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しろくま・メンタルクリニックの理念 院長大熊より

私は何を考えてしろくま・メンタルクリニックを開業し、何を目的に行動しようとしているのか

みなさま、はじめまして。
私は二俣川駅徒歩1分のところにしろくま・メンタルクリニックを2024年に開業しました。二俣川はハブ駅であり、人々が通いやすいようにと願ってこの場所を選びました。
主に2階で診療をしていますが、足が悪い方のために1階でも診療をしています。また、車椅子の方や赤ちゃん連れの方が使うことができるトイレも設置しております。
ではなぜ、私はメンタルクリニックを開業したのでしょうか。

私はいままでの経験から、日本は一度「人生のレール」と考えられているところから外れたら、なかなかもとに戻ることができない社会だと感じています。その外れる理由はいろいろあるでしょう。
しかし、たとえば病気で長く休職した方が、「もう元には戻れないのでは」と感じてしまう。
そんな空気が、日本社会には根強く残っていると私は感じています。

特に、最もメジャーな精神疾患である、うつ病や双極性障害などの気分障害や統合失調症などで長く休職している方に対する視線は、いまだに厳しいものです。

けれど、気分障害も統合失調症も決して特別なことではありません。
気分障害は11人に1人が経験するとされています。例えば40人のクラスには3~4人ほどはいるということです。統合失調症は100人に1人は発症します。たとえばクラスが3つほどあったら必ず1人はいる、ということです。つまり、これは誰にでも起こりうるものです。
それなのに、つらさを抱えても「精神科の薬をのんでいるのがバレたらこわい」「休職すると周囲の目が気になる」「もう、もとのように働くことができなくなるのではないかと心配」
そんな声を多く聞きます。
私は、精神科医として、心が痛みます。

なぜ、人は「いったん道から外れたらもとの生活に戻れない」と感じてしまうのでしょうか。
それには、住まい仕事という、生活の基盤が大きく関わっています。

実際、精神疾患に対する偏見は今なお存在し、症状が落ち着いても、住まいや仕事の確保が難しいという現実があります。その一方で、社会の仕組みや精神疾患への理解が、そこまで追いついていないことが問題だと私は考えています。

回復の足を引っ張る、「住まい」の壁

退院できる状態なのに、住む場所がないために退院できない─
そうした声を、私は勤務医として働いている病院で幾度となく聞いてきました。
精神疾患があるという理由だけで、入居を断られることもあることを私は何度も経験しています。
私は学会でパネリストの先生方に尋ねたことがあります。「先生方は、帰る家がないばかりにずっと入院している患者さんたちをたくさん見て来られたはずです。そうした方々に対してどうされているのですか?」と。ある先生は、ご自身の名刺を不動産屋さんに配っているとおっしゃいました。ソーシャルワーカーが不動産屋に頼み込むこともあるようです。それでもなお、なかなか行くところがない患者さんたちがおられるのです。
この状況を少しでも変えたいという思いから、私は、ザ・ノンフィクションなどのテレビにも取り上げられている不動産業者兼精神保健福祉士の齋藤瞳さんをソーシャルワーカーとしてお迎えしました。
福祉と住宅の両方に精通した齋藤さんと共に、精神疾患を抱える方が安心して暮らせる住まいを少しずつ増やしていく取り組みを進めています。

「仕事に戻る」ための環境づくりも模索しています

また、私は現在、企業との連携による復職支援にも関心を持っています。
精神疾患を経験した方が復職しても、定着できなければ意味がありません。実際、復職後すぐに再発してしまうケースも多く見てきました。

その理由のひとつは、復職のロードマップが会社ごとにバラバラであること。たとえば環境が合わなかったことが病気のきっかけだったのに、「元に戻る」以外の選択肢が提示されない。
これでは回復しても、再びつらくなるのは当然です。

だからこそ、私は企業向けに復職ロードマップを提供し、
「戻れる職場」を一緒につくっていきたいと考えています。
定着率を高めたい企業と連携し、働く人のその後を支える―
それも、私の診療の大切な一部です。

とくに、復職後の定着率を高めたい企業に向けて、
実効性のある復職ロードマップの形を模索しているところです。

心身が整った後も、戻る職場の体制が整っていなければ、再発につながることも少なくありません。
「戻ること」ではなく、「定着すること」こそが、真の支援になると考えています。

さまざまな疾患の勉強会を開催しています

先に、まだまだ精神疾患に対する偏見がある、と書いてしまいましたが、実際のところ、精神疾患について知られていないからこそ「こわい」という偏見があるのではないかと考えています。

だからこそ、私はメンタルクリニックの1F部分をカフェ仕様にし、勉強会ができるようにしました。
齋藤さんとともにいろいろな方をゲストとしてお呼びし、「しろくまラウンジ」として勉強会を不定期で開催しています。
また、女優の遠野なぎこさんには、摂食障害の勉強会のみならず、「居酒屋なぎこ」として、同じ疾患をもつ方々をお呼びして食事会を開催していただいたこともあります。

精神疾患を考えるための映画を上映することもあります。
また、齋藤さんが主催するノンアルコールバーや、食事会も開催しています。今後もいろいろ企画し、インスタ等で告知しますのでぜひ参加をしていただけたらと思います。

医療の枠を超えて、「暮らし」を支える精神医療を

当院では、以下のような精神疾患に幅広く対応しています:
気分障害(うつ病・双極性障害など)
統合失調症
発達障害
強迫性障害
慢性疼痛(身体表現性障害などを含む)

そして、薬が効かない方、薬を使いたくない方のために、
自費診療として以下の治療も提供しています。

■ rTMS治療(18歳以上の方限定)

磁気刺激による非侵襲的な治療法です。
当院では、以下の疾患に対して実施しています:
・気分障害(うつ病など)
・慢性疼痛
・強迫性障害(OCD)

TSプロトコール(トラウマ、PTSD治療)

パルサーという専用の機器を用いた、杉山登志郎先生が編み出されたトラウマ、PTSDに対するアプローチです。トラウマ、PTSDを背負って生活をされている方々が非常にたくさんおられることを日々の診療で痛感しています。TSプロトコールはトラウマやPTSDに起因する反応や心身の不調に対してやさしくアプローチする治療法です。漢方を服用することも大事な治療の一環となります。

人が「暮らしを立て直す」ための医療へ

私は、単に診断し、薬を出すことが精神科医の仕事だとは思っていません。
「住まい」や「仕事」といった生活の基盤も含めて、
人がもう一度立ち直っていくプロセスに寄り添うのが、
これからの精神医療だと信じています。

もし、いま社会との接点を見失いかけている方がいたら、
どうかひとりで抱え込まず、一度ご相談ください。
戻れない社会ではなく、戻れる場所を一緒につくっていきましょう。

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