日本では自立した大人、アメリカでは赤ちゃんな私
日本にいた時、子どもに関わる手続きはだいたい私がやっていた。
子どもが熱を出せば小児科に連れて行き、
定期的に歯医者にも通わせていた。
保育園に入る時には市役所に行って情報を集め、
必要な書類も全部自分で揃えた。
それ以外のことだって、大抵は一人で対応できた。
家族の集まりのレストランを予約すること。
エアコンが壊れた時に修理を依頼すること。
車の点検のためにディーラーへ行くこと。
必要ならレンタカーを借りること。
日本で、私は自立した大人だった。
でもアメリカに来た途端、状況は一変した。
言葉の問題だけではない。
生活の仕組みそのものが分からない。
保険はインネットワークの病院でなければ高額になる。
処方箋を受け取るだけでも戸惑う。
学校では聞き慣れない行事ばかり。
テレビを配送してもらったら、チップは払うべきなのか。
スーパーには牛乳だけでも何種類も並んでいて、
どれを選べばいいのか分からない。
毎日が、分からないことだらけだった。
まるで自分が、何もできない赤ん坊になったような気分になる。
銀行で追加書類が必要だと言われた時。
薬局で「もう一度処方箋を送ってもらって」と言われた時。
ホテルに予約内容を確認したい時。
どれも私には難しくて、到底対応できないことのように感じた。
結局、すべて夫が対応してくれた。
これまで出来ていたこと全てがとても高いハードルに思えた。
日本ではあんなに簡単だったのに。
何でも自分でできたのに。
そういうことが重なると、
体が重くなって、何もやる気が起きない日がある。
気づけば、
角栓が抜ける動画と、指から膿を出す動画を
延々と行ったり来たりして一日が終わっていたりする。
この定期的に訪れる無力感から抜け出す方法は、
語学力を上げることだけではないのだろう。
まだ答えは分からない。
でも、少しずつだけど進んでいくしかないのだ。
