見出し画像

メロンとマーケティング施策

今朝のメニューはメロン!


冷蔵庫のメロンが気になります。
マスクメロンです。毎朝触って、食べごろを探っていました。今朝は、夢にまでメロンが出てきたので、意を決していただくことにしました。

包丁を入れた瞬間、「あら、ちょっと固いかな」と思いましたが、食べ応えのあるフレッシュ、ということにしましょう。
朝だから、紅茶と一緒にいただきます。半分に切って、スプーンを差していただきます。
子どもの頃は四等分でした。外食の時も、小さく切られています。一人暮らしの特権で、半玉を大胆にいただきます。メロンの大人食べです。やっぱりメロンはおいしいな。幸せだー。

思い出のプリンスメロン


今日は、高級な(?)マスクメロンをいただきました。子どもの頃の贅沢品です。
80年代の私のメロンといえば、プリンスメロン。マスク=ネットのないタイプです。プリンスメロンが誕生したのは1962年(昭和37年)。

フランスの香り高い赤肉メロンと、日本のマクワウリを掛け合わせて作られた、いわば「洋メロン×和ウリのハーフ」です。
当時は高級な温室マスクメロンが主流で、庶民にはなかなか手が届きませんでしたが、プリンスメロンは露地でも育てやすく、収量も多く、味も良かったため、一気に全国へ広まりました。

「プリンス」の名は、「上品で高級感のあるメロンを、もっと身近に」というイメージから付けられたとされます。
さらに、昭和天皇のご長男である上皇陛下が皇太子として親しまれていた時代背景から、「プリンス=皇太子」を連想させる名前として付けられたという説もあります。
いわば「皇太子メロン」というイメージ戦略で、お祝いムードの昭和の日本にぴったりのネーミングだったのです。

日本人が初めて覚えた品種名

その当時、一般の消費者は「メロン」「ウリ」といった大ざっぱな呼び名しか知らないことが多かったのですが、「プリンスメロン」はテレビやスーパーなどで一気に名前が広まり、「一般消費者が最初に品種名として覚えた野菜」とも言われています。
昭和の食卓で「今日はプリンスメロンだよ」と固有名詞で呼ばれたことが、日本の「ブランド果物文化」の始まりの一つになったのです。昭和30年代から40年代にかけての、ブランドフルーツ・マーケティングの成功例ですね。

全盛期から懐かしの味へ

プリンスメロンは、1960〜70年代には全国で大量に作られ、「庶民派メロンの代名詞」でした。
昭和50年代前半、私の子ども時代は、初夏のフルーツといえばプリンスメロン。ウキウキしながらいただいたものです。

その後、アンデスメロンなどの新しい品種が次々に登場し、産地では品種交代が進みました。それでも今も一部の産地では栽培が続いており、「昔ながらのメロンの味」として懐かしむ人に、根強い人気があるそうです。

メロン進化のターニングポイント

プリンスメロンの成功によって、「安くておいしい露地メロン」というジャンルが確立され、各社が競うように新しい品種を開発するきっかけになりました。プリンスメロンは、メロンの「戦国時代」のスタートを切った存在、と評価されることもあります。

昭和50年代、1970年代後半から1980年代に入ると、アンデスメロンやクインシーメロンといった、「網目(ネット)があるのに手頃な価格」の品種が登場しました。
新たなマーケティングによって、「メロン=網目があるもの」という高級感のイメージが消費者の間で強まったことで、ツルツルしたプリンスメロンは徐々に主役の座を譲ることになります。

私が中学生になる頃から、プリンスメロン以外のネットがあるメロンも食べるようになりました。あれは、品種改良の成果が食卓まで広がってきたからなのですね。

令和の今、久しぶりに「プリンスメロンが食べたい!」と思っても、スーパーではなかなか見かけません。旬の時期に入る今の時期なら、手に入るでしょうか。これからは、目を皿のようにしてプリンスメロンを探したいと思います。

マスクメロンと私の施策


マスクメロンには、仕事の思い出があります。コロナ禍にご縁ができたフルーツの生産者の方が、私が働いていたブランドのロゴを、マスクメロンの編み目で描いてくれたのです。
メロンが成長する過程で傷をつけて、ブランドロゴを表現する。
それは、対面で仕事ができない、東京オリンピックの年。オフィスにも週に一度くらいしか行かない時代に、「デスクに果物が届いていて、いい匂いだから出勤して」と秘書の方に言われ、「果物なんていただくことあったっけ?」と思いながら出勤すると、デスクには大きな箱。そして甘い香り。箱を開けると、メロンが二つ。よく見ると、編み目でロゴが再現されていました。

それは、国産ジュースを贈答品として大量に購入した会社からの、思いがけないギフトでした。すごく感動して、写真を撮りまくり、社内中に見せびらかしました(笑)。
大反響で、社内でバズりました。

翌年も社会はまだ正常ではありません。ギフトを送り、顧客エクスペリエンスを提供しながらセールスを作っていた時代です。
私たちはロゴ入りメロンを数個注文し、メロンを納めるための桐箱を作り、風呂敷を準備しました。気分は「ドクターX」。上位顧客の中から、この洒落た感性を理解してくださる方を厳選し、担当セールス、あるいは百貨店の外商さんに手持ちで届けてもらいました。
「メロンを届けて、新作の紹介もしてくださいね。なんならお勧め予定の商品の請求書も一緒に」
「御意」
メロンの風呂敷包を持ったセールスも、ドクターX気分。仕事には、遊び心も必要です。

お客様には、思いがけない季節のご挨拶となり、とても喜んでいただき、結果として大きなセールスにつながりました。
ホスピタリティ・マーケティングの成功例です。メロンだから成功したのだと思います。
長年の「メロンは高級フルーツ」「メロンは最高の贈答品」という刷り込みがあったからこそ、洒落が効いたのです。

私がご縁から紡いだ施策。
私史上、最も費用対効果が高いホスピタリティ施策で、その売り上げ金額は、伝説となりました(←自画自賛♡)。

メロンから蘇る記憶は、半世紀以上前に始まったフルーツのブランディングの歴史でした。

甘い香りと爽やかな甘さの果肉に、幼い頃の憧れと、施策の成功による自己肯定感もミックスされて、さらに甘く感じます。
メロンは、私にとって幸せの味なのです。

半玉をぜいたくにいただく。
大人になったなと実感する瞬間。


いいなと思ったら応援しよう!

シェヘ|アラフィフ視点 応援ありがとうございます。とっても励みになります:)

この記事が参加している募集