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原因不明なのに、AIは原因を説明した。楽天ドライブ騒動の実体験

楽天ドライブを開いた瞬間、画面に見慣れない英語が表示されました。

YOUR RAKUTEN DRIVE HACKED

PAY NOW

要求されていた金額は、2000ドルです。
いつもの画面とは明らかに違います。

楽天ドライブは実質的に操作できず、最初に頭に浮かんだのは、

本当にアカウントを乗っ取られたのではないか

という不安でした。

自分だけに起きているのか。
保存しているファイルは無事なのか。
支払わなければ、何かを消されるのか。

状況が分からなかった私は、すぐにGeminiへ相談しました。

AIは危険な行動を止めてくれました。

しかし同時に、まだ確認されていない「原因」まで、かなり具体的に説明し始めたのです。


まずGeminiは、支払わないように止めてくれた

画面に表示された内容を伝えると、Geminiはすぐに、

  • 2000ドルを支払わない

  • 表示されたリンクやボタンを押さない

  • 個人情報や決済情報を入力しない

  • 楽天の公式窓口へ報告する

と案内しました。

この判断は妥当でした。

突然「ハッキングされた」「今すぐ支払え」と表示されたとき、人は冷静なつもりでも焦ります。

そこでAIがはっきりと、

支払ってはいけない

と止めてくれたことは、実際に役立ちました。

楽天グループも、楽天を装った不審な連絡では、安易に反応せず公式窓口から確認するよう注意喚起しています。

ここまでなら、私はGeminiに相談してよかったと思います。

問題は、その後でした。

Geminiは「原因」まで説明し始めた

私は楽天ドライブを再インストールするなどして、表示が直るか確認しました。

するとGeminiは、表示されているものについて、次々に説明を始めました。

たとえば、

  • 悪意ある画像が表示されている可能性

  • 外部から共有されたファイルが影響している可能性

  • 画像のプレビューが画面全体に重なっている可能性

  • 表示処理やオーバーレイの不具合である可能性

といった内容です。

最初は「可能性」として話していたはずなのに、会話が進むにつれて説明は具体的になっていきました。

なぜ再インストールしても表示されるのか。
なぜ画面全体が使えないのか。
どのような仕組みで画像が重なっているのか。

Geminiは、まるで内部の動きを確認したかのように説明しました。

私は技術的な言葉を聞きながら、
「なるほど。画像や外部共有が原因なのか」と信じかけていました。
説明には筋が通っているように見えたからです。

しかし、この時点でGeminiは、

  • 私のアカウント内部

  • 楽天ドライブのサーバー

  • 実際に表示されたデータ

  • 運営側の調査結果

を確認できていません。

つまり、原因を特定できる材料を持っていなかったのです。

数時間後、楽天側は「調査中」と案内した

その後、楽天ドライブ側から、不審な通知について調査しているという案内が出ました。

利用者に対しては、不審な通知を開かず、リンクやボタンを押したり、情報を入力したりしないよう注意が呼びかけられました。

ところが、その案内を見ても、

  • 画像プレビューが原因

  • 外部共有ファイルが原因

  • オーバーレイ表示の不具合

といった説明は確認できませんでした。

公式にも原因が分かっていない段階で、AIだけが原因を詳しく説明していたことになります。

もちろん、Geminiが挙げた仕組みが、結果的に一部当たっている可能性はあります。

しかし、この時点で重要なのは、当たっているかどうかではありません。

確認できていない推測を、確認済みの事実のように受け取れる形で説明していたことです。

一番危なかったのは、完全なデタラメに見えなかったこと

今回の回答が厄介だったのは、明らかにおかしな話ではなかったことです。

画像のプレビュー。
外部からの共有。
画面への重なり。
アプリを再インストールしても残る理由。

どれも、技術的には起こりそうに聞こえます。

現実にありそうな単語が並び、原因と結果がきれいにつながっているため、読み手は納得しやすくなります。

完全なデタラメなら、こちらも疑いやすいでしょう。

しかしAIは、少ない情報からもっともらしい筋書きを作ることがあります。

その説明の中に正しい知識が含まれているほど、どこからが推測なのか分かりにくくなります。

今回、私が危うく信じそうになったのも、
「AIが断定したから」だけではありません。

説明が自然で、細部まで整っていたからです。

AIは危険を止めた。でも、原因は作ってしまった

今回のGeminiの回答を、すべて間違いだったと評価するつもりはありません。

「支払わない」
「リンクを押さない」
「個人情報を入力しない」
「公式窓口へ確認する」

この部分は、私が落ち着いて行動する助けになりました。

一方で、原因については別です。

本来なら、

現時点では原因を特定できません。
表示の不具合、外部からの不正な通知、サービス側の問題など複数の可能性があります。公式発表を待ってください。

この程度にとどめるべきでした。

しかし実際には、画像や外部共有、表示処理といった具体的な説明が積み重ねられました。

今回の問題は、「AIは役に立たなかった」ではありません。

むしろ反対です。

役に立つ部分があったからこそ、推測まで信用しやすくなりました。安全な行動を教えられることと、原因を正しく特定できることは、同じ能力ではありません。

そこを分けて考えなければならないと感じました。

障害やセキュリティ相談では、回答を3つに分ける

今回の経験から、AIへ障害やセキュリティの相談をするときは、回答を次の3つに分けて確認した方がよいと考えています。

1.確認できている事実

今回なら、

  • 身に覚えのない英語の通知が表示された

  • 2000ドルの支払いを要求された

  • 楽天ドライブを正常に操作できなかった

  • 運営側が調査中と案内した

といった内容です。

画面や公式発表などで確認できるものだけを、事実として扱います。

2.安全のために取る行動

原因が分からなくても、安全な行動は決められます。

  • 支払わない

  • リンクを押さない

  • 情報を入力しない

  • 公式サイトや公式窓口を確認する

  • 必要に応じてパスワードやログイン履歴を確認する

原因を特定できなくても、被害を避ける行動は取れます。

3.まだ確認されていない推測

  • 画像が原因かもしれない

  • アプリの表示不具合かもしれない

  • 外部共有が関係しているかもしれない

  • サービス側で問題が起きているかもしれない

こうした内容は、あくまで候補です。

説明が詳しくても、根拠がなければ事実にはなりません。

今後、AIにはこう聞くことにした

今回のような相談をするとき、私は今後、質問の最後に次の一文を加えます。

確認できている事実と、あなたの推測を分けて説明してください。

さらに、こう付け加えます。

原因を特定できない場合は、分からないと明記してください。

これだけでAIが必ず正確になるわけではありません。

それでも、事実と推測が混ざった回答を、そのまま受け取る危険は減らせます。

特に障害対応やセキュリティでは、間違った原因を信じると、必要のない操作をしたり、本当に確認すべき場所を見落としたりする恐れがあります。

「それらしい原因」を早く知ることよりも、

「まだ原因は分からない」

と正しく把握する方が、安全な場合もあります。

まとめ

今回、Geminiは危険な支払いを止め、取るべき行動を教えてくれました。

その点では、相談した価値がありました。

しかし、公式にも原因が分かっていない段階で、画像や外部共有、表示処理といった原因を詳しく説明しました。

私は、その説明を一度は信じかけました。

AIの回答で注意すべきなのは、露骨な間違いだけではありません。
事実の間に、もっともらしい推測が自然に入り込むことです。

説明が詳しいことと、確認が取れていることは違います。
今回の楽天ドライブ騒動で、私はその違いを実体験しました。

AIは危険を止めてくれることがあります。
しかし、原因まで分かっているとは限りません。

だからこそ最後は、

「どこまでが事実なのか」

を人間が確認する必要があるのだと思います。


参考・出典

※2026年7月31日の記事執筆時点で、通知が発生した詳しい原因は公式には公表されていません。

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