富山県の市町村合併のトリビア
市町村合併という言葉、聞いたことがある人は多いと思います。今回は、富山県の市町村合併のトリビアについてご紹介します。
引用した図や、参考にした文章がある場合は、それぞれ※を付し、記事の末尾に参考資料として記載しています。
もし、誤り等ございましたらお知らせください。
1.市町村合併とは?
①合併の種類
市町村合併とは、複数の市町村が、1つの市町村になることです。市町村合併には、新設合併と編入合併の2種類があります。
新設合併は、対等合併とも言われますが、複数の市町村がそれぞれ廃止され、新たに別の体制の市町村となる合併スタイルです。(例:X市+Y市→Z市)
編入合併は、吸収合併とも言われますが、吸収される市町村が廃止されて、吸収する側は存続される合併スタイルです。(例:A市+B町+C村→A市)
②市町村数の遷移
日本では、1889年(明治22年)に市制、町村制が施行されて以降、大規模な市町村合併が3つありました。なお、東京23区は含んでいません。
①明治の大合併(1888年〜1889年)※1
市町村数 71,314→15,859
②昭和の大合併(1953年〜1961年)※1
市町村数 9,868→3,472
③平成の大合併(1999年〜2010年)※2
市町村数 3,229→1,730
これらの大合併の時期以外でも全国で市町村合併は行われています。
2025年12月現在の市町村数は、1718(北方領土を含めると1724)となっています。
③なぜ合併するのか
市町村数は、当初の71,314から1,718と約40分の1にまで合併により減少しています。では、なぜ市町村合併が行われるのでしょうか。
一般的に言われている合併が行われる理由として、「行政・財政運営の効率化・安定化」、「住民サービスの向上」、「広域的なまちづくりの推進」が挙げられています。
合併することで、散らばっている施設(学校、公共施設など)を1つに集約できたり、人材が集まることでより効率的な運営ができたりするということが考えられます。また、中心市街地として機能している町と、ベッドタウンとして機能している町の間の道路、公共交通機関の整備など、広域的なまちづくりが、合併により一元化されて容易になります。
④合併のメリット・デメリット
市町村合併により、行政・財政の効率化やそれらの基盤の強化ができるといったメリットがあります。
さらに、広域的な視野でまちづくりができる、住民の利便性が向上するといったメリットもあります。
メリットもあれば、デメリットもあります。合併に際して、各々の行政システムの統合や施設の整備に多額のコストを要します。また、小さな市町村が大都市に吸収合併されることで、その個性が大都市の陰に隠れてしまう可能性があります。
2.富山県内の市町村合併
富山県内でも、例に漏れず先述の3大合併で市町村数が大きく変化しています。
・市町村域の変遷
上から1889年4月1日、1954年1月5日、1996年4月1日、2006年3月31日時点での市町村域を表しています。
(凡例:黄→市、緑→町、青→村)

271市町村 ※3
市町村数は、271です。
2025年現在の富山県では、各市町村の地名の1つになっているような町村が図1には多く見られます。
富山県道56号線沿いにロードサイド店舗が立ち並んでいる「山室(やまむろ)」はまだ「山室村」ですし、富山駅からLRTで行くことのできる、旧北陸道の宿場町である「東岩瀬(ひがしいわせ)」はまだ「東岩瀬町」のままです。
自治体の単位としての市は、まだ富山市と高岡市のみです。富山と高岡は、富山藩と加賀藩の拠点として栄えていたので、この時点で市なのも納得がいきます。
また、小杉町(現・射水市)、今石動町(現・小矢部市)など、この時点での町となっているところは、旧北陸道の宿場町であり、昔から栄えていたことが伺えます。

市町村数は、129です。
本稿冒頭の立山連峰を撮った写真に、「国道415号 富山市 水橋高堂」と記載された道路標識が写っています。これは、この写真を撮った場所が図2で緑色で示されている、かつて富山市の右隣にあった「水橋(みずはし)町」であったことを示しています。
魚津市はすでに2025年現在の市域と同じになっています。

平成の大合併前の富山県です。市町村数は35です。
とても細かい部分ですが、図3の新湊市の切り欠き部分と、図1の同じ部分を見てみてください。前者の方が隙間が大きくなっているのが分かります。これは、1968年の「富山新港」の開港によるものです。潟湖であった放生津(ほうじょうづ)潟を掘削、開口したため、隙間が大きくなっています。
有名な温泉地、宇奈月の名前が見えます。2026年現在は市町村としては黒部市の一部となっていますが、北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅と、駅名に存在感を出しています。

図4は、2025年現在の市町村域と全く同じです。市町村数は、市制・町村制施行時の271から15と、約20分の1にまで減少しました。
また、富山市は多数の町村と合併し、中核市として面積最大かつ1つの市町村が都道府県に占める面積の割合が日本一になりました。
3.富山市の市町村合併
・実は……だった?
婦中町や八尾町が、富山市と合併したことを知っている方は多いと思われます。2005年、富山市は上新川郡大沢野町、大山町、婦負郡八尾町、婦中町、山田村、細入村と合併をしました。

「1.市町村合併とは?」の項で、合併の種類についてご紹介しました。その説明を踏まえて、この富山市の合併が2つの合併のうち、どちらかを考えてみてください。
県庁所在地たる富山市と、近接する富山市より人口的、経済的に小規模な町村が合併しているので、「編入合併(吸収合併)」だと思う人がほとんどだと思います。
ですが、実は富山市の合併は「新設合併」なのです。現在の富山市は、合併前の旧富山市とは別の自治体の2代目富山市であり、旧富山市は廃止されています。
4.まとめ
富山県の市町村合併のトリビアについてご紹介しました。市町村合併については、割と他にもトリビアはあるのですが、キリがないので今回は富山県全体と、県庁所在地富山市のトリビアに限らせていただきました。もし、もっと具体的に知りたいことや、富山市以外の市町村についても知りたいことがあれば、お知らせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
●参考資料
※1 総務省Webサイト,市町村合併資料集,市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴
※2 総務省Webサイト,市町村合併資料集,「平成の合併による市町村数の変化」
https://www.soumu.go.jp/gapei/pdf/090416_09.pdf
※3 つかんぼやと,市町村パラパラ地図,富山県
1889/4/1,1954/1/5,1996/4/1,2006/3/31の地図
※4 国土地理院Webサイト,地理に関する情報,全国都道府県別・市町村合併新旧一覧図(平成15年以降),16富山県
