『わたしはフェイクポルノ』 3話
◯ナツの自宅
ナツは部屋着でスマホを見ている。 部屋は明かりがついているがどことなく暗い。ショウにメールを返信している
文面:「ごめん体調が悪くなって、昨日も早退をしてた」
メールを送る表情は、暗く軽蔑の顔をしている。
ナツ:「自分のフェイクポルノがばら撒かれた女性なら、恋人には会いたくないはず」
ナツ:「これでいい。私は被害者を演じればいい」
ピンポーン
インターホンがなる。ナツは立ち上がりインターホンのモニターを見る。同期のアンズ、クルミ、モモカの3人がいる。ナツはインターホンに出て話しかける。
ナツ:「みんな…どうしたの?」
3人はナツの家に上がる。
クルミ:「これ、ミルクパウンドハウスのケーキ。よかったら食べて」
ナツ:「ありがとう。ごめんね心配かけて」
みんなをローテーブルの周りへ案内する”
モモカ:「こっちこそごめんね急に押しかけて。昨日のことアンズから聞いたよ」
3人はそれぞれテーブルの周りに座っていく。
ナツ:「あはは昨日は結構取り乱しちゃってたかも」
アンズ:「心配したんだよ。ゲーム会社に直接乗り込むなんていうから」
クルミ:「大丈夫だったの?」
ナツ:「うん…やっぱり画像生成AIで偶然似ただけで、学習工程にも問題がないから止めることはできないって 。割と偉い人も出てきて話したけど、だめだったよ」
アンズ:「今度はちゃんと弁護士とか雇ったらだめなの? 」
モモカ:「私たちも普段AI作ってる側だけど、女が傷つくようなもの作るのは絶対間違ってるよ」
ナツ:「ありがとう…でもこれ以上何かするのは難しいと思う」
ナツ:「ゲーム会社の人から聞いたんだけどね…」
3人はナツの話を黙って聞く。
アンズ:「えっ?」
ナツ:「直接見せてもらったから間違いないと思う」
クルミ:「でも!」
ナツ:「今日はありがとうね。みんな!本当に大丈夫だから」
3人は帰っていく。 ナツは1人部屋に戻る。机には紙袋が置いてある。
回想クルミ:「あとこれ、部署のみんなから差し入れとお詫びの品」
回想モモカ:「彼氏からもごめんてさ。噂を広めるのに加担してたかもしれないって」
ナツは袋を開ける
ナツ:「私の好きなハンドクリーム。こっちはバスボム。みんな気を遣ってくれてる…」
ナツの表情は申し訳なさと罪悪感が入り混じる。小さなお菓子と手紙にはイズミと書かれている。
ナツ:「イズミさんから?」
ナツ:「めずらしい。こういうのしなさそうなのに」
ナツは手紙を読む。 手紙の文面が画面の後ろに浮かぶ
イズミ文面:「時透さん 世の中には酔っ払って人に迷惑をかけてくる人がいます。それに絡まれてしまうのはあなたのせいではありません」
ナツ:「イズミさん、この間おじさんに絡まれたことが原因だと勘違いしているな」
ナツは以前助けてくれたことを思い出している。
イズミ文面 「気を落とさないでください。もし舐められたくない時は、空手の一番強い技を教えます」
ナツ:「ぷっ!」
ナツは吹き出してしまう。
ナツ:「そこは普通護身術とかでしょ」
イズミ文面 「時透さんのように優しい方には辛いこともあるかもしれません。早く良くなって、また一緒に働きましょう」
ナツ:「私は全然優しい人間じゃないの」
ナツはイズミの手紙に思わず泣きそうな笑顔になる
ナツ:「嘘つきで、目的のために復讐相手だけじゃなく、友達も、同僚もみんな騙してる」
ナツは手紙を顔に押し当てる。 ナツの脳裏に飛び降りた父の遺体がフラッシュバックする。
◇◇◇
シンスケがまだ学生のナツを止める。
シンスケ:「見ちゃだめだナっちゃん!」
◇◇◇
ナツ:「そうだ!私は絶対止まっちゃいけない…!」
ナツ:「お父さんの研究と、命を奪ったあいつらを地獄に落とすまで!」
ショウとその父親ダイセイの顔を思い浮かべる。ナツの目には強い復讐の炎が宿っている
ナツ:「計画は順調よ。ポルノが出回り始め、それで私が傷ついているとみんな思っている。順調すぎるぐらいに進んでいる」 ※順調すぎる のところに圏点をつける
ナツ:「そしてショウたちへの計画も、次のフェーズに進めそう」
ナツのスマホにはニュースの画面が映る。「次回 話題のイケメン社長『マリコの知らなきゃ損』出演へ」
◯オフィス
電気が消えているエントランスが映っている。守衛も暇そうだ。休日のオフィスはほとんど人がいない。クルミはパソコンで何かを調べている。アンズとモモカは後ろでそれを見ている。
クルミ:「あったわ。ナツの言った通り」
クルミ:「あのゲーム会社が使用してるAIは、うちの親会社が制作したものだわ」
クルミ:「販売記録もあのゲームへの使用していることも、契約書で確認が取れた」
アンズ:「それでうちのグループに不利益があるから、ナツはもう泣き寝入りするしかないってことなの!?」
アンズ:「そんなのあんまりだよ!」
アンズは悲しそうな悔しそうな顔をする
モモカ:「しかもこのAIの開発者は…」
画面には開発者としてショウの写真と名前が表示されている。 アンズが迷いながらも話し始める。
アンズ:「もし…もしもだよ?この人がナツの写真をAI学習に使ってたから、あんなそっくりな顔が出たんじゃ」
クルミ:「流石にそれはないわ!数枚の写真を学習させたところで、うまく出力しないのなんて知ってるでしょ?」
モモカ:「でもこの新しいAIは、少ないサンプルからの再現性が高いモデルでしょ?1枚のナツの写真から、精度の高い画像や動画を出せてもおかしくない」
クルミ:「いくらなんでも発送が飛躍しすぎよ。ちょっと頭を冷やしたほうがいいわ」
みんなバラバラにスマホをいじったりパソコンで調べ物をしたりしている。 モモカは少し離れたところでスマホをいじっている 。
裏垢らしきアカウントで呟いている画面「ハメ撮りをAIで学習させられたとか、マジであるんだ」
画面「なんでも持ってる女が落ちてくとこ、ホント気持ちいい」
彼氏からLINEがくる 「ナツの様子どうだった?」
モモカは返事をする。
モモカLINE「大丈夫だったよ。ありがとう」
モモカ心の声:「ありがとう。あんたがあのゲームを広めてくれたおかげだよ」
モモカは悪い顔で笑う バックには落ち込んでいるナツの顔が入る
3話 終わり
