♨️九州サウナ日記 #103湯気の奥にある、家族が帰る場所🏠二日市温泉 御前湯
お盆休みに帰る場所。
二日市温泉・御前湯。
サウナもない、
水風呂もない、
大人250円の公衆浴場。
けれど、
ここには
整いよりもずっと深い、
家族の記憶が沈んでいる。

御前湯♨️
江戸時代、
黒田藩主が湯治に訪れたことから
名がついたそうな。
由緒ある共同浴場。
湯はやわらかくて、
人懐っこい。
皆が集まると、
誰が言い出すでもなく
「御前湯、行こ」となる場所。
距離が近いぶん、
ぶつかることも多い家族の関係。
言わんでいいことを言ってしまったり、
言うべきことを飲み込んでしまったり。
そんな関係も、
湯に浸かれば、
余計な角がすっと落ちる。
湯気が、
感情の輪郭をやわらかくしてくれる。
そしてふと思い出す。
小さかった我が子の手を引いて
御前湯に入った日のこと。
湯気の向こうで、
ちょっと緊張した顔をしていた小さな手。
湯に触れた瞬間、
ほっとして自分の腕に寄ってきた温度。
御前湯の湯気の中では、
言葉よりも先に心がほどけてゆく。
湯に浸かるだけで、
家族の時間が少しやさしくなる。
長湯をすることもなく、
ととのいを求めるわけでもなく、
サクッと入って、サクッと帰る。
それが御前湯。
湯気の奥に、 帰る場所がある。
豪華さも、 派手さもないけれど、
この湯は、
家族の歴史をそっと温め続けてくれる。
大切な場所。
自分を整えてくれる場所。
湯の持つ力を教えてくれる場所。


