見出し画像

コンビニはその土地の余命を教えてくれます


分譲物件を買うときや賃貸物件を借りるとき、コンビニが消えていくエリアは危ない。という話を聞きました


本当にそうなのか確かめてみようと思います




■ コンビニの出店判断は異例なほど精密です


コンビニの一次商圏は、半径500メートルという狭さで設定されます


一次商圏とは、その店の来店客の大部分を占める、最も近い範囲のことです


美容室が1〜2キロ、フィットネスジムが3〜5キロという目安と比べると、この狭さは際立っています


出店の判断では、その狭い一次商圏の中でターゲット人口に利用率、自社シェア、客単価をかけ合わせ、月間の売上をあらかじめ概算します


それを損益分岐点と照らし合わせてから、初めて出店するかどうかを決めます


地図の上のデータだけでは終わりません


線路や大通りといった地図では見えない心理的な壁


平日と休日で違う、歩行者の数


そうした現地の実態まで事前に調査した上で判断しています


コンビニチェーンは、日本の小売業の中でも、屈指の精度で立地を見極めている業態だということです



■ 撤退の基準にも、明確な数字があります


1店舗あたりの一次商圏人口は全国平均でおよそ2,500人とされています


都市ごとのばらつきも小さく、多くの都市でこの基準に近い水準に収まっています


一次商圏人口がおよそ2,500人分減ると平均的にコンビニが1店舗減るという関係も示されています


日本経済新聞の分析では、全国およそ5万7,000店のコンビニ立地のうち9割で一次商圏人口が標準とされる3,000人を下回っているといいます


特に北海道では1店舗あたりの一次商圏人口が1,754人まで落ち込んでいます


人口の少ない自治体の上位10のうち7つを北海道が占めています


もちろん、閉店の理由は人口減少だけではありません


人手不足、24時間営業の採算悪化、価格競争、チェーンごとの出店戦略の違いも絡み合っています


それでも精密な商圏分析をして出店したはずの店が閉じるという判断に至った


その事実の重さは変わりません


また見落とされがちな事実があります


コンビニは、本部と加盟店オーナーとのフランチャイズ契約です


契約期間は5年から15年という長さで結ばれています


この期間中にオーナー側から辞めようとするとほぼ必ず違約金が発生します


数百万円という金額になるケースもあります


つまりオーナーは需要が落ち込んでいると肌で感じていても契約期間中は簡単には辞められません


数百万円の違約金を払ってでも今すぐ辞めるか


契約満了まで、何年も赤字を抱えたまま耐え続けるか


自分の生活と貯蓄を差し出して初めてどちらかを選べる


そこまでしなければ撤退という決断にはたどり着けません


コンビニが1軒消えるということは、その裏で誰かがこの重さを引き受けたということです


コンビニが実際に閉店するという結果が見えるようになった時点で、その土地の衰退は、もっと前から進んでいたと考えた方がいいと思います



■ 「自分がそこに住んでいいのか」を教えてくれます


この基準は、二つの角度から使えると思います


一つは、これから住もうとしている土地に対して


賃貸物件を探すとき、家賃や間取りだけでなく近くのコンビニがどれくらい残っているか、閉店した跡地はないか


それを見るだけでその土地の需要構造がある程度分かります


もう一つは今すでに住んでいる土地に対して


以前は徒歩5分圏内に2店舗あったコンビニが、今では1店舗だけになったという地方都市の話を読みました


夜中でも明かりが灯る、高齢者にとっての安心拠点が1つ減ったということです


これは住んでいる人にとっては日々の生活の中で少しずつ進むので、気づきにくい変化です


けれど、コンビニ側の出店判断という、外部からの精密な計測がその変化を数字として示してくれます


自分が引っ越そうとしている土地は、自腹を切って住んでいい場所なのか


今住んでいる土地は、この先も大丈夫なのか


コンビニの数と種類はその問いに対するかなり正直な答えを持っていると思います


旅先に着くとまずコンビニを見るようにしています


何チェーンの店があるか、24時間営業か閉店した跡地が残っていないか


それだけで、その土地が今どのあたりにいるのかなんとなく分かるようになってきました


同じ1軒の閉店でも、重さは平等ではありません


住民は、安心拠点を1つ失います


従業員は、職を失います


オーナーは、違約金か、赤字での我慢か選ばされます


コンビニはその土地の余命だけでなく住民・従業員・オーナーそれぞれが背負う苦しさも教えてくれている気がします



【引用・参照元】

・SOMPOインスティチュート・プラス「人口減少とコンビニ店舗数の関係」

・日本経済新聞「コンビニ立地、9割が商圏人口3000人未満」2019年

・ローカルマーケティングパートナーズ「新規出店の商圏調査」

・Nipponコラム「コンビニが減っていく未来──24時間営業の終焉と地方の現実」

・ビジェントプラス「フランチャイズの代表格コンビニ、違約金など契約時の注意点とは」

・中小企業の法律サポーター「コンビニの新規開店後の閉店と違約金」

・経営ラボ「コンビニ直営店とFCオーナー経営の違い」


いいなと思ったら応援しよう!

たろうさん よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー