美容クリニックの現実〜ラクそうだから転職した結果〜【第二話】
地方の病院を辞めた私は、都会の美容クリニックへ転職した。
しかも第一志望。
合格通知を見た時は本当に嬉しかった。
ついに来た。
あの頃、窓の外の田んぼを見ながら、
「こんな田舎、早く出ていってやる」
と思っていた私が目指した場所だった。
正直に言おう。
私はずっと都会に憧れていた。
住みたかった。
でも行く理由がなかった。
転職する勇気もなかった。
気づけばアラサーになっていた。
だから美容クリニックの合格通知は本当に嬉しかった。
キラキラした都会。
美容クリニック。
オシャレな人たち。
新しい人生の始まり。
でも、その浮かれた気持ちは新人研修初日で吹き飛ぶ。
「なんか雰囲気悪いな」
これが第一印象だった。
全国から集まった中途採用者たちは、みなやたらと自信満々だった。
田舎の病院で働いていた私は、その時点ですでに少し負けていた。
みんな笑顔で話している。
和気あいあいとしているようにも見える。
でもなぜか空気が張り詰めている。
みんな目が鋭い。
田舎者の私は思わず足がすくんだ。
なんとか席に座ると、隣には同じ院で働くカウンセラーの女の子がいた。
お互い自己紹介を始める。
でも話していて違和感があった。
なんというか。
マウントが強い。
「なんでこの人こんなに偉そうなんだ?」
これが第一印象だった。
しかも私が田舎から来たと知ると、さらに調子が出てきた。
家族がすごい。
知り合いがすごい。
前の会社がすごい。
とにかく周りにいる"すごい人"の話が止まらない。
私は適当に相づちを打ちながら思っていた。
「へぇー」
「そうなんだ」
「すごいですね」
そして心の中では、
「いや、お前の話じゃないんかい」
とも思っていた。
後になって知ったのだが、彼女は色々な会社を渡り歩いてきたらしい。
初対面で感じた違和感の理由も、なんとなく分かった気がした。
「やっぱりね」
と思ったのはここだけの秘密である。
この時の私は知らなかった。
この違和感が、職場についてからさらに大きくなることを。
【第2話へ続く】
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