
「先方確認中です」
「次回提案予定です」
これでは足りない。

  • 誰に、

  • いつ、

  • 何を伝え、

  • 何の合意を取り、

  • 次回どこまで進めるのか。

ネクストアクションが5W1Hで書かれていない案件は、徹底的に潰した。
ネクストアクションが曖昧な案件は、だいたい進んでいない。
というか失注になるケースがほとんどだ。

チーム全員で基準を徹底的に揃えた。


即レスは受注確度を上げる武器だ

もう一つ、徹底したのが即レスだった。
商談後のお礼メールはすぐ送る。
お客様からの返信にはすぐ返す。
こんなの当たり前だ。
でも、全然できていなかった。
「今日中に送ればいいか」
この小さな遅れが、お客様の温度を下げる。
エンタープライズセールスは、検討期間が長い。
関係者も多い。意思決定も複雑だ。
だからこそ、レスポンスの速さが信頼になる。

即レスは、ただの礼儀ではない。
受注確度を上げる武器だ。

僕はチームに「即レスしよう」と何度も言った。
たぶんリアルに100回以上言った。笑
それでも、すぐには変わらない。
だから、できていないメンバーとは毎日1on1をした。
商談後のお礼メール。お客様への返信。
止まっているものがないか、一緒に確認した。
泥臭すぎる。。
「なんでこんなことを毎日言わないといけないんだ」と思った日は何度もある。
でも、組織の基準を変えるとは、そういうことだ。
一度言っただけで変わるなら、マネジメントはいらない。

何度も言う。
何度も見る。
何度も戻す。
できないなら、一緒にやる。


マネージャーの仕事は、かっこいい戦略を語ることだけではない。

決めたことを、チームができるまで言い続けること。
できないなら、一緒にやること。
基準が下がったら、何度でも引き上げること。

これが、マネージャーの仕事だと思う。


今Qと次Qを同じ会議で話すな

次に変えたのが、パイプライン会議だった。
カミナシでは、3ヶ月ごとのQ単位で数字を追っている。
このサイクルでやっていると、どうしても目の前の案件に意識が寄る。

今Qの着地。
今月の受注。
今週のクロージング。

もちろん、大事だ。
でも、それだけを見ていると、
次Qのパイプラインがキツくなる。
以前は1時間のミーティングの中で、今Qの案件と次Qの案件が混ざっていた。

結果として、今Qの案件ばかり話してしまう。
次Q以降の話は薄くなって仕込みが遅れる。
また目の前の案件を必死に追う。

完全に自転車操業だった。

だから、会議を分けた。
今Qの案件を見る会議。
次Q以降のパイプラインを見る会議。

これだけで、会話の質が変わった。
今Qの会議では、受注に向けたリスクを潰す。
次Qの会議では、目標に対してどれだけパイプラインが不足しているのかを見る。
重要アカウントについて、誰に、いつ、どうアプローチするのかを議論する。

今Qの会議と次Qの会議は、目的が違う。
今Qの会議は、勝ち切るための会議。
次Qの会議は、勝てる状態を作るための会議。
ここを混ぜると、組織は火消し集団になる。

今Qと次Qを同じ会議で話している限り、営業組織はずっと自転車操業になる。

構造を変えてから、チームの視点が変わった。
今では、今Qの話よりも次Qの話をしている時間の方が多いこともある。
未来を見ている時間が増えた。
それだけで、組織は変わる。


ISとAEは仲良くするだけでは意味がない

SaaSの営業組織では、The Model型で分業している会社も多い。
ISが商談を作り、AEが商談を進める。
一見、合理的だ。
でも、分業は簡単に分断になる。
ISは商談を作ることが目的になる。
AEは「質が低い」と感じる。

受注・失注の理由は返らない。
だから、ISはどの商談が良かったのか、悪かったのかがわからない。
結果として、商談創出の質が上がらない。

カミナシでも、プロダクトが1つから4つに増える中で、
ターゲットや訴求の見極めが複雑になっていた。
AE側では「この案件はなぜトスアップされたんだろう」
と感じることが増えていた。
でも、それをAE側だけで言っていても何も変わらない。

そこで、AEからISへのフィードバックを「任意」ではなく、営業プロセスに組み込んだ。

トスアップされたすべての案件について、商談が進んだ理由・進まなかった理由をCRMに記載しなければ、次のフェーズへ進めない設計にした。
さらに、CRMに記載された内容はSlackへリアルタイムで共有される。
これにより、フィードバックが個人の記憶や口頭で終わらず、IS・AEの双方がすぐに確認し、次の商談創出や初回商談に活かせる状態をつくった。

一方で、AEからISに一方的にフィードバックするだけでは不十分だった。
ISからAEに対しても、商談化前に見えていたお客様の温度感、刺さった訴求、違和感があったポイントを共有してもらうようにした。

「なぜこの商談をトスアップしたのか」
「お客様は何に一番反応していたのか」
「初回商談でどこを深掘るべきか」

こうしたIS側の一次情報をAEが受け取ることで、初回商談の質も上がる。
AEは受注・失注の結果をISに返す。
ISは商談化前の仮説や顧客の反応をAEに返す。
この双方向のフィードバックを続けることで、
ISとAEは、分断された組織ではなく、
受注に向けて一緒に商談をつくるチームに変わり始めた。


さらに、AEごとの保有パイプライン数を定義し、メンバーごとのCVRや得意業界を毎週確認するようにした。

以前は、カレンダーの空き状況をもとに、商談がランダムに割り振られることもあった。

しかし、AEごとのパイプライン状況や得意領域を見ながら、
「この案件を誰に渡せば、最も受注確度が高まるのか」
をISとAEのマネージャーが徹底的に考える。

その結果、組織全体の生産性も上がっていった。
ISとAEの連携で大事なのは、仲良くすることではない。

商談の質を上げるためのフィードバックループを作ることだ。

良い商談は、なぜ良かったのか。
悪い商談は、なぜ進まなかったのか。
次にどう変えるのか。
これを回し続ける。
それだけで、ISもAEも強くなる。


セールスを個人商店にするな

セールスは、放っておくと個人商店になる。
自分の案件。自分の数字。自分の商談。自分のやり方。
気づけば、チームで勝つための知見が共有されず、
それぞれが自分のやり方だけで戦う状態になってしまう。

もちろん、個の力は大事だ。

でも、エンタープライズセールスは、
個人だけで勝ち続けられるほど甘くない。

関係者は多い。
検討期間は長い。
提案は複雑。
社内連携も必要。
お客様の業務理解も深く求められる。

だからこそ、チームで勝つ必要がある。
当時は、メンバーが増える中で、
出張も増え、コミュニケーション頻度も減っていた。

新しいメンバーが何に悩んでいるのか。
古参メンバーがどんな壁を越えてきたのか。
それぞれがどんな目標を持っているのか。
どんな思いで日々仕事をしているのか。
お互いに見えにくくなっていた。

そこで、3ヶ月に1回のオフサイトで、QのOKRを発表し合うようにした。
それぞれが目標を言語化する。
お互いにコメントする。
称賛し合う。

OKRは立てて終わりでは意味がない。
OKRを立てて満足してしまう組織は、あまりにも多い。
大事なのは、PDCAのPとDではなく、むしろ「CとA」だと思う。

立てたOKRに対して、月次で進捗を共有する。
何ができていて、何ができていないのかを振り返る。
翌月、何を変えるのかを徹底的に話し合う。
これをチームで繰り返すことで、少しずつメンバーの方向性が揃っていった。

困っているメンバーがいれば、誰かが1on1する。
商談に同行する。
資料を一緒に見る。
提案の壁打ちをする。
新メンバーの商談には、古参メンバーが同行する。

マネージャーが支援するのは当たり前だ。
でも、それだけでは強いチームにはならない。
メンバー同士で助け合える状態になって、初めてチームになる。

僕は、Salesforceがよく言っている、
1人で勝つな。1人で負けるな。
という言葉がとても好きだ。

誰かの受注は、チームの学びにする。
誰かの失注も、チームの学びにする。
うまくいったことは共有する。
うまくいかなかったことも隠さない。
個人の経験を、チームの資産にする。
これができるチームは強いと、心から思う。


強い営業組織は、当たり前の基準が異常に高い

振り返ると、やったことは本当に地味だった。

  • CRMをちゃんと入力する。

  • ネクストアクションを5W1Hで書く。

  • お礼メールをすぐ送る。

  • 返信を止めない。

  • 今Qと次Qを分けて見る。

  • ISとAEでフィードバックし合う。

  • 困っているメンバーを助ける。

  • 決めたことをやり切る。

どれも、聞いたことがある話だと思う。

でも、わかっていても、やり切れない。当たり前のことほど、徹底するのは難しい。

組織が大きくなると、人によって基準はバラバラになる。
同じ「当たり前」でも、人によって基準が違う。
だから、放っておくと基準は下がる。
マネージャーの仕事は、その基準を何度でも定義し直すことだ。
「ここまでやろう」
「これは絶対にやろう」
「これは許容しない」
「できないなら一緒にやろう」
「やり切ろう」
これを徹底的に言い続ける。
一度言っただけで変わるなら、組織づくりは簡単だ。
何度も言う。
何度も見る。
何度も一緒にやる。
少しずつ基準を上げる。

その先にしか、強いチームはない。
営業組織が未達になるとき、足りないのは必ずしもすごい戦略ではない。
むしろ多くの場合、もっと手前で崩れている。

僕たちがやっていることは、特別なことではない。
ただ、当たり前の基準を、高く置いている。


未経験でも勝てる。でも、基準が低い人は勝てない

カミナシは、もともとエンタープライズセールス経験者だけで作られた組織ではない。
僕自身も、最初からエンタープライズセールスの経験が豊富だったわけではない。

毎週CROと話しながら、
何が足りていないのか。
どうしたら改善できるのか。
どの案件をどう進めるべきなのか。
組織として何を変えるべきなのか。
ひたすら考え、実行し、振り返り、また変える。
その繰り返しだった。

そして、今チームで活躍しているのは、エンタープライズセールス経験者だけではない。
若手メンバー。
既存営業出身のメンバー。
最初から完璧だったわけではないメンバー。
そういうメンバーが、決めたことを素直にやり切り、大きく成長している。

派手な才能よりも、素直さ。
過去の成功体験よりも、学び続ける姿勢。
一発逆転よりも、凡事徹底。
個人プレーよりも、チームで勝つ姿勢。

未経験でも基準を上げ続けられる人には、いくらでもチャンスがある。


未達はしんどい。でも、未達は組織を変える

未達はしんどい。
でも、未達には向き合う価値がある。
未達は、組織の弱さを教えてくれる。

見えていなかった問題。
曖昧にしていた基準。
チームとして足りなかったもの。

それらが全部、表に出る。
そこから逃げずに、一つひとつ潰していく。
かっこいい話ではない。
でも、事業を伸ばすというのは、たぶんそういうことだと思う。

当たり前の基準を定義する。
決めたことを徹底する。
できるまでやる。
毎週改善する。
チームで勝つ。
これしかない。

カミナシのエンタープライズセールスは、まだまだ発展途上だ。
完璧な組織ではない。
今でも課題だらけだ。
でも、だからこそめちゃくちゃ面白い。

巨大な現場産業の変革に、本気で向き合う。
お客様の業務を深く理解し、現場の当たり前を変えていく。
まだ誰も作り切れていない市場で、勝ち方を作っていく。
そのために、僕たちは今日も泥臭くやっている。

向上心がある人。
素直に学べる人。
決めたことをやり切れる人。
チームで勝つことに本気になれる人。


そういう人にとって、カミナシはかなり面白い環境だと思う。
完成された組織に入るのではなく、これから勝てる組織を一緒につくっていく。

そんな挑戦を、一緒にしてくれる仲間を探しています。
一緒に、泥臭く、でも大きな成功を掴みにいきましょう。
お待ちしております。

____________________
note・Xのフォローをいただければ嬉しいです。
ご覧頂きまして、ありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!