神の子とダンジョン ・ 第10話 − ラ・ケイダーャ襲撃 188
武具屋に寄り、親父さんから買った咒札を、戦斧・与三郎の柄に仕込んでもらった。
9万バリイ、、、、ノカナの遥か先の東にあるという那の国の札。
値が張るのはまあ、仕方ないだろう。
仕込みが終わると、そのままレドゥビア城の正門へ向かい、バカルを呼んでくれと衛士に頼んだ。
いつの間にか雨は止んでいたが、日はもう暮れかけている。
バカルが現れたので、
「あの衛士はノカナに発った。」と、それだけを伝えた。
「良かった。 あんな奴でも、道場の弟弟子だったんだ。」
そう言った後、しばらく目を閉じ、一息深く吐いてからバカルは続けた。
「宿屋『ラ・ケイダーャ』に帝国の間者がいる。ジャック、付き合え。」
黙っていると、バカルが怖いのかと聞いてきた。
ほんの少し前まで、ゴミ捨て場のスラムで残飯を漁って生きてきた。
「やっとだな。」
そう答えると、バカルが鼻で笑う。
「アルス姫は天使かよ。」
「スラムでなんとか生きてた頃さ、
レドゥビアの戦乙女様は、精霊王様が遣わした使徒だと本気で思ってた。」
そう言うと、バカルは何も言わず、歩き出した。
ラ・ケイダーャの店先で、バカルが宿の主人を呼び出す。
ただならぬ気配を察したのだろう。
「お待ち下さい、隊長様。」たったその一言が言葉にならず、使用人が震えながら口にしていた。
宿の主人が、自分はノカナ本国の貴族と繋がりがあるとか下らないことを云々言い出したが、バカルは取り合わない。
「オマエが手引したと言えば、命は保証する。」それだけを言って、那の国製の剣 ―― ハンニバルを抜き放つ。
「あ、あたしが帝国に殺されちまう!」そう主人が言った時には、バカルはすでにドアを蹴破っていた。
ロビー正面にいた男が、剣をすぐに抜いて「貴様、俺達を……」と言いかけた時には、ハンニバルがそいつを切り裂いていた。
「お終いだ、全部お終いだ。」
主人の泣き叫ぶ声が、背後から聞こえる。
ロビー奥の階段から、やはり帯剣した二人が駆け降りてくる。
その後ろには、杖を手にした魔導士。
「ヴァハラ!」
雷の精霊の名を呼び、戦斧・与三郎を振り下ろす。
結構な距離はあったが、ヴァハラの雷撃と咒札・雷神の力で、帝国の剣士二人は痺れたような反応を見せ、階段を転げ落ちた。
バカルが、その二人に詰め寄る。
同時に、帝国の魔導士の杖先が光を帯びる、詠唱が疾い。
だが、魔導士が詠唱を終える前に、オイラの魔弾がその魔導士の胸に当たった。
宝具:魔弾は必ず当たる。
バカルは二人の剣士を無視し、胸を押さえて膝をついた魔導士の首を斬る。
剣士二人は、オイラの大地の力の精霊魔法で動きを封じ、圧殺した。
「客ども、動くなよ。
おかしな真似する奴ぁ、神の子の天罰が下されよう!」
バカルの怒号に、ラ・ケイダーャのロビーは悲鳴や、
「自分は関係ない」といった叫びが飛び交い騒然とする。
精霊契約陣を出さず、ロビーのシャンデリアを粉々に砕いた。
「黙っていて。」
オイラがそう言うと、皆が口を閉じた。
静まりかえったロビーに、シャンデリアの破片が床に落ちるパラパラという音が響いた。
階段上に、帝国の新手が飛び出してきた。
二人の剣を、ギィン、ギィンと硬い音を立てながら、バカルが受け止める。
二の太刀を振るわんとした帝国の剣士二人の剣は、その時、既に折られていた。
背後に、また魔導士!
迷わず魔弾を放ち、オイラも二階へと駆け上がる。
(魔弾の2発目を使ってしまった。)
剣を折られた剣士が徒手でバカルに掴みかかろうとしたが、ハンニバルの一振りで両名ともバカルが切り捨てた。
オイラが、戦斧・与三郎の雷撃効果もろとも魔導士に止めを刺した直後、帝国の残りの間者ども五名が、宿の外へと逃亡を図った。
一人を大地の力で金縛りにする。
斬撃を放ってきた相手の剣を、宝具のナイフで受け止めた。
逃げた三人を追って外へ出たバカルの眼前で、ラ・ケイダーャの主人が、一人の客を逃がそうとしている光景が映った。
オイラは防戦一方だった。
短い両手剣で矢継ぎ早に斬りかかってくる、その剣士の技量に圧倒された。
追い詰められ、一の太刀をナイフで受けた刹那に敵の二の太刀が閃く。
なんとか身体を反らして逃げたが、重い蹴りをもらってしまう。
吹き飛ばされ、オイラは絶体絶命。
だが、そいつは時間をかけすぎた。
オイラが体勢を崩し、倒れかけたその瞬間、剣士は全身を炎に包まれた。
背後では金縛りにされていた男が、全身を分厚い氷に覆われていた。
精霊魔法の熱転移はオマエの両手剣より疾い…
業火に包まれながらも、なお一太刀を振るってくる相手に、小声で、
「ヴァハラ」と雷の精霊に祈ると、男の身体は爆散した。
表へ出ると、バカルはすでに、ラ・ケイダーャの主人と、剣を携え美麗な胸当てを着けていた帝国魔導士を切り捨てた後だった。
「三人、逃がしちまった。」
バカルがそう言った時には、ラ・ケイダーャは建物ごと燃え始めていた。
続きます
******************
今回のタイトルカットは、フレキシブルフランクことChatGPT作
優音先生、いつもありがとうごさいます。
最後に、かるくサービスカット
(今回の、お口直しにwww)

