量子力学ですが、何か? − 120
城内の石壁まで追い込まれたグスタフが、不意に余裕を称えた表情へと変わった。
「帝国最強と恐れられた魔導士も、ここまでだ。」
衛士長の言葉と同時に、8名の衛士が一斉に剣や戦斧を振り下ろす。
「……?」
剣も戦斧も、空中で静止していた。
「笑止。
辺境領主の田舎衛士ごときが、吾に触れられるとでも思ったか。」
グスタフの足許が淡く光る。
秘術が展開され、空気がゆっくりと凍り始める。
「オマエらこそ、我が秘術で氷の柱になってもらおう。
フッフッフッ…」
拍子抜けしたかのような、退屈な顔をしている勇者に
「勇者様、かなり複雑な術式を多重展開しています。」とアルス姫。
勇者は肩をすくめた。
「へえ、随分余裕だな。 防御魔法か?」と、面倒くさそうに口を開く。
「最強クラスの防御結界と、周囲1マイルの生物を殲滅する氷魔法を同時展開しています。」姫の表情が強張っている。
「なるほど。」
勇者は、ゆっくりと大地の剣をグスタフへ向けた。
「ハイ、グスタフさん。早朝からご苦労。
難しい呪文の詠唱中みたいだから、返事はいらない。
オマエは俺の声が聞こえてるし、 俺にはオマエが見えている。 それで十分だ。
アルス姫、精霊さんへの仲介役、お願いできます?」
アルス姫が頷づき、
大地の剣から、低く重い共鳴音が響く。
「アルス姫、ありがとう。
縛鎖のアナテス
腕輪から秘水をとりこめ。」
新しい玩具をもらった子供のように、嬉しそうな顔をした勇者が続けた。
「いいかアナテス、ちょっとだぞ?
ほんの、ちょっとだけな。」
アナテスが深い緑の光を放ち、秘水の腕輪が二つに分かれて地へ落ちた。
衛士たちは、グスタフの魔法陣が三層目に到達したのを目の当たりにし、言葉を失っている。
勇者は、何か楽しいことを待ちきれない子供のような顔のままで言い放った。
「グスタフ、トロい。トロ過ぎだ。
ご苦労さん
そして、サヨウナラ。」
「縛鎖のアナテス、全解放。
──超圧縮!」
大地の剣の切先から白銀の光がほとばしった瞬間、グスタフは背後の城壁ごと姿を消していた。
石が焼けて蒸発したせいか、鍛冶場に似た匂いと超高温高熱の余韻が城内に満ちていた。
「……アナテス、まだ多すぎるって、
ったく。」
不機嫌そうな勇者に、アルス姫が恐る恐る尋ねる。
「勇者様、今のは……?」
「ああ。 俺の世界では、常温核融合って言う。」
* * *
マンガネームは読み切りが前提だったから、こんな話を考えることが多かったなあ。
異世界スタートは、基本なんでもありだと考えていまして、はい。
精霊さんの仲介さえあれば、 秘宝 ── 大地の剣/縛鎖のアナテス/秘水の腕輪
この3点セットを一気に使う展開も、まあ赦される気がする。
(普通、ネーしwww)
まさに、鬼連チャン(笑)
読み切りなら、勢いと快楽が正義だし、
「三鬼連チャン」くらいやらないとイケナイ気がする。
っていうか、そうじゃなければ審査員様の心に残れないでしょ?
いつか蔵から引っ張り出して、きちんと書いてみたい気持ちはあるけれど、その前に、「ワーカダウト」と「僕らの世界」を終わらせないとねぇ…
(1月11日記録、、このお話も連載すると決めました。
キャラデザの優音先生、ありがとうございます。)
あ、たまにで良いから、コメント頂けると、私は喜びますwww
最後に一言、Intermissionの、ワーカダウトシリーズも読んで頂けたら、本当に嬉しいです📳
