南九州神話旅#1〜阿蘇はどこでも虹が現れる
約1週間の夏休みの行き先を考えていたが、この年(2024年)は、都知事選とか7月5日問題とか、呑気に旅を考える気分にもなれず、候補に考えていたバングラデシュは政変で戒厳令が敷かれてしまい、南インドはビザなど準備がもう間に合わない時期になり、結局、行きたいリストに入っている高千穂方面に行くことになった。
Sky scannerで航空券を探したが、直前で高めの航空券しかない中、今回初めてソラシドエアにした。
LCCかと、なんとなくこわくて敬遠していたが、ソラシドエアはLCCではなく、九州方面に行くには安くて綺麗でスタッフさんも感じがよく、wifiも使えて手元のスマホで航路が確認でき、最高だったんです。
熊本空港から入り車を借りて、あとは成り行き任せの旅でした。
なぜ行程を決めないかというと、足腰が脆弱な自分がどこまで旅を続けられるかわからないのもあるが、計画を立ててしまうと、仕事みたいに予定どおりに進めることが目標になってしまうからです。
偏差値世代の性。目標達成に全力をかける姿勢が染みつき、それは受験や仕事には役に立っても、寄り道が思わぬ幸運に出会うこともある人生の醍醐味を味わうという意味では、障害になることもあるとしみじみ思うようになったんです。
ソラシドエアで熊本空港に降り立ち、車を借りた。
1日目は、北阿蘇の国造神社と阿蘇神社からの久木野温泉。
今の日本の国作りはだいたい2千年余り前、この辺りから開始とされているから、阿蘇は重要神社が集まる地域です。
熊本空港から国造神社への快適なドライブ
熊本空港から国造神社に向かう道中は、阿蘇山を眺めながらの大変気分の良いドライブでした。


阿蘇山を初めて見る自分にとって、それは他のどこでも見たことのない雰囲気の山だった。そのスケール感と、なだらかで柔らかな表情、来るものを拒まぬおおらかさは、大陸的なものを感じさせた。こんな山を見て育てば、ひとは随分と大胆な心持ちになるだろうと感じました。
阿蘇で最初に訪れた国造神社
御祭神は、神武天皇の曾孫にあたる速瓶玉命(はやみかたまのみこと)。この地域を開拓した方です。


この神社には、鯰を祀るお宮があります。古代、湖だった阿蘇谷に住んでいた大鯰を、阿蘇開拓の祖・健磐龍命(たけいわたつのみこと)が説得して追い出したと伝えられているんです。
清々しい水流に守られた聖域に鎮座する格式高い神社だと感じました。
国造神社からまっすぐ南下し、次に阿蘇神社に向かうのですが、何しろ熊本空港からの道中、店がなくて昼食にあぶれ、空腹限界に達する。
こんなところにこんな素敵な カフェkomichi
そんなとき、阿蘇神社の裏手に素敵すぎる雑貨カフェ こみちを発見するんです。

こみちの美しいオーナーマダムは、中途半端な時間に行ったのに、トーストでいいならと、素晴らしく美味しいハチミツのたっぷりかかったトーストを作ってくれたんですが、これが絶品。

トーストにかかっていたハチミツが生涯最高の美味しさで、レジ横に遠慮がちにハチミツの小さな瓶が置かれていたので、迷わず購入しました。
マダムは、いかにも良妻賢母という上品な方で、足を地につけた堅実な人生を送ってこられている感じが伝わってきた。とても暑い日だったから、エアコンの風がちゃんとあたっていますかと気にかけてくださり、帰り際には「安全な旅を」と声をかけてくださる、とてもやさしい方だったんです。
偶然にもこんな味わい深いカフェに導かれたのは幸運でした。
さすがの阿蘇神社
カフェで人心地つき、阿蘇神社へ。

阿蘇神社は紀元前282年創建と伝わる、日本最古の神社の一つ。
広大な敷地に立派な社殿。蘇開拓の神である健磐龍命(たけいわたつのみこと)が主祭神で創建2千年。
熊本地震で打撃を受けたものの、今は復旧したようでした。
阿蘇の総鎮守に相応しい堂々たる神社で、外国人客も大勢訪れていた。
久木野温泉 四季の森でひと風呂浴びる
この夜のお宿は、阿蘇山の麓にある、古民家ホステルもみじでした。事前のやりとりでオーナーさんから教えてもらっていた温泉に、先に行くことにした。

宿泊施設もある久木野温泉四季の森は、眺望よく、お風呂も広々。長旅の疲れを癒すに最適でした。宿泊施設も併設されていたから、ここで泊まるのもありですね。
宿に向かう道中も、虹が現れ追いかけてきた。なんという、虹の多い所かと思う。
古民家 もみじホステルが最高です
もみじホステルに到着した。玄関のブザーを押すと、オーナーさんが来て、からりと引き戸をあけ、中に案内してくれた。

すりガラスに畳の懐かしい部屋に気分が上がります。


古風な宿なのに、設備は最新でセキュリティ万全。居室は襖なのに鍵がついていて、このあたりが昭和湯治宿との違いですね。
台所も自由に使わせて下さった。台所からは中庭を望み、冷蔵庫に電子レンジに、お皿にコップ、なんでも揃っていた。
この木のぬくもりのある小さな台所もとても気に入ってしまい、こんなところで生活できたらどんなにいいだろうと思いました。


もみじにはネコが二匹いた。
白いネコはふてぶてしい表情なのに人懐っこく、台所に行くといつのまにかすぐそばに来てくれたりして、優しかった。もう一匹はゲストに興味がなく、いつも箱の中で寝ていた。


畳の居室、ランプの照らす渡り廊下、使い勝手良い台所、中庭を見る素敵な洗面所など、どこを切り取っても絵になる、この気分の良い、かわいらしい、手作りの木の家がすっかり気に入ってしまい、オーナーさんに色々話をきいて、熊本の男はすごいな!とその馬力に舌をまいた。
もみじのオーナーさんは元エンジニア。シンガポールやタイで仕事をし、セブに留学もしたが、地元でゲストハウスをやろうとこの古民家を買った。家は陥没していて、ジャッキであげて自分で修理した。さらに電気工事士の資格もとり、配線からエアコンとりつけも全部自分でやることにした。改築の過程を写真で見せてもらったが、改装というより新築に近かった。
「最初に、古壁を槌でたたきこわしたときに覚悟ができたんです」と仰っていた。
その晩は激しい雷雨で、一晩中、トタン屋根は大きな音をたてていた。
夜中にオーナーがネコ2匹を母屋に連れて帰ったようでした。
奥さんがタイ人の、親切で気さくなオーナーさんのおかげで、こんな素晴らしい宿でネコと過ごすことができ、心底満足しました。
雄大な阿蘇の自然に抱かれたこの土地には、気分のいいひとが多いです。
