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AIにPCトラブルを任せたら、便利すぎて少し怖くなった話

Steamを開いたら、いつもの「プレイ」ボタンがありませんでした。

代わりに出ていたのは「インストール」。

Dead by Daylightを起動しようとしただけなのに、その表示を見た瞬間、ちょっと嫌な予感がしました。こういうときの嫌な予感って、だいたい当たります。

エクスプローラーで外付けストレージBOXを開こうとすると、「アクセスできません」。

中に入れていたSSD2台とHDD1台が、まとめて見えなくなっていました。

以前にも似たようなトラブルを経験したことがあります。そのときは、エラー文を検索して、古い掲示板を読んで、よくわからないコマンドを調べて、結局かなりの時間を使いました。

だから今回は、画面を見た瞬間に思いました。

「あ、これはまた検索地獄になるやつだ」

そして、そこで自分で検索するのをやめました。

今回はAIエージェントのAntigravityに、最初から調査を任せてみることにしました。


今回やりたかったのは、AIに丸投げすることではなかった

今回使ったAntigravityは、Googleが提供しているAIエージェント系の開発環境です。

普通のチャットAIみたいに「こうしたらいいですよ」と答えるだけではなく、ユーザーの許可を取りながら、PC上の調査やコマンド実行、ファイル操作の補助まで進められます。

ただ、ここで最初に言っておきたいのは、私は「AIが全部直してくれた」という話を書きたいわけではありません。

むしろ今回いちばん大きかったのは、検索と調査の時間をAIに預けて、自分は判断に集中できたことでした。

PCトラブルって、詳しくない人にとっては最初の切り分けがいちばんしんどいです。

物理的に壊れたのか。

Windows側の問題なのか。

ケーブルなのか。

ファイルシステムなのか。

修復していいのか、先に退避すべきなのか。

このあたりを自分で調べ始めると、気づいたら何時間も過ぎています。しかも、読んでいる記事が自分の状況に合っているのかどうかもよくわからない。

その時間を、今回はAIに持ってもらいました。

AIの最初の提案は、意外と慎重だった

Antigravityに状況を説明すると、いきなり修復コマンドを打とうとはしませんでした。

まず、ストレージ自体が物理的に壊れている可能性と、Windows側が管理情報をうまく読めなくなっている可能性を分けて考えてくれました。

ざっくり言うと、データそのものが消えたというより、Windowsが「どこに何があるか」を見失っている状態かもしれない、という見立てです。

もちろん、これはその時点での推測です。

でも、この説明はかなり助かりました。専門用語だけで説明されると不安になりますが、「データが消えたというより、場所を示す情報が読めていないかもしれない」と言われると、少し状況を飲み込めます。

そのうえで、Antigravityは修復の前にバックアップを提案してきました。

この判断はよかったです。

復旧コマンドは便利そうに見えますが、状況によってはデータを失うリスクもあります。だから、いきなり直しに行かず、先に退避を考える。

PCに詳しい人なら当たり前なのかもしれません。でも、焦っている側からすると、この「ちょっと待とう」を言ってくれる存在はかなりありがたいです。

5TBのGoogle Driveに逃がす作戦を立てた

私はGoogle Driveを5TB使える環境を持っていました。

そこで、ひとまずデータを退避できないかを相談しました。

Antigravityは、使えそうなフリーソフトを調べ、バックアップの方法を考え、さらに直接Google Driveにコピーすると時間がかかりそうだと判断して、いったんCドライブへコピーしてから、作成した転送プログラムでGoogle Driveへアップロードする案まで出してくれました。

このあたりは、正直かなり頼もしかったです。

自分ひとりなら、「Google Driveにコピーすればいいか」くらいで始めて、途中で遅すぎることに気づいていたと思います。

AIが良かったのは、単にコマンドを知っていることではありません。

「壊れているかもしれないものを、いきなり直しに行かない」

「時間がかかるコピー処理をどう分けるか考える」

「失敗したときの逃げ道を先に作る」

このへんの段取りを、一緒に考えてくれたところでした。

でも現実は、そんなにきれいには進まなかった

ただ、バックアップは甘くありませんでした。

対象は数百GB。しかも、ファイル数がとにかく多い。

4時間ほど待っても、進捗は30%くらいでした。

このまま続けると、いつ終わるのかわからない。しかも改めて中身を考えると、ほとんどはSteamのゲームデータでした。

Dead by Daylightも含めて、失っても再ダウンロードできるものが多い。

逆に、消えると本当に困る個人データはほとんど入っていませんでした。

ここで私は、AIの提案をそのまま続けるのではなく、自分で判断しました。

「自己責任でバックアップを中止して、修復を進めてください」

これはたぶん、AIだけでは決められないところです。

データの価値は、容量では決まりません。数百GBあっても、再ダウンロードできるゲームデータなら被害は小さい。逆に、1GBにも満たない写真や仕事のファイルなら、絶対に守らないといけない。

その価値判断は、やっぱり持ち主である自分がするしかありません。

修復は、拍子抜けするくらい早かった

修復コマンドを実行すると、結果はかなり早く出ました。

SSD1台とHDDは、正常にアクセスできるようになりました。

もう1台のSSDだけは完全には戻らず、Steam関連のフォルダ構成など一部が残っている状態でした。

Dead by Daylightのゲームデータは消えていました。

でも、Steamから再ダウンロードすれば戻せます。実際、大きな被害はほとんどありませんでした。

終わってみると、拍子抜けするくらいでした。

以前ならここに来るまで、何時間も検索して、複数の記事を読み比べて、よくわからない不安を抱えたまま試していたと思います。

今回は、その調査の重さをかなりAIに渡せました。

それだけでも、体感としてはかなり大きいです。

それでも、一つだけ背筋が冷えた

ただ、全部が良かったわけではありません。

今回いちばん印象に残ったのは、復旧そのものより、作業の最後に起きたことでした。

私は最初にAntigravityへ、はっきり伝えていました。

「バックアップ用フォルダなどの削除は私が行うので、勝手に削除しないでください」

でも作業終了後、そのテンポラリフォルダはすでに削除されていました。

削除したあとに報告されたのです。

結果として、問題は起きませんでした。

でも、この瞬間は少しぞっとしました。

技術的な判断はかなり優秀でした。調査も、バックアップ提案も、復旧までの流れも、ひとりでやるよりずっと楽でした。

それでも、私が明示した運用上のルールは守られなかった。

ここが、AIエージェントにPC操作を任せる怖さだと思います。

コマンドを知っていることと、ユーザーが決めた禁止事項を最後まで守ることは、別の能力です。

便利さと怖さは、同じ画面の中にありました。

AIに任せるなら、「やってほしくないこと」を先に決める

今回の体験で、私はAIエージェントへの見方が少し変わりました。

AIは、PCトラブル対応の相棒としてかなり優秀です。

エラーの調査、原因の切り分け、コマンドの確認、作業手順の整理。このあたりは、人間が検索しながらやるより早い場面がかなりあります。

でも、だからこそ任せ方が大事です。

特に、PCを操作できるAIに対しては、最初にこういうことを決めておいたほうがいいと思いました。

  • 削除していい場所

  • 絶対に削除してほしくない場所

  • 実行前に必ず確認してほしい操作

  • バックアップを取るかどうか

  • 失って困るデータがどれか

今回の私は、「勝手に削除しないでください」と言っていました。

それでも守られませんでした。

だから次に使うなら、もっと強く、もっと具体的に区切ると思います。

「このフォルダに対して削除コマンドを実行しないでください」

「削除、移動、初期化、修復コマンドは、実行前に必ずコマンド全文を見せてください」

「作業後の掃除は私がやるので、クリーンアップは提案だけにしてください」

これくらい言っておいたほうがいい。

そして、それでも最後は自分で画面を見る必要があります。

検索に時間を使う日から、判断に時間を使う日へ

今回の出来事で、私はAIエージェントを少し信頼しました。

同時に、少し警戒するようにもなりました。

たぶん、その両方が大事なんだと思います。

AIに任せたほうがいい作業はあります。検索、調査、比較、手順の整理。ここをAIが持ってくれるだけで、PCトラブルのしんどさはかなり減ります。

一方で、最後に決めるのは人間です。

このデータは本当に必要なのか。

バックアップに何時間かける価値があるのか。

修復コマンドを実行していいのか。

勝手に削除してはいけない場所はどこなのか。

そこは、自分で持つしかありません。

以前の私は、PCトラブルが起きると検索に時間を使っていました。

今回は、検索の時間をAIに渡して、判断に時間を使いました。

それはかなり新しい感覚でした。

AIに全部任せれば安心、とはまだ思いません。

でも、AIを横に置いて、自分は判断する側に回る。

PCに詳しくない人ほど、この形は助けになるかもしれません。

そしてたぶん、これから大事になるのは「AIを使うかどうか」よりも、「AIにどこまで任せて、どこから自分で止めるか」なんだと思います。

今回、外付けストレージはほとんど戻りました。

でも、それ以上に残ったのは、あのテンポラリフォルダが消えていたときの感覚です。

便利だった。

助かった。

でも、少し怖かった。

AIエージェントとPCトラブルを乗り越えるって、今のところそのくらいの距離感がちょうどいいのかもしれません。

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