【閃光文】段ボールの寝床と会社の天井
工藤「……あ、もうこんな時間だ。深夜ですね」
ふと時計を見た工藤さんが立ち上がった。
工藤「ラッキーさん、そこのソファーを使ってください。僕らはダンボールを使うので」
(完全に手慣れてるニャ……) まあ、こういう仕事だから仕方ない。
フリーランスや小さな会社に労働基準法をきっちり適用するのは難しいのが現実だ。
守れれば一番いいけれど、今の彼らにとってはとてもじゃないけど手が届かないニャ。
ラッキー「……僕はダンボールでいいニャ!」
ラッキーはソファーを辞退した。
ラッキー「いや、こんな機会滅多にないから、ダンボールがいいんだニャ!」
工藤「えぇっ!? 後から体が痛くなりますよ! ダンボールで寝るなら、最低でも5枚は重ねないと……」
何枚重ねれば痛くならないかまで熟知している工藤さんに、ラッキーは思わず吹き出した。
ラッキー「よし、今夜は『ダンボール5枚の寝心地』を実証実験するニャ!」
松田「あはは! 実証実験ですか!」
工藤「じゃあ特注で5枚用意しますね!」
暗いオフィスに、4人の笑い声が弾けた。
カチリ、と明かりが消え、部屋の中は静まり返った。
重なった5枚のダンボールの上で横になり、ラッキーは静かに会社の天井を見つめた。
自分の作業部屋の天井よりも、ずっと高い。
時折、遠くの道路を走る車のエンジン音が、重いコンクリートの壁を通り抜けてかすかに聞こえてくる。
(……フリーランスの僕が、会社の天井を見つめて眠る日が来るなんてね。想像もしなかったニャ……)
崖っぷちに立ち、恐怖と戦いながら自分の線を磨き続けた日々。
そして今、こうして頼もしいパートナーたちと出会い、ここにいる。
彼らは、会社を立ち上げた。
きっと今まで以上に大変になる。でも 今まで以上に取引も増える可能性も大いにある。
僕はこれから どうする・・・・・
ラッキーは小さく息を吐き、静かにまぶたを閉じた。
やがて、温かい充足感とともに、深い深い眠りへと落ちていった。
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