見出し画像

毒ニンニク親

先日、娘(小2)の授業参観日があった。
二年生になりクラス替えがあって、保育園の時に一緒だった友達が、3人も同じクラスになり嬉しそうな娘である。参観日も「楽しみ!」と前向きな気持ちでいてくれた。

私が教室に着くとすぐに、私の姿を見つけて手を振ってくれた。一瞬で見つけてくれ、とても嬉しそうな顔をしてくれたので、私も思わずにっこりしてしまった。

親を見つけてこんなに嬉しそうな顔をしてくれるのなんて、何歳くらいまで続くのだろうか、思春期になり、親を鬱陶しがる日がきたら寂しいなと思いつつ、まだ親を素直に求めてくれている今を精一杯楽しもうと心に固く誓った。

授業は粘土で好きな物を作るというものだったが、保育園からの友達と楽しそうに話をしながら、制作活動に勤しんでいてとても微笑ましかった。私がネコ好きなのが理由かわからないが、粘土でネコを作っていて、授業後には「ネコできたよ!」と見せてくれたので「かわいくできたね!上手だね!すごいね!」と心から出た正直な気持ちで感想を述べさせてもらった。

昔からよく分かっていることではあるが、娘ってやっぱりかわいいなと再確認ができ、授業に参観できてありがたい気持ちでいっぱいであった。

非常に親バカでこんなことを記すのも心苦しいのだが、娘のかわいさに勝るものはこの世の中になく、そのかわいさは日に日に更新されていく。

特に授業参観日などの日常ではない場面で娘の様子をみると、その思いを実感するのである。

そういえばこの前、あまり使わないiPhoneのメモアプリを久しぶりに開いてみると、昔、記録した仕事の計画、料理のレシピ、旅行の行程など、いくつかある中で、唐突に「娘がかわいい」というメモがあった。

そんなことをメモしたことさえ記憶になかったのだが、その時もiPhoneのメモアプリに残そうと思うくらい、娘がかわいかったのだろう。
どんな出来事があり「娘がかわいい」と思ったのかという理由は記録されていなかったので、メモとしての役割を果たしていないが、やはり昔から娘がかわいいと思っていたことに変わりはないのだと思った。

娘がかわいいと再確認した授業参観の後は、クラス懇談会があった。クラスの保護者が集まり、学校での決まりなどを先生から伝えられる。

それで終わりかと思っていたら、最後に予想していなかったことが起こった。

先生から「せっかくの機会なので保護者の皆さんに親睦を深めてもらいたいと思います。近くに座っている保護者の皆さんで少しの時間ですがお話しをしてみて下さい」という言葉かけがあったのだ。

予想していなかったこととはいえ、保護者会で保護者が喋る機会があるというのは、よく考えれば想定ができたことではあった。

しかし、迂闊な私はそれを全く失念していたのであった。娘の授業参観日という晴れ舞台を見に行くということで気持ちが舞い上がっていたのだろう。娘が活躍する姿を見ることを期待しすぎて、自分のことを顧みることを忘れていたのだ。

この日、私は授業参観日ということで、参観に無駄にいつもと違うやる気をだして、参観に行く前に普段は食べないニンニクたっぷりラーメンというものを食べてしまったのだ。

私はニンニクは好きだが、ニンニクたっぷりラーメンを日常的に食べるようなわんぱくさんではない。しかし、この日は魔がさして、ニンニクたっぷり大盛りラーメンを食べてしまった。これもまた娘の授業参観日マジックとして後世に語り継がれる出来事であろう。

食べている時は「美味しい!美味しい!」と夢中だったのだが、食べ終わった時に異変に気が付いた。
口中がニンニクの香りで満たされている。2回歯磨きをしても、そのその香りは全く衰えをみせることがない。

保護者の情報交換の時間があり、何も話さないということはできないと知り、大いに焦り、私が喋ることでニンニク臭が教室に充満しないか気が気ではなくなった。

これはまずい。

◯◯ちゃんのお父さんはニンニクの香りをさせて、保護者会に登場したと噂が広まってしまったら娘に迷惑をかける。

毒親ならぬ毒ニンニク親になってしまう。私が毒ニンニク親というレッテルを貼られたら娘がかわいそうすぎる。

そこで、私は熟練の腹話術師のように、できるだけ口を開けないように話し合いに参加したのだ。「私はいっこく堂」と心の中で思いこむようにして、この窮地をなんとか乗り越えることにした。

ただ私には腹話術師としてのスキルは皆無なのだ、口をモゴモゴさせて、周りの人たちには何を言っているか聞き取れなかったかもしれない。しかしこれもニンニク臭を充満させないために仕方ないことである。

私は、口内から、体内の空気中にニンニク臭を漏れ出させないように細心の注意を払った。

私が喋る時間はほんの僅かだったので、なんとか異臭を放たずにやり過ごせたと思いたいのだが、周りの人たちがどう思ったのかは分からない。

しかし、最大限の努力はした。この努力が実を結んでいるかは分からないが、やらないよりはマシだったと自分に言い聞かせて、心を落ち着かせているという現状である。

この反省を鑑みて、今度の授業参観、保護者会では一週間くらい前から体内をデトックスして、身体の中からきれいにして挑みたいと思っている。

おしまい。

いいなと思ったら応援しよう!