【乳がんでも1軍でいく】⑩ 病理結果と治療方針の決定。という話
今回は、タイトルそのままで、私の「病理結果」と「治療方針」という少し硬いお話をします。
私の身体に起きたことの、ひとつの区切りとなるお話です。
✣ ✣ ✣
5月、私の治療方針が決まりました。
「オンコタイプDX」という遺伝子検査の結果、化学療法による上乗せ効果は1%未満。
そのため、私は「抗がん剤治療」を行わず、この後は「放射線治療」へと進むことになりました。
昨年末に「再検査」となってからの半年間、私は先の見えないまま走り続けてきました。
仕事はどうなるのか。
大学は続けられるのか。
どんな治療が待っているのか。
そんな日々に、ようやく一つの目処が立ったのです。
先が見えない長いトンネルを歩き続けてきた私にとって、それは「ここからまた、先へ進める」と思える、大きな節目でもありました。
しかし、その安堵も束の間でした。
ようやく前を向けた、そのすぐ隣で、胸に鋭く突き刺さる現実が待っていたのです。
それは、新たな病理結果が突きつけた現実でした。
✣ ✣ ✣
私が罹った「浸潤性小葉癌」。
このタイプは、比較的ゆっくり育つ一方で、小さな病変が複数できたり、反対側の乳房に見つかったりすることもある性質を持っています。また、長い年月を経てから再発する可能性もゼロではないと言われています。
そして今回、病理結果を聞きながら私が驚いたのは、その特徴が、私自身にも当てはまっていたことでした。
術前には見えていなかった微小な病変が、もう一か所見つかったのです。
サイズはいずれもミリ単位で、ステージとしては 「Ⅰ」のまま。
けれど、癌は一つではなかったのです。
このとき初めて、私は、自分が「ステージⅠ」というものを、どこかもっと単純なものとして考えていたことに気がつきました。
そして、「なんとなく自分が思い描いていた現実」と「実際の身体に起きていたこと」は違っていた──。そんな当たり前のことを、自分の身体から教えられた気がしました。
小葉癌は、しこりとして触れにくいという特徴があります。
実際、私自身も何の自覚症状もないまま、気楽に人間ドックを受けていました。
触っても分からない。見た目も変わらない。痛くもない。だからこそ、昨年の検診で、この僅かなサイズの段階で拾い上げてもらえたことは、本当に幸運だったのだと感じています。
だからこそ、このような経緯もあって、私は手術前から「抗がん剤治療になるかもしれない」というルートも含め、これからの生き方を考えていました。
副作用のこと。
働き方のこと。
大学のこと。
味覚障害やしびれ、吐き気などにはどう対処すべきか。頭皮や指先をどう冷やせば副作用を抑えられるのか。ウィッグなどアピアランスケアの商品を調べ、具体的にノートにまとめて研究していました。勤務先には働き方をどうするか相談し、学び先の大学へは休学届を待っていてもらいました。できる準備は、できる限りしていました。
ですから、「抗がん剤は必要ありません」と言われた時、「終わった、よかった」という気持ちだけにはなりませんでした。
胸に残ったのは、「この病気と付き合いながら生きていくんだな」という覚悟でした。
✣ ✣ ✣
この世界には、今この瞬間も、抗がん剤の副作用と闘いながら暮らしている方がたくさんいます。これから治療が始まる不安のなかにいる方もいます。
そう考えると、「今回は、まず山を越えた。けれど、この先に何が待っているかは誰にも分からない」──それが、この病気のリアルなのだとも感じます。
だからこそ。
私は、抗がん剤治療になるかもしれないと考えて過ごした日々のすべてが、今の私に繋がっていると思うのです。あの時に調べたこと。考えたこと。覚悟したこと。それらは、私の中に残っています。
いつか、自分自身のために闘う日が来るかもしれない。
あるいは、今まさに治療のなかにいる誰かの不安やその思いを、以前の私より少しだけでも想像できるようになったのかもしれない。
覚悟とは、「きっと大丈夫」と言い聞かせることでも、「最悪を受け入れること」でもなく、どんな結果が待っていても自分の人生を生きていこうと決めるため、私に必要な時間だった。
そう思うのです。
✣ ✣ ✣
5月は、1ヶ月続いた放射線治療の副作用による疲れ、眠気、重怠さと相談しながら過ごした日々でした。
ヒリヒリと痛む胸は、グンゼの1軍「メディキュア」にずっと守ってもらってきました。
それが、いま、少しずつ和らいできているのを感じています。
これからも、なかなかの長旅です。
でも、とりあえず。
私は、この半年でひとつ、新しい武器を手に入れました。
そして今日も、私は、お気に入りの1軍パンツを穿いています。
私はね、いつも、ここからなのです。
📎 医療記録
※ここに並べたものはすべて、私が主治医の先生と話し合い、納得して選び取った、私にとっての最善の標準治療です。
がんに挑むルートは、年齢・ステージ・病理型など、無数の条件の組み合わせによって一人ひとり全く異なります。あくまで私個人の、現在の、一つの記録として残しておきます。
■ 経過タイムライン
・2025年
人間ドック(2D+3Dマンモグラフィー)
要精密検査指摘(高濃度乳房、石灰化集簇)
乳腺超音波
・2026年
針生検にて悪性(浸潤癌)診断
術前検査(MRI、CT、骨シンチ)
告知(浸潤性小葉癌、cStageⅠ)
右乳房部分切除+センチネルリンパ節生検
術後病理結果受領
オンコタイプDX結果受領
術後補助療法方針決定
放射線治療(全16回)
放射線治療終了後:ホルモン療法開始
(アナストロゾール内服:10年間予定)
■ 術後病理検査・詳細データ
診断名:浸潤性小葉癌(病理学的ステージⅠ期)
・腫瘍サイズ:最大約7mmと約3mm(複数病変)
・リンパ節転移:なし(センチネルリンパ節生検陰性)
・切除断端:陰性
・エストロゲン受容体(ER):強陽性
・プロゲステロン受容体(PgR):強陽性
・HER2:1+(陰性)
・核グレード:Grade 1
・Ki67(増殖指数):低値
■オンコタイプDX(Oncotype DX)結果
・再発スコア(RS):12
・10年遠隔再発率:5%(ホルモン療法施行時)
・化学療法上乗せ効果:明らかな上乗せ効果なし(1%未満)
※次回からは「放射線治療も1軍パンツでいく」のお話です!
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