やさしいどろぼう(秋ピリカグランプリ)
やさしいどろぼうがいました。
やさしいどろぼうはお金も家もありません。
そしてしごとも家族もともだちもいません。
だから泥棒をします。
でもやさしいどろぼうは泥棒にはいっても、家の人がかわいそうになってしまい何も取らずに逃げてきます。
そしてどろぼうは必ず「泥棒にはいりました。でも何も取っていません。ごめんなさい。」と手紙を置いて逃げました。
どうしてもお腹がすいてしまったとき、食べ物を盗みに泥棒にはいります。そしてテーブルの上のパンを見つけ盗みました。しかし、お腹をすかせたその家の猫がニャーとそばによってきたので、どろぼうは盗んだパンを猫にあげました。
どろぼうは「パンを盗みました。でもそれは猫にあげました。ごめんなさい。」と手紙を置いて逃げました。
秋になり、だんだん寒くなってくると毛布がほしくなるので毛布を盗みに泥棒に入りました。
そして、毛布をもってその家を出るとき、居間でウッカリうたた寝をしている家の人をみかけて、「こりゃ風邪をひいてしまっては大変だ。」と、盗んだ毛布をかけてあげました。
どろぼうは「毛布を盗みました。でもあなたが風邪をひかないようにかけてあげました。ごめんなさい。」と手紙を置いて逃げました。
ある日。
どろぼうは大きな家に泥棒に入りました。
どろぼうはキッチンでリンゴを見つけました。
そしてそれを食べようとしたとき、二階の部屋から「ゴホンゴホン」と声が聞こえてきました。
そっと行ってみると、子供がとても苦しそうにしているのがみえました。
どろぼうは「これはたいへんだ!」とキッチンに戻って氷まくらをつくり、盗んだリンゴをすりおろし、牛乳とお砂糖も盗んでトロトロのあまいスープを作りました。
子供はとても苦しそうでしたが、どろぼうがつくったスープがとても温かくておいしかったのと、どろぼうがとてもやさしく看病をしてくれたので、すっかり笑顔になることができました。
どろぼうは「子供に食べさせるため、リンゴと牛乳とお砂糖を盗みました。ごめんなさい。」と手紙を置きました。
家の人がガザゴソと起きてきたので、どろぼうはそおっと音を立てないようにして、しずかに窓から逃げました。
次の日。
昨日の子供が心配だったどろぼうはまた同じ家に泥棒に入りました。
子供の部屋をのぞくと、子供は静かな寝息をたてて、おだやかに眠っている姿がみえました。
どろぼうはとても安心しました。
そして、せっかくきたので泥棒をして逃げようとキッチンに行くと、テーブルの上におむすびとリンゴとそして、手紙が置いてありました。
さんたさんへ。
おいしいスープをありがとう。
手紙にはそう、書いてありました。
どろぼうは泣きながらおむすびとリンゴを食べました。
そしてどろぼうは、もう二度と泥棒をすることはなくなりました。
1,137文字
おしまいです。
よろしくお願いいたします。
