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転勤族は働けないと思っていた。

転勤族の妻は、働けないものだと思っていた。
そう思い込もうとしていた。

仕事を辞めたくなくて、遠距離婚を選んだ人もいる。
相手に転勤があるからと、結婚そのものを選ばなかった人も、私は知っている。


それでも私は、
「こんなに性格の合う人はいない。」
そう思って、結婚を選んだ。

結婚に後悔はないけど、仕事を続けられなくなったのは寂しい気持ちだった。


社宅に入った当初、周りの奥様たちは働いていない人が大半だった。

今振り返れば、その多くは子育ての真っ最中だったのだと思う。
そして、今みたいにリモートワークも一般的ではなかった。

でも当時の私は、
「やっぱり転勤族は仕事はできないんだ」
そんなふうに感じて、落ち込んでいた。

そんな中で、正社員として働き続けている育休中の奥様と仲良くなった。

子どもは同じ年に生まれて、
育休中だった私たちは、よく一緒に出かけた。

けれど一年が経ち、彼女は職場に戻っていった。
私は、そこに取り残されたような気がした。


彼女は、キラキラして見えた。
自分の仕事が楽しくて仕方がなさそうだった。

「忙しいんだよね。」

その一言さえ、羨ましかった。

私は、子どもと過ごす時間を大切にしようとしていた。
それなのに、社会から切り離されていくような感覚のほうが、ずっと大きかった。


日々成長する子どもを見ながら、
私は、日々なにもできていない気がしていた。

今考えれば、子育ては本当に尊い仕事だ。
でも、あの頃の私は、そんなふうには思えなかった。

彼女は、ただただ眩しかった。


引っ越しても、夫の転勤に合わせて働き続けている彼女。
きっと苦労もたくさんあったと思う。

それでも、
自分の足で立っているように見えた。

私も、ああなりたい。
ただただ、羨ましかった。


彼女の背中を目指して、
「転勤族の仕事探し」が始まった。


今は彼女と離れているけど、また再会したら仕事の話で盛り上がりたいと思っている。

子供の成長の話をしながらも、自分のことを話せる関係は貴重だと思うから。



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