「PERFECT DAYS」な夫|3行日記
夫の平日の余白は、90分。
東京渋谷の公衆トイレの清掃員、平山は押上の古いアパートで一人暮らしている。
その日々はきわめて規則正しく、同じことの繰り返しのなかに身を置いているように見えた。
ルーティンは孤独を遠ざけるものかもしれない。けれど男のそれはどこか違ってみえた。
夜が明ける前に近所の老女が掃除する竹ぼうきの音が響く。それが聞こえると男はすっと目をあける。少しのあいだ天井をみつめる。おもむろに起きあがると薄い布団を畳み、歯を磨き、髭を整え、清掃のユニフォームに身をつつむ。車のキーと小銭とガラケーをいつものようにポケットにしまい部屋をでる。
僕は今日、ある商品を検索するのを楽しみに帰ってきたんだ。これから90分、それが「平日、唯一の自由時間」だから。
いつも通りの夕飯を2人で並んで食べた後、夫の何気ない一言に驚いた、結婚5年目の妻。こういう驚きを感じるたびに、彼はどんなヒミツをまだ隠しもっているのだろう(大概は隠しているんじゃなくて、私が気づいていないだけなのですが)と思う日々。本当に興味深い。
彼は平日とても美しいルーティンの中で生活をしています。あまりにも美しいので、わたしは彼の動きを時間割にしています。
例えば朝のこと。私がまだ布団にくるまってモゾモゾとしている時に聞こえる音。彼が朝ご飯を準備する音がするから大体6時20分。その後に顔を洗うから、そろそろ私は寝床から起きないと彼の洗顔に向かう順路を妨げてしまう。…起きよう。という具合に。(わが家の朝ごはんの時間はバラバラ)私が毎日大体決まった時間に起床できるのは、夫の生活音のおかげと言っても過言ではないほどです。
毎日仕事は忙しそう(想像できないほどのタスクを抱えているようである)なのに、仕事もスポーツもして、人との交流もうまいこと楽しんでいる。その源は、美しいルーティーン。日々の仕事や暮らしで起こること。あらゆるものに共通項を見出し、整理し、組み立て、ルーティン化していく。ゆえに余った余剰で仕事もやりたいこともやっているとのことだった。すごい。すごいよ。うらやましいぞ、夫。
タスクは時間のブロックとして把握しているという(ASD傾向つよめな)夫の発言を、未だに全く理解できない(ADHD傾向つよめな)妻。
そんな夫も、人の子なので、すべての時間がルーティーンというわけではなく、自由な時間もお持ちな様子。それが冒頭の90分。(余白時間が90分というのも、もはやルーティーンの一部ではあるのだが)
妻「今日は何をしてるんですか?」
夫「今日は妻にあげたショルダーバッグの代わりをネットで探しています」
妻「(今夜から「ショルダーバッグを探す」というルーティーンが、この90分に埋め込まれた!)」
彼の「PERFECT DAYS」を今後も観察していきたいと思います。現場からは以上です!
おわり(1183文字)
この記事は「モノカキングダム2025」の参加作品です!
「つまずいたっていいじゃない。」 美しいルーティンで暮らす夫と注意散漫な妻の日々。
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