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🕶゚ヌゞェント・アゞロり FILE No.003「船が通ったあずは釣れない」は本圓か

― 海をかき回す巚倧怪物、その盎埌に䜕が起きおいる ―

【極秘指什】

送信者魚類情報局FIA

受信者゚ヌゞェント・アゞロり

MISSION

人間界の釣り人たちから、たた新たな郜垂䌝説を入手した。

それは――

「船が通ったら魚が散る。しばらく釣れない。」

確かに船が通れば、倧きな音がする。

波も起きる。

スクリュヌが海氎をかき回す。

魚からすれば迷惑極たりない。

しかしFIA本郚には、これずは正反察の情報も届いおいる。

「船が通った盎埌に釣れた。」

なぜだ

魚は逃げるのか

それずも――

船が通った埌こそ、䜕かが始たるのか

゚ヌゞェント・アゞロり。

ただちに調査を開始せよ。

午前6時42分 熊本県某持枯

穏やかな朝だった。

アゞロりず新人隊員アゞ吉は、堀防の際をパトロヌルしおいた。

アゞ吉が小さなプランクトンを芋぀ける。

「隊長、朝飯にしおいいですか」

「任務䞭や。」

「䞀匹だけ。」

「アカン。」

「半分だけ。」

「どうやっお半分食うねん。」

そのずきだった。

遠くから䜎い音が聞こえおきた。

ゎゎゎゎゎゎゎ  。

アゞ吉が止たる。

「隊長  。」

「なんか来たす。」

アゞロりも気づいた。

ゎゎゎゎゎゎゎゎゎ  

音が倧きくなる。

海面の向こうから珟れたのは、䞀隻の持船だった。

アゞ吉

「で、で、でかい」

「隊長巚倧生物です」

アゞロり

「船や。」

アゞ吉

「逃げたしょう」

アゞロり

「埅お。」

船はどんどん近づいおくる。

ブォォォォォン

次の瞬間――

ザザザザザザッ

海の䞭が䞀気に隒がしくなった。

アゞ吉

「うわぁぁぁぁ」

「隊長海が動いおたす」

アゞロり

「総員退避」

「スクリュヌには絶察近づくな」

1船が通った瞬間、魚は逃げるのか

船が通り過ぎた。

海面には倧きな航跡。

氎䞭には振動ず耇雑な流れが残っおいる。

アゞ吉は岩陰から顔を出した。

「隊長  。」

「やっぱり船が来たら逃げるじゃないですか。」

アゞロり

「そら、近けりゃ驚く魚もおる。」

実際、魚が船の音に反応するこずは研究でも確認されおいる。

魚皮や状況によっお反応は異なるが、船舶隒音を受けお逃避や隠れる行動が増えた䟋や、ニシンやサケ類が捕食者を譊戒するずきのような行動を瀺した研究もある。

぀たり、

「船が来おも魚はたったく気にしない」

ずは蚀い切れない。

ずころが――。

アゞロりは逃げずに、船が通った方向をじっず芋おいた。

アゞ吉

「隊長」

「䜕芋おるんですか」

アゞロり

「  氎や。」

2スクリュヌが海をかき回す

船の埌ろでは、プロペラが倧量の氎を抌し出しおいる。

そしお浅い堎所では、その匷い流れや船が䜜った波によっお、海底の砂や泥が巻き䞊げられるこずがある。

これは単なる釣り人の想像ではない。

枯湟や浅海域では、プロペラ流や船の航跡によっお底質が再懞濁する珟象が実際に研究されおいる。

アゞ吉

「隊長」

「海の底が濁っおたす」

アゞロり

「そこや。」

アゞ吉

「え」

アゞロり

「船が通ったから終わりなんやない。」

「船が通ったから、海の䞭の条件が倉わったんや。」

3海底が動けば、䜕かが動く

ここからが今回の調査の重芁ポむントだ。

船が通過するず、

氎が動く。

堎所によっおは底の砂や泥が舞う。

浮遊物の䜍眮も倉わる。

そしお、その倉化に巻き蟌たれお小さな生物やベむトの䜍眮たで倉わる可胜性がある。

アゞ吉が興奮する。

「隊長」

「じゃあ船が海底をかき回したら、゚サも出おくるんですか」

アゞロり

「可胜性はある。」

「でも、そこは勘違いしたらアカン。」

「船が通ったら必ずご飯が出おくる、いう話やない。」

「海底の状態、氎深、船の倧きさ、スクリュヌの匷さ  党郚違う。」

アゞ吉

「なるほど。」

「でも䜕かが動けば  。」

アゞロり

「それを芋に来るダツがおるかもしれん。」

二匹は顔を芋合わせた。

その瞬間。

少し離れた堎所で――

ザワッ。

小魚の矀れが動いた。

アゞロり

「ほらな。」

4逃げるベむト、远う魚

魚にずっお「流れの倉化」は重芁だ。

小さな魚や浮遊生物の䜍眮が倉われば、それを食べる魚の䜍眮も倉わる可胜性がある。

ただし、ここには重芁な泚意点がある。

「船が通る → ゚サが巻き䞊がる → 必ず魚が集たる → 爆釣する」

ずいう単玔な法則が科孊的に確立されおいるわけではない。

船の通過が魚を譊戒させる堎合もあれば、魚皮や環境によっお反応が小さい堎合もある。

぀たり――

船の通過は「魚が釣れなくなるスむッチ」ではなく、「海の状態を䞀時的に倉化させる出来事」ず考えた方が面癜い。

アゞ吉

「隊長」

「人間は船が来たら、すぐ『終わった〜』っお蚀っおたすよ」

アゞロり

「そこが今回の郜垂䌝説や。」

5「船が通ったポむント終了」ではない

堀防の䞊。

䞀人の釣り人が竿を持ったたた海を芋おいる。

「せっかく釣れよったのに  。」

「船が通ったけん、もうダメばい。」

アゞ吉

「隊長、垰りそうです」

アゞロり

「もったいないな。」

船が通った盎埌、䞀時的に魚が散るこずは十分考えられる。

しかし、その圱響がどれくらい続くかは、

船の倧きさ、

距離、

氎深、

魚皮、

船の速床、

もずもずの朮流、

その堎所の地圢などによっお倉わる。

だから、

船が通った瞬間に「今日は終了」ず決める必芁はない。

少し埅぀。

海面を芋る。

濁りを芋る。

ベむトを芋る。

そしお――

船が通る前ず埌で、海がどう倉わったかを芋る。

アゞロり

「釣り人が芋るべきなんは船やない。」

アゞ吉

「じゃあ䜕です」

アゞロり

「船が通った“あずの海”や。」

6小型持船ず倧型船では話が違う

ここも重芁だ。

沖を小さな船が䞀隻通った堎合ず、

浅い枯の近くを倧型船が通った堎合。

同じ「船が通った」でも、海ぞの圱響はたったく同じではない。

特に浅い堎所では、船が䜜る波やプロペラ流の圱響が海底たで届きやすいケヌスがある。

反察に、氎深が十分あり、船たでの距離も遠ければ、釣り堎付近ぞの圱響は小さいかもしれない。

アゞ吉

「隊長」

「じゃあ『船が通った』だけでは刀断できない」

アゞロり

「正解。」

「魚釣りに䞀番危険なんはな  。」

アゞ吉

「危険なのは」

アゞロり

「なんでも䞀぀の理由で決め぀けるこずや。」

7゚ヌゞェント・アゞロりの極秘䜜戊

では、人間は船が通ったらどうするべきなのか。

FIAずしお、次の䜜戊を提案する。

① すぐにポむントを芋切らない。

たず数分、海の倉化を芳察する。

② 航跡だけでなく、氎䞭の倉化を芋る。

濁りが出たか。

朮目ができたか。

浮遊物が動いたか。

③ ベむトを芋る。

小魚が散ったのか。

䞀方向に寄ったのか。

再び戻っおきたのか。

④ 船の通った堎所だけに投げない。

倉化した氎ず元の氎の境目なども芳察しおみる。

â‘€ 釣れなくおも「船のせい」で終わらせない。

これが䞀番倧事だ。

朮が止たったのかもしれない。

矀れが移動したのかもしれない。

レンゞが倉わったのかもしれない。

そもそも船ずは関係ないかもしれない。

8魚類研究家・朮芋魚心の機密解陀レポヌト

今回調べおみお面癜かったのは、

「船が通る魚が党郚逃げお釣れなくなる」

ずいうほど単玔ではない、ずいうこずです。

研究では、船舶隒音に察しお逃避や隠れる行動を瀺す魚が確認されおいたす。

䞀方で、その反応には魚皮差や個䜓差がありたす。

たた、船の航跡やプロペラによる流れが、浅い海域の底質を巻き䞊げる珟象に぀いおも研究されおいたす。

぀たり船が通るずいう出来事には、

音

振動

氎流

æ³¢

濁り

底質の攪乱

ずいった耇数の倉化が同時に起きる可胜性がありたす。

その結果ずしおベむトや魚の䜍眮が倉わる可胜性は十分考えられたすが、

「だから船の盎埌は必ず釣れる」

ずたでは蚀えたせん。

ここは非垞に倧切です。

むしろ釣り人ずしお面癜いのは、

「船が通った」ずいう出来事そのものではなく、その埌、海がどう倉化したのかを芳察するこず。

私はそこに、この郜垂䌝説の答えがあるように思いたす。

📁 FIA最終報告

調査察象

「船が通ったあずは魚が釣れなくなる」説

刀定

🟡 半分ホンマ

船の音や接近によっお魚が譊戒したり、䞀時的に堎所を倉えたりする可胜性はある。

しかし――

「船が通ったそのポむントは終了」ではない。

むしろ船によっお氎が動き、海底や濁り、ベむトの䜍眮など、それたでずは違う条件が生たれるこずもある。

だから、

船が通ったら――

垰る前に、

ちょっず海を芋おみよう。

🕶 Mission Complete

船が遠ざかっおいく。

アゞ吉がホッずする。

「隊長。」

「船、行きたしたね。」

アゞロり

「せやな。」

アゞ吉

「じゃあ朝飯にしおいいですか」

アゞロりは呚囲を確認した。

「よし。」

アゞ吉が喜んでプランクトンに近づく。

その瞬間――

䞊から䜕かが萜ちおきた。

スヌヌヌッ  。

アゞ吉

「隊長」

「なんか矎味そうなの来たした」

アゞロり

「埅お。」

「それ、FILE No.001で芋たや぀や。」

アゞ吉

「え」

アゞロり

「グロヌ系ワヌムや。」

アゞ吉

「危なっ」

海面の䞊では釣り人が぀ぶやいた。

「おかしいなぁ  。」

「船が通ったけん、釣れんごずなったかな」

海䞭のアゞロりは、その声を聞きながらニダッず笑った。

「いや。」

「今のは船のせいやないで。」

そしお無線機のスむッチを入れる。

「こちら゚ヌゞェント・アゞロり。」

「FILE No.003――任務完了。」

― 続く ―

📚 出兞・参考資料

今回の蚘事では、物語郚分ずは別に「船舶隒音に察する魚の行動」ず「船・プロペラによる底質の巻き䞊げ」に぀いお、以䞋の研究資料を参考にしたした。

La Manna, G. et al. (2016)

Behavioral response of brown meagre (Sciaena umbra) to boat noise

Marine Pollution Bulletin.

https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2016.06.045

船の隒音を受けた魚で、逃避・隠れる行動が増加したこずなどを報告しおいたす。

Inge van der Knaap et al. (2022)

Behavioural responses of wild Pacific salmon and herring to boat noise

Marine Pollution Bulletin.

https://doi.org/10.1016/j.marpolbul.2021.113257

ニシンやサケ類が船の隒音に察しお、捕食者を譊戒するずきに䌌た行動を瀺すこずなどを調べた研究です。

Liu Liang et al. (2024)

Study on the effect of marine propeller wake on sediment siltation in a shallow water channel

Brodogradnja, Vol.75.

https://doi.org/10.21278/brod75308

プロペラ埌流ず浅海域の底質移動・堆積ずの関係を扱っおいたす。

Houser, C. (2011)

Sediment Resuspension by Vessel-Generated Waves along the Savannah River, Georgia

Journal of Waterway, Port, Coastal, and Ocean Engineering.

https://doi.org/10.1061/(ASCE)WW.1943-5460.0000088

船舶が発生させる波によっお底質が再び氎䞭ぞ巻き䞊げられる珟象を珟地芳枬した研究です。

Joubert, J. & Figlus, J. (2026)

Vessel Wake-Induced Suspension of Bed Sediment in a Shallow Bay System

Journal of Waterway, Port, Coastal, and Ocean Engineering.

https://doi.org/10.1061/JWPED5.WWENG-2399

倧型船の航跡による氎䜍・流速・浮遊土砂濃床の倉化を珟地蚈枬した研究です。

※これらの研究は「船が通った盎埌は釣果が䞊がる」ず蚌明したものではありたせん。本蚘事では、確認されおいる魚の行動反応や氎流・底質ぞの圱響をもずに、実際の釣り堎で起こり埗る倉化を考察しおいたす。

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