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インパクトファイナンスを学んでわかったこと

応援を、未来の資本に変える

1. インパクトコンソーシアムの成果発表に参加して

先日、インパクトコンソーシアムの成果発表に参加しました。

正直に言うと、以前の自分にとってインパクトファイナンスという言葉は、少し遠いものでした。

金融の専門家が使う言葉。
政策や投資の世界の話。
自分たちのような地域のスポーツクラブとは、少し距離があるもの。

そんな感覚もありました。

でも、この2年でその見え方が変わっていき、今回のカンファレンスを聞いた上で改めて理解が深まりました。

金融庁を中心に、農水省、環境省、経産省、国交省の方々が横並びで登壇していました。

自分にとって大きかったのは、その方々が、普段から小田原やローカル・ゼブラの文脈でコミュニケーションを取っている方々だったことです。

だから、単なる制度説明としてではなく、現場につながる話として受け取ることができました。

「ああ、これは自分たちの話でもある」

そう思えたことが、一番大きな気づきでした。

2. いま何が起きているのか

いま起きていることを、自分なりにシンプルに言えば、金融が見ようとしているものが変わってきている、ということです。

これまでの金融は、どうしても見えやすい数字を中心に判断してきました。

売上があるか。
利益が出ているか。
担保があるか。
返済できるか。
過去の実績があるか。

もちろん、それは今も大切です。

でも、それだけでは測れない価値があります。

地域の信頼を育てている。
人と人のつながりを生んでいる。
子どもたちの機会をつくっている。
地域の中に新しい挑戦が生まれる土壌をつくっている。
短期の利益だけでは説明しきれないけれど、将来の地域にとって必要な価値を生んでいる。

こうした価値を、見えないままにしない。

社会にとってどんな変化を生んでいるのか。
将来の事業や収益にどうつながるのか。
地域の持続性にどう貢献しているのか。

それを言葉にし、指標にし、資金が流れる理由にしていく。

これが、インパクト評価であり、インパクトファイナンスの最前線で起きていることなのだと理解しました。

3. そもそも、インパクトファイナンスとは何か

難しく言えば、インパクトファイナンスとは、社会や地域に良い変化を生む事業に対して、その変化を評価しながら資金を流す仕組みです。

でも、もっと簡単に言えば、

「未来に必要な価値を生んでいる人や事業に、ちゃんとお金が届くようにすること」

だと思います。

たとえば、地域の小さな挑戦。
子どもの機会をつくる活動。
高齢者の暮らしを支える事業。
地域の自然や文化を守りながら収益を生む取り組み。
人が集まり、関係性が生まれ、次の挑戦が育つ場づくり。

これらは、すぐに大きな利益が出るとは限りません。

でも、地域にとっては必要です。

問題は、その価値がこれまで金融の言葉で説明しづらかったことです。

「良いことをしている」
「地域に必要だと思う」
「応援したい」

それだけでは、金融機関や投資家の判断材料にはなりにくい。

だからこそ、インパクト評価が必要になる。

感覚としての応援を、社会に伝わる言葉にする。
美談で終わらせず、事業として説明する。
見えにくい価値を、未来の資本として扱えるようにする。

それによって、これまで資金が届きにくかった挑戦にも、資金が流れる可能性が生まれる。

これが、インパクトファイナンスなのだと思います。

ベルマーレの社会課題解決プロジェクト

4. 小田原でも実践を整えようとしている

この話は、遠い世界の話ではありません。

いま小田原でも、インパクトファイナンスの実践を整えていこうと、関係各所と調整を進めています。

小田原には、すでに多くの地域資本があります。

歴史。
文化。
自然。
食。
観光。
老舗企業。
地域金融機関。
行政。
若者。
移住者。
地域に根を張って挑戦している事業者。

ただ、それらがまだ十分に面としてつながりきっているわけではない。

良い人がいる。
良い企業がある。
良い取り組みがある。

でも、それが点のままだと、地域全体の力にはなりにくい。

だからこそ、資金の流れを整える必要がある。

地域に必要な挑戦を見つける。
その挑戦が生んでいる価値を言葉にする。
企業や金融機関や行政が関わりやすい形にする。
資金、人材、知見が循環する仕組みにしていく。

小田原でやろうとしているのは、単なる資金調達ではありません。

地域の未来に必要な挑戦に、地域内外の資本が流れ、また地域に返ってくる循環をつくることです。

5. ベルマーレが受け続けてきた応援も、同じ構造だった

この話を聞きながら、自分は湘南ベルマーレフットサルクラブが受け続けてきた応援のことを考えていました。

スポンサーとして支えてくださる企業。
チケットを買って会場に来てくださる方。
グッズを買ってくださる方。
クラウドファンディングで支援してくださる方。
SNSで発信してくださる方。
勝っても負けても、また次の試合に来てくださる方。

経営上は、それらは売上であり、協賛金であり、支援金です。

でも、本質はそれだけではない。

「このクラブに続いてほしい」
「この地域に、こういう存在があってほしい」
「この挑戦が育ってほしい」

そういう未来への期待を、お金や時間や言葉に変えて差し出してくれている。

応援とは、単なる消費ではありません。

未来への資本なのだと思います。

6. PLからBSへ、BSからまたPLへ

クラブ経営をしていると、当然PLを見ます。

売上はいくらか。
利益は出ているか。
協賛金は集まっているか。
チケットは売れているか。

これは経営として絶対に必要です。

でも、インパクトファイナンスを学んで、自分たちが本当に増やすべきものはPLだけではないと感じました。

信頼。
関係性。
評判。
地域とのつながり。
子どもたちの憧れ。
企業同士の接点。
クラブが地域に存在する意味。

これらは、通常のBSには載りません。

でも、間違いなく未来の資本です。

チケット収入や協賛金は、まずPL上の売上になります。

それをただ使って終わりにすれば、そこで終わる。

でも、その売上を、子どもたちの機会に変える。
地域活動に変える。
企業同士の出会いに変える。
選手が本気で戦う環境に変える。
クラブへの信頼に変える。

そうすると、応援は未来のBSに積み上がる。

そして、その信頼や関係性が、また次の協賛、観戦、事業、応援を生み出していく。

PLからBSへ。
BSからまたPLへ。

この循環を太くしていくことが、クラブ経営であり、地域に存在する意味なのだと思います。

7. 自分の生活に置き換えると

これは、企業やスポーツクラブだけの話ではありません。

個人の生活でも同じです。

約束を守る。
丁寧に仕事をする。
誰かを応援する。
困っている人に手を貸す。
応援されたら、次の誰かに返す。

その場では、お金にならないかもしれません。

でも、それは未来の自分のBSに積み上がっている。

信頼が増える。
人との関係が増える。
次の機会が増える。
自分を支えてくれる土壌が育つ。

逆に、その場では得をしても、信頼を失う行動もある。

PLでは黒字でも、BSでは資本を減らしている状態です。

この見方を持つと、日々の判断が変わります。

今だけ得をするのか。
未来の資本を増やすのか。

インパクトファイナンスは、決して遠い金融の話ではありません。

自分が信じたい未来に、どう資本を流すのか。

その問いは、仕事にも、暮らしにも、推し活にも、地域にもつながっているのだと思います。

8. 応援を、未来の資本に変える

インパクトファイナンスを学んで、自分の中で一番大きかったのは、応援の意味が変わったことです。

応援は、善意だけではない。
応援は、期待であり、意思表示であり、未来への資本でもある。

だから、応援される側には責任があります。

いただいた応援を、自分たちの消費で終わらせてはいけない。

次の機会に変える。
次の挑戦に変える。
次の信頼に変える。
そして、また誰かが応援したくなる循環に返していく。

小田原で整えようとしているインパクトファイナンスも、湘南ベルマーレフットサルクラブが受け続けてきた応援も、根っこは同じだと思います。

未来に必要なものに、資本が流れる。
その資本が、地域の信頼や人材や文化を育てる。
育った資本が、また次の事業や応援を生み出す。

この循環をつくること。

それが、いま自分がインパクトファイナンスを学びながら、小田原で実践したいことです。

応援は、未来への資本だった。

そして、その資本をどう循環させるかは、私たち一人ひとりの日々の行動にかかっているのだと思います。


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