♨️京都サウナ日記 #59二日市温泉公衆浴場の魅力♨︎御前湯
2025年12月31日、大晦日。
今年最後の湯納めに選んだのは、
福岡・二日市温泉の「御前湯」。

サウナもない。
水風呂もない。
あるのは、
熱い湯と、
湯煙と、
湯に包まれてほどけていく、
誰もが見せる安堵の表情。
それが250円で味わえるという奇跡。
ここにある"ととのい”は、
俺にとっての“原点”。
静かで、深くて、あたたかい“ととのい”。
御前湯の暖簾をくぐると、
年季の入った木の香りが鼻をくすぐる。
券売機で入浴券を買い、番台に渡すと、
番頭さんがにこやかに声をかけてくれる。
脱衣所のロッカーに荷物を預け、
浴室の引き戸を開ける。
湯気がもわっと立ち込める中、
飾り気のないタイル張りの浴槽が現れる。
ここは昔ながらの公衆浴場。
観光地の温泉施設でもなければ、
SNS映えするような派手さもない。
けれど俺は心の底からこの空間に安堵してる。
湯に足を入れた瞬間、思わず声が漏れる。
「熱い。」
肌を優しく包み込むような、まろやかな熱さ。
アルカリ性単純温泉の無色透明な湯が、
じんわりと身体の芯まで染み込んでくる。
肩まで浸かり、目を閉じる。
今年一年の記憶が、湯の中でゆっくりと浮かび上がってくる。

今年もいろんなことがあった。
サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を取得。
サウナを“趣味”から“生き方”へと昇華させる、
ひとつの節目だった。
大阪のスパワールド。
あの巨大なサウナ空間に足を踏み入れた瞬間、
世界が変わった。
ギリシャ風の高温サウナ、
フィンランド式のロウリュ、
アウフグーサの華麗なパフォーマンス、
シングルの水風呂に、充実のととのいチェア。
「サウナって、こんなにも多様で、
自由で、楽しいものだったのか」と、
目から鱗が落ちた。
そして12月。
俺のホームサウナ、
京都・天山の湯がリニューアルオープン。
木の香りが漂う新しいサウナ室には、
metos ikiが導入されていた。
ストーブの上で静かに蒸気を立ち上らせるikiの熱は、
肌の奥にじわじわと染み入り、
まるで薪ストーブのような、
やさしく包み込むような温もり。
そのぬくもりに身を委ねながら、
心までほぐれていく感覚を味わった。
そんな一年を経て、
俺は御前湯の湯の中にいる。
サウナもない。
水風呂もない。
けれど、ここには"はじまり"がある。
湯に浸かり、ただ静かに自分と向き合う時間。
湯から上がり、シャワーで水をかぶる。
キンと冷えた空気が肌を引き締める。
外に出て、小さなベンチに腰を下ろす。
深く息を吸い、ゆっくりと吐き出す。
これが、俺の“ととのい”だ。
静かに、2025年が終わっていく。
ありがとう、御前湯。
ありがとう、2025年。
来年もまた、湯を求めて、
サウナを求めて旅に出よう。
だが、どんなに新しいサウナに出会っても、
御前湯のような“原点”を、俺は忘れない。

