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蝶つがい


手を伸ばして拾おうとしても

まるで、波を味方につけているかのように、水に乗って
海の向こうへ消えていった


僕が子供の頃
薄くて綺麗な、桜色の桜貝を拾ってポケットに入れた

ついつい遊びに夢中になって、ポケットに入れた桜貝の事など忘れてしまって
夕日が僕の足元を照らした頃
ふと思い出して、ポケットに手を入れる


桜貝は、見事なほど粉々になっていて
僕は、その桜貝をポケットからパラパラと砂の上に落とし赤い海を後にした



あなたには拾われたくないの
だから波を味方につけて、体をよじって、せめてもの抵抗した

あなたに拾われるくらいなら
私は暗い海をひとり彷徨ってもいい

嵐に襲われ、岩に打ち付けられ
バラバラに砕かれてもいい

深海の砂に埋もれて忘れ去られてもいい


少しくらいの欠けなんて平気だろうと
接着剤で直せばいいじゃないかと
そんな事を言うあなたのところには行きたくはない


体を捩って、海の中へ
せめてもの抵抗をする




自分を大切にはしてくれない人

それは学びのように、誰しもが出会ってしまう時期があるもの
そう、外に出て大きなスズメバチに出くわしてしまうようにね


それでもいいから、その人と居たい
とそう言えるのは盲目的だと大人になり気付くものです

年齢を重ねて、これからを生きる子供に母として教えたい人生訓があるとしたらこんなことでしょう

『とにかく、自分を大切にして。
自分を大切にしない人を選ぶところなんて見たくはないわ
悲しいじゃない』
そう、心で伝えて行かないとと



桜貝だって、体を捩って逃げ出したの
だから、自分を大切にしてくれる場所に着くまで彷徨っても歩きなさいと
そして、あなたはその誰かを同じように大切に出来る力をつけなさいと

どうか、自分を大切にしてほしい
そして、互いに大切にし合える人と生きてほしい

本当の願いなんて、きっとこれだけのはずなんです


寂しいから、誰でもいいから
そんな風には、どうか自分を犠牲にしてしまわないで

蝶番で繋がった半分を見つける様に出会って



Kotoba to shiroimi

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