for serendipity1627 20世紀の現代文学の最高傑作と、河原温のアートが、どちらも「一日」というものに着目し、「一日」というテーマをクローズアップした
布施英利さんの『現代アートはすごい-デュシャンから最果タヒまで』(ポプラ新書、2022)、第6章「日本の現代アート」で紹介されている河原温さんの紹介ページより。
20世紀の小説で、もっとも実験的で野心的ともいえる、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』は、現代文学の最高傑作といえる小説だ。膨大な大長編小説で、分厚い本が数冊で一つの小説になっているが、そこに描かれているのは、なんとある一日の出来事なのだ。夜明け前から始まって、時間の進行とともに、小説のストーリーも進行し、昼になって、夜になってと、たった一日に起こったことだけが描写されている。その日付は、1904年6月16日なのだが、この日付だけを見ると、とくに意味はない。歴史的な事件があった日でもない。(中略)
(現代美術家の)河原温がジェームス・ジョイスを読んだ、という記録はない。ましてや、河原温が「Today Series」に取り組んだきっかけが、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』だったという証拠などない。しかし
20世紀の現代文学の最高傑作と、河原温のアートが、どちらも「一日」というものに着目し、「一日」というテーマをクローズアップした・・・
(166-168p)
**
「日付」を描いた河原温さんは「夜中の0時から描き始め、その日のうちに描き終えたものだけが、作品として成立する」(169p)という制約を設けていたといいます。僕はいま何に「着目」しているか。できることはもっとあることを教えてくれます。塩見直紀
