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印象派唯一のアメリカ人女性【メアリー・カサット】

【この記事の目的】

1.美術検定の合格に向けて、西洋美術史の流れをまとめた記事を作る
2.時代ごとに活躍した芸術家を別の記事で作成しリンク付けする

随時追加&編集していきます!

1. 基本情報

https://dali.jp/archives/blog/1056

名前:メアリー・カサット (Mary Cassatt)
生没年:1844年5月22日~1926年6月14日
出身地:アメリカ、ペンシルベニア州アレゲニー(後にフランスへ移住)
活躍した時代:19世紀後半~20世紀初頭(印象派の主要メンバーとして活躍)
主な活動分野:油絵、パステル、版画

2. 芸術様式と技法

所属した流派・運動

印象派(印象主義)の数少ない女性画家の一人であり、特にエドガー・ドガに影響を受けました。

代表的な技法・表現

柔らかな筆致と温かい色彩:人物の肌や服の質感を柔らかな筆致で表現し、温かく親密な雰囲気を作り出しました。色彩は明るく、光の表現に長けていました。

パステルと版画の活用:油絵だけでなく、パステルによる鮮やかな色彩表現や、浮世絵の影響を受けた精緻な版画(ドライポイント、アクアティントなど)を多く制作しました。

親密な構図:母親と子ども、姉妹など、人物間の親密な関係性を捉えた構図を多く用いました。

画風の特徴

母と子のテーマ:特に母親と子どもの愛情に満ちた日常的な情景を繰り返し描きました。

女性の視点:当時の社会における女性の役割や内面を、女性ならではの繊細かつ共感的な視点で描きました。読書、裁縫、身だしなみなど、女性の日常的な活動を主題にしました。

日本美術(浮世絵)からの影響:浮世絵の大胆な構図、平坦な色面、明快な輪郭線、日常生活の描写などから大きな影響を受け、特に版画作品にその特徴が顕著に表れています。

画風の変遷

初期(1860年代~1870年代初頭)
ペンシルベニア美術アカデミーで学び、スペインやイタリアを旅行して巨匠の作品を研究しました。この時期は古典的な絵画技法を習得しました。

印象派との出会いと確立期(1870年代後半)
エドガー・ドガに誘われ印象派に参加。戸外制作にはあまり興味を示さず、人物描写、特に女性と子どものテーマに特化し、印象派の技法を自己流に消化しました。

日本美術からの影響期(1890年代初頭) 日本の浮世絵展から強いインスピレーションを受け、その構図や表現を自身の版画や絵画に取り入れました。この時期の版画は特に評価が高いです。

晩年(1900年代~)
視力の衰えに苦しむようになり、徐々に制作活動から遠ざかっていきました。

3. 代表作品

「リディアの肖像」 (1878年)

https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/Mary-Cassatt/97492/C.%E3%83%AA%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%83%83%E3%83%88%E5%A4%AB%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%82%96%E5%83%8F%E3%80%811880%E5%B9%B4.html


印象派に参加した初期の作品で、妹リディアを描いたもの。明るい色彩と自由な筆致が印象派の技法を反映しています。

「オペラ座の黒衣の女」 (1879年)

https://serai.jp/hobby/67625

劇場でオペラを鑑賞する女性たちを描いた作品。当時のパリの社交界の様子と、女性の視点から見た現代の生活を描いています。

「沐浴」 (1890-1891年)

https://ameblo.jp/art-a-school/entry-12186430499.html

日本の浮世絵から強く影響を受けた版画作品の一つ。母子が素朴で親密な形で描かれ、平面的な構図と大胆な色彩が特徴です。

「縫物をする女」 (1880年)

https://bijutsufan.com/impressionism/paintings-mary-cassatt/

日常の光景を捉えた作品。女性が室内で針仕事をする姿を通して、当時の女性の生活や内面を繊細に表現しています。カサットが得意とした、親しい人物を描いた家庭的な主題の一つです。

4. 生涯と人間性

生い立ちと教育

ペンシルベニア州の裕福な家庭に生まれる。若い頃から画家を志し、ペンシルベニア美術アカデミーで学びましたが、その保守的な教育に不満を抱きます。その後、ヨーロッパへ渡り、パリやイタリア、スペインで絵画の古典を学びました。

経済状況と社会との関わり

裕福な家庭の出身であり、画家としてのキャリアを通じて経済的な苦境に陥ることは少なかったです。女性画家として、当時の社会の偏見や障壁と向き合いながらも、自身の芸術を追求し続けました。アメリカのコレクターに印象派の作品を積極的に紹介し、アメリカにおける印象派の普及にも貢献しました。

個性・逸話

知的で独立心が強く、自身の芸術に対する信念を貫きました。当時の女性としては珍しく、自由な生き方を選び、絵画にその生涯を捧げました。子どもは持たなかったものの、母子のテーマを多く描いたことでも知られています。ドガとは時に激しく議論を交わすこともあったが、互いに深い尊敬の念を抱いていました。

5. 他の芸術家とのつながり・影響

交流があった画家・芸術家

師と弟子
正式な師は特になく、独学と古典模写で技術を習得しました。特定の弟子はいませんが、アメリカの若い画家たちに影響を与えました。

交流があった画家・芸術家

  • エドガー・ドガ

彼女の芸術にとって最も重要な人物であり、師であり友人でもありました。構図や色彩、版画制作において大きな影響を受けました。

  • クロード・モネ

  • ピエール=オーギュスト・ルノワール

  • カミーユ・ピサロ

印象派の主要な画家たちと交流し、共に印象派展に参加しました。

後世への影響

女性画家の地位向上:男性中心だった当時の美術界において、印象派の主要メンバーとして活躍することで、女性画家の地位向上に大きく貢献しました。

母子像の刷新:伝統的な聖母子像とは異なる、より日常的で親密な母子像を描くことで、このテーマに新たな息吹を吹き込みました。

アメリカ美術への影響:アメリカ人でありながらフランスで活躍したことで、アメリカの芸術家やコレクターにフランスの近代美術を紹介する橋渡し役となりました。

6. 評価と影響

当時の評価

印象派展では、その作品の質と独自性が高く評価されました。特にドガからは大きな尊敬を集めました。女性画家としての偏見に直面することもあったものの、その才能は早くから認められていました。

現在の評価

メアリー・カサットは、印象派を代表する重要な画家の一人として、世界中で高く評価されています。特に母子像のシリーズは、普遍的な愛情や人間関係の美しさを表現した傑作として知られ、多くの人々に愛されています。彼女は、女性の視点から近代社会を描き出した先駆者として、美術史にその名を刻んでいます。

7. 主な収蔵美術館

フランス

  • オルセー美術館

アメリカ

  • メトロポリタン美術館

  • ナショナル・ギャラリー (ワシントンD.C.)

  • ボストン美術館

  • シカゴ美術館

  • フィラデルフィア美術館

イギリス

  • ナショナル・ギャラリー (ロンドン)

日本

  • 国立西洋美術館

  • ポーラ美術館

  • ブリヂストン美術館(アーティゾン美術館)

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