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工場あるある|現場のユニフォーム、作業着の話|前編

作業着あるある。それ、全部理由があります

いまさらの話ですが「作業着の定番メーカー、ワークマン」が「おしゃれ」に力を入れ話題となりました。
作業着の店、というイメージだったはずが、いつの間にか普段着としても選ばれる存在になっています。

防寒、耐久、撥水。

もともと現場向けに磨かれてきた機能が、「デザイン」という名前をもらって表に出てきた感じです。
作業着がファッションとして語られるようになったのは、悪いことではないと思います。

ただ、工場で働いている身としては、少し違うところにも目が行きます。

現場の作業着は、今も昔も――
安全のために着る服だからです。


作業服は「作業のための服」

作業服というと、工場や建設現場の服を思い浮かべる人が多いかもしれません。
けれど、「作業のために、環境から身を守る服」と考えると、その範囲は一気に広がります。

たとえば、宇宙服。
あれも極限環境で作業をするための、いわば究極の作業服です。

真空、放射線、激しい温度差。
人がそのままでは生きられない場所で仕事をするために、徹底的に考え抜かれた装備です。

そう考えると、工場の作業着も同じです。
規模や環境は違っても、
安全に作業し、無事に戻るための服
という役割は変わりません。


作業着あるある①:会社ごとに全然ちがう

工場によって、作業着のルールは本当にさまざまです。

・企業カラーで上下・帽子・安全靴まで完全に統一
・ある程度自由で、私服に近いところ
・支給はあるけれど、追加分は自腹
・指定モデルの安全靴が、地味に足に合わない
 
※安全靴は、つま先に鉄板(先芯)が入った作業用   の靴で、重いものが足に落ちてきたときに、足先を守る役割があります。

作業着を見ると、その会社の雰囲気がなんとなく伝わってきます。
管理を重視しているのか、現場の裁量を大切にしているのか。
そんなことまで、服装に表れる気がします。


作業着あるある②:暑くても長袖

夏の現場で長袖。
正直、きついです。

それでも半袖にならないのには、理由があります。

切り粉、火花、油、薬品。
どれも一瞬で肌を傷つけるものです。

少し暑いくらいなら我慢できても、ケガは取り返しがつきません。
作業着は、楽をするための服ではなく、
無事に帰るための服です。

汚れるのは当たり前。
むしろ、作業着が汚れているのは、
ちゃんと現場に立って仕事をしている証拠でもあります。


作業着と「伝統」が結びつく仕事

作業着の中には、安全性よりも、
伝統や役割を受け継ぐ意味合いが強い服もあります。

たとえば、大工や鳶職が着る法被。
動きやすさはありますが、どちらかといえば
「職人であることを示す装い」としての意味合いが強いように感じます。

職業ではありませんが、消防団の法被もそうです。
あれは防火服ではなく、
地域の中での役割や立場を示すための服です。

ほかにも、

・祭りの運営に関わる人の装い
・伝統工芸の職人が着る決まった作業服
 など、
安全とは別の文脈で残っている作業着は意外と多くあります。

作業着は、守るための道具であると同時に、
「何をしている人なのか」を伝えるメッセージでもあるのかもしれません。


作業着メーカーの話

作業着とひとことで言っても、メーカーごとに考え方はかなり違います。
国内には、何十年も現場と向き合ってきた老舗メーカーが多くあります。

価格を見ると、「作業着にしては高い」と感じるものもあります。
けれど、縫製の強さ、生地の耐久性、動いたときの突っ張りにくさ。
毎日着て、毎日洗って、毎日動く人間からすると、その差は確かに感じます。

一方で、海外の作業服を見ると、また違った文化があります。
ジーンズにネルシャツといった組み合わせは、
作業着でありながら、どこかスタイリッシュです。

「働く姿そのものをどう見せるか」
そんな意識が、日本より前に出ているようにも感じます。

日本の作業着は、
安全、統一、機能
を重視して発展してきました。
それは、現場で事故を起こさないことを最優先にしてきた結果でもあります。

最近では、そうした安全性を土台にしながら、
動きやすさやデザイン性にも目を向けるメーカーが増えてきました。
作業着が「隠れるもの」から「見られるもの」へ、
少しずつ立ち位置を変えているように思います。


作業着がファッションになるとき

作業着の世界を見ていると、
つなぎやオーバーオールといった服が、
プライベートのファッションとして定着している流れにも気づきます。

Dickies」のように、
もともとは作業用として生まれた服が、
丈夫さやシルエットの良さから、普段着として支持されている例もあります。

機能を突き詰めた結果、余計なものが削ぎ落とされ、
それが「かっこよさ」として受け取られている。
そんな見方もできそうです。


作業着は、無事に帰るための道具

作業着がおしゃれになる流れは、これからも続いていくと思います。
それ自体は、決して悪いことではありません。

ただ、現場で着ている作業着は、
自己表現よりも先に、
安全と日常を守るための道具です。

暑くても長袖を着る。
多少動きにくくても、決まりを守る。
そうやって、今日も工場は回っています。

※本記事は、現場で感じた「あるある」を中心に書いています。
作業着の在り方や考え方は、職場や立場によってさまざまですので、
一つの視点として読んでいただければ幸いです。



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