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まだ、恐竜を追いかけているのは、わたしだけだった。

「しおり、これ好きだったよね。」

おばあちゃんは、わたしが大人になってからも、小さい頃好きだったお菓子を覚えてくれていました。

クリスマスの時期になると、お菓子がぎっしり詰まったブーツを用意してくれていて、そのたびに、

「それ好きだったのは、小学生のときだよ~(笑)」

なんて返していました。


友人とも、

「おじいちゃんおばあちゃんも、親も、いつまでも、孫や子どもの好きなものが更新されないよね(笑)」

なんて笑って話していたこともありました。


でも、最近、その言葉を思い出す出来事があったんです。


恐竜だらけの毎日

わたしは今、小学4年生と2年生の男児を育てています。

二人とも、小さい頃から恐竜が大好きでした。

恐竜図鑑はボロボロになるまで読みました。
恐竜の名前はすぐに覚えるから、ひらがなよりも先にカタカナを覚えたほどです。

恐竜イベントを調べたり、泊まりがけで恐竜博物館へ行ったり、化石発掘も体験したりして、休日はいつも恐竜でした。

1メートル近いティラノサウルスのフィギュアから、小さくてすぐになくなってしまいそうなトリケラトプスのシールまで、恐竜グッズは数え切れないほどあります。

幼稚園で使うバッグも、ランチョンマットも、体操袋も、普段使う傘も、Tシャツも、水着も、身の回りは、ぜーーんぶ恐竜。

そんな毎日を、何年も過ごしてきました。

何度も読んでいる恐竜の図鑑と本(一部😂)
プレゼントは毎回恐竜のリクエスト🦖🦕

先日、恐竜のイベントを見つけたので、

「ねぇ、恐竜のイベントあるよ!行く?」

前のめり気味で、そう聞くと、


二人は顔を見合わせて、

「ん〜、今はいいかな。」

そう言っていました。


恐竜が嫌いになったわけじゃない。

新しく好きなことができて、そっちに夢中になっている。

ただ、それだけのこと。

それなのに、

いま恐竜を追いかけているのは、わたしだけだった。

ということに気づいて、少しだけ胸がぎゅっとなりました。


成長は、「うれしい」だけじゃなかった。

背が伸びること。

できることが増えること。

そんな目に見える成長は、子どもたちも自覚しやすいし、わたしも素直にうれしい。


でも、

好きなものが変わることは、少し違いました。


子どもが、

わたしの知らない世界へ、

少しずつ歩いていくような気がしたんです。


「成長はうれしいこと。」

そう言い聞かせようとする自分もいました。


でも、正直に言うと、

うれしい。でも、少し寂しい。

成長してほしい。でも、成長してほしくない。

そんな気持ちです。


・・・本当に勝手ですね(笑)


あの頃の良き思い出として、大切にしまっておきたい気持ちもあるんです。

でも、もしかしたら、ほんのちょっと、

もう一度だけ、あの夢中で、愛おしくて、大変な時間を、また一緒に味わいたくなっているのかもしれません。


そのとき、

おばあちゃんの顔が浮かびました。

「しおり、これ好きだったよね。」


あぁ、

おばあちゃんは、お菓子を買ってくれていたんじゃなかった。


あの頃のわたしとの思い出を、

大切にしてくれていたのかもしれないって・・・。


思い出を手放す必要なんてない。

もう眠いのに何度も恐竜図鑑を読んだ夜も、

スピノサウルスの真似をして走っていたことも、

しりとりで出るのは恐竜の名前だらけで子どもたちが圧勝したことも、

博物館で恐竜図鑑を広げて熱中していたあの日も・・・


もう二度と同じ日はこない。


でも、無理やり手放す必要もない。

あのときの思い出は、全部、大切なままでいい。

博物館で急に恐竜図鑑を広げる長男(当時4歳)

いつか子どもたちが大人になって、

「お母さん、まだそんなこと覚えてるの?」

と笑う日が来るのかもしれません。


そのとき、わたしもきっと言っているかもしれません。

「だって、好きだったでしょう。」

って。


子どもの成長を感じるのは、

「できるようになった日」だけじゃないんですね。


「好きが変わっていく日々」も、

大切な子どもの成長だと思いました。


だから、いまは、

「これ、好きだったよね。」

と言ってくれるおばあちゃんの気持ちが、少しだけ、分かるようになりました。

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