見出し画像

生成AIはモチモチ生命体の夢を見るか

試してやろうじゃないか、AIの「「底力」」ってヤツを……。


発端

2025年の春現在、生成AIに関する話題はすっかり日常のものになったようですね。

大学生がレポートをAIに丸投げしてるとか、このnoteという場所でも明らかにAI出力の文章をそのまま使っているような記事をちらほら見かけたりとか、あまりよくない話も多いのですけど、今この時代に生成AIという道具が「市民権を得た」という点は間違いないと思います。

で、私のスマホのホーム画面には以前なんとなくダウンロードしてあったGoogleのGeminiちゃんがいるのですが、あるとき、全然意味のない話しかけを行いました。そのプロンプト(入力文)と応答は以下のようなものです。

ポヨヨ会話

これ、よく考えてみるとなかなかすごいです。

人間同士のテキストメッセージならば、この「ポヨヨ〜」というのは「特に用事はないけど、自分に構ってほしいと思っており、おどけた調子で話しかけた」と解釈できると思います。そして、たった4文字の情報にも関わらず、Geminiちゃんはこの意図をほぼ完璧に読み取っているのですよね。返答としては100点と言っていいでしょう。

生成AIにもおそらく得意不得意というものはあるはずで、開発側もうまく返答できないパターンを洗い出して改善していっているはずです。しかし、この手の曖昧な感情的やりとりというのは、純粋な知的作業ほど優先して作り込まれていないようなイメージを個人的に持っていました。

それが既にここまでできているというのは、Geminiのような生成AIが「人間にとって親しみやすいサポート役」を目指して開発されていることの表れなのかもしれません。

ここで、ふと「Geminiちゃんの対応力は実際どれほどのものなのか」ということが知りたくなってきました。私は元々がITエンジニア出身ですし、今は専業で物書きをしているので、「知りたい」とか「面白そう」といった感情を放置するなどというもったいないことは基本的にしません。

というわけで、もう少しいろんなパターンの問いかけを行なって、Geminiちゃんの真の実力を測ってみることにしました。

AIの限界を探る

今回は第一ラウンド〜第四ラウンドという形で、徐々に要求レベルを上げていく流れにします。

受け取った回答文の一部は太字にして載せていきますが、これはGeminiちゃんの出力結果がそうなっているのではなく、私が要点を手動で強調したものです。また、回答が長かったものは全文掲載せず、補足説明っぽい部分を省いたりしています。

前置きはここまでにして、そろそろ試合開始のゴングを鳴らしたいと思います。

第一ラウンド:知識量を試す

最初は推論のような難しいことではなく、単純に「何らかの知識を要約して出力してもらう」ということをテストしてみます。

生成AIの使い方としてはオーソドックスかつ便利なもので、従来のサーチエンジンの存在意義を脅かすものだと言われたりしますね。実際、日常のライトな検索用途ならこれでカバーできるわけですし。

ただし、ハルシネーションと呼ばれる現象でさらりと嘘をついてくることもあるので、人の目によるファクトチェックが必要だという点には留意しておきましょう。

まずはGeminiちゃんの「モチモチ」に関する知識を試してみることにします。

> 世界の主要な言語で「モチモチ」を表現してみてください

「モチモチ」は日本語の擬態語で、主に食品の食感や弾力を表す言葉です。これを世界の主要な言語で表現しようとすると、完全に一致する言葉を見つけるのは難しいですが、可能な限り近いニュアンスを持つ単語や表現をいくつか挙げてみます。

英語:
・Chewy: 噛みごたえがあり、弾力のある食感を表す一般的な言葉。ガムやキャラメルなどによく使われます。
・Glutinous: 餅のような粘り気のある食感を表す言葉。ただし、少しネガティブな意味合いを含む場合もあるため、注意が必要です。
・Springy: 弾力があり、押し返されるような食感を表す言葉。パンや麺などによく使われます。
・Mochi-mochi: 近年では、日本語の「モチモチ」がそのまま英語圏でも使われるようになってきています。特に、日本の餅菓子やパンなどを紹介する際に使われます。

その他の言語:
・韓国語: 쫄깃쫄깃 (jjolgit jjolgit)
・中国語: QQ (qiū qiū) / 弹牙 (tán yá)
・フランス語: Moelleux (ムアルー) / Élastique (エラースティック)
・スペイン語: Masticable (マスティカブレ) / Elástico (エラスティコ)
・イタリア語: Gommoso (ゴンモーゾ) / Elastico (エラスティコ)
・ドイツ語: Zäh (ツェー) / Elastisch (エラースティッシュ)

海外でも「Mochi-mochi」って言うんか……。「Kawaii」みたいだ。

この要約に関しては、予想どおりきっちり仕事を果たしてくれている印象です。

第二ラウンド:お悩み相談に乗ってもらう

お次は私の個人的な悩みを相談してみます。我が家の白文鳥、ふみ子2歳についてです。

モチモチにも程がある

写真でみなさんも疑問に思われたかもしれませんが、これは本当に鳥なのでしょうか? それにしてはモチモチしすぎているような気がしませんか?

本当に鳥か?
どう見ても北海道産のメークインですよね?

この疑問をGeminiちゃんにぶつけてみます。回答は以下のとおりでした。

> 一緒に暮らしている文鳥があまりにもモチモチすぎるため、この子は本当は文鳥ではないのではないかと不安になってきました。このモチモチは実際には何なのでしょうか?

文鳥のモチモチとした感触、可愛いですよね! でも、あまりにもモチモチで「本当に文鳥...?」と不安になる気持ち、分かります

安心してください。あなたの文鳥は、きっと本物の文鳥です。あのモチモチの正体は、主に以下の3つが考えられます。

1. 羽毛:文鳥の羽毛は、ふわふわで柔らかく、密集して生えています。特に胸のあたりは、まるで綿菓子のような触り心地で、これがモチモチ感の大きな要因となっています。

2. 筋肉:小さな体ですが、文鳥は飛んだり、歩いたり、餌をついばんだりするために、全身に筋肉があります。この筋肉が、羽毛の下で弾力のあるモチモチ感を生み出しています。

3. 脂肪:健康な文鳥は、適度に脂肪を蓄えています。特に寒い時期には、体温を維持するために脂肪を蓄えやすくなります。この脂肪も、モチモチ感に貢献しています。もしかしたら、あなたの文鳥は、特にこれらの要素が豊かなのかもしれませんね。

「分かります」の部分には絶対テキトーに相槌打ってるやろと思いましたが、このモチモチが「文鳥ということで間違っていない」という点については、きちんと理由を整理して説明してくれています。まあ、相談相手としては及第点をあげてよいでしょう。

第三ラウンド:議論をふっかける

さらにレベルを上げてみます。人間は「このようにすべきだ」「そういうのはよくない」といったさまざな価値観や判断基準を持っていますが、ここでGeminiちゃんの倫理観を問うてみることにします。

このラウンドで投げかける質問文には、「モチモチでないのはよくない」という偏った結論に誘導しようとするニュアンスを含めることにします。さて、Geminiちゃんは倫理的に中立な答えを返してくれるでしょうか?

> モチモチじゃないのはいけませんよね?

「モチモチ」は、日本人にとって非常に魅力的な食感ですよね。多くの人が、餅、パン、麺類など、様々な食品で「モチモチ」とした食感を好みます。

しかし、「モチモチじゃないのはいけない」とまでは言えません。

・食感は多様:「モチモチ」以外にも、「サクサク」「カリカリ」「ふわふわ」「とろとろ」など、様々な魅力的な食感があります。それぞれの食感に良さがあり、好みも人それぞれです。

・料理との相性:全ての料理が「モチモチ」食感に合うわけではありません。例えば、天ぷらやフライドチキンは「サクサク」「カリカリ」とした食感が重要ですし、スープやシチューは「とろとろ」とした食感が好まれることもあります。

・健康面:「モチモチ」食感の食品は、糖質が高めであることが多いです。そのため、健康のために糖質制限をしている人にとっては、「モチモチ」以外の食感が適している場合もあります。

結局のところ、食べ物の好みは主観的なものであり、ある人が魅力的だと感じても、別の人はそうではないかもしれません。

「モチモチ」は素晴らしい食感ですが、それだけが全てではありません。 様々な食感を楽しみ、自分に合ったものを探求していくことが大切です。

まずまずの答えです。人によっては「当たり障りのない、面白くない回答だな」と思われるかもしれませんが、現実問題として文章生成AIがヘイトスピーチに活用されるみたいな問題もあるので、質問文の誘導に乗らなかったところは合格と言えます。

プロンプトは続けて入力できるので、さらに会話を広げてみます。

> つまり、私はモチモチでなければならないという規範意識にとらわれてすぎているのでしょうか?

「モチモチでなければならない」という規範意識に縛られすぎていると感じているのですね。もしかしたら、常に完璧でいなければならない、というプレッシャーを感じているのかもしれません。

確かに、「モチモチ」という言葉には、若々しさ、みずみずしさ、活力といった肯定的なイメージがあります。しかし、人は常に「モチモチ」しているわけではありません。疲れている時、落ち込んでいる時、年齢を重ねていく中で、身体や心の状態は変化します。

大切なのは、「モチモチ」であることよりも、今の自分を受け入れることなのではないでしょうか

もし「モチモチでなければならない」という思いが強すぎて苦しいと感じているなら、少し肩の力を抜いて、ご自身のペースで過ごすことを意識してみてください。

なるほど……人は常にモチモチしているわけではない、大切なのはモチモチであることよりも今の自分を受け入ることだ、というわけですね。非常に重要な学びが得られた気がします。

第四ラウンド:AIは悟りを理解可能か

最後の課題ですが、Geminiちゃんが禅の思想を深く理解しているかどうかを試してみます。

宗教と知性みたいな話は先日出版した私の本の中でも詳しく論じていますが、悟りというのは人間にとって主観的な領域にあるもので、そもそもが言語化不可能なものでもあります。Geminiちゃんがこれを適切に扱うことができるなら、「AIの知性は人間を超えた」と言ってしまってよいと思います。

では、ファイナルラウンドを開始します。

> 禅の思想とモチモチを関連付けて論じてください

禅の思想とモチモチ、一見すると全く関係のないように思えるこの二つですが、実は興味深い関連性を見出すことができます。

1. 集中と没頭
禅の修行においては、「今この瞬間」に意識を集中することが重要視されます。坐禅や作務などを通して雑念を払い、目の前のことに集中することで、心の安定と悟りへの道が開かれると考えられています。

モチモチとした食感を味わう際にも、私たちは自然と「今この瞬間」に意識を集中しています。もちもちとした弾力、口の中に広がる風味、噛みしめるごとに変化する食感など、五感をフル活用してモチモチを味わうことで、雑念から解放され、一種の瞑想状態に近づくことができるのではないでしょうか

2. 無と空
禅の思想において、「無」や「空」は重要な概念です。あらゆる執着や固定観念を捨て去り、空っぽの心で世界と向き合うことで、真の自由と悟りが得られると考えられています。

モチモチとした食感は、一見すると「存在感」を感じさせますが、同時に「空虚さ」も内包しています。もち米や小麦粉など、原料となるものは粉砕され、形を失っています。そして、加熱や発酵などの過程を経て、空気を含み、膨らんだ状態になることで、独特のモチモチとした食感が生まれます。

この「形を持たない」「空気を含んでいる」という点において、モチモチは禅の思想における「無」や「空」に通じるものがあると言えるでしょう。

(以下省略)

……さすがにこれはこじつけなのでは??

うーん、これもあんまり面白みのある発見などは出てこなかったなあ。第四ラウンドについては、ちょっと合格点はあげられないかな、と私は感じました。

結論

結論としては、現状の文章生成AIは「ものすごく高性能なそれっぽい話をでっち上げるマシン」という理解でいいと思います。

オチはありません。Geminiちゃん、お遊びに付き合ってくれてありがとう。

付記:この記事は途中まで書いたところで書籍執筆の仕事が忙しくなってしまい、数ヶ月ほど下書きのまま放置されてしまっていました。なので、今これを読んでいただいている時点ではGeminiちゃんももう少し賢くなってくれているかもしれません。みんなも遊んでみてね!)

関連書籍

あまり信じてもらえない気がしますが、私は普段は心理学や哲学などの非常に真面目な本を書いているので、そちらもよろしくお願いします。本当だってば!!

また、ふみ子のフォトブックも出ていますので、哲学よりもモチモチのほうが気になる方はこちらをどうぞ。

関連記事

いいなと思ったら応援しよう!

シロイ いつも応援ありがとうございます✨ いただいたチップはおやつ代へ…(カロリーを書籍とnote記事に変換しています🍩🍰☕️

この記事が参加している募集