見出し画像

白いカラス

森の町18丁目には白いカラスが住んでいるという。


リオンさんはこの町で60年、毛糸屋さんを営んでいる。
リオンさんのおばあさんが営んでいた毛糸屋さんをリオンさんが引き継いでから30年。受け継いだ頃は毛糸を売るだけでよかったが、だんだんとそれだけではやっていけなくなってしまったのでリオンさんは自分で編んだセーターも売るようにして店を続けていた。

今年もいつものようにハタオリドリがやってきて店の軒下に見るも美しい巣を作り上げる。

「今年も見事だね」
リオンさんはハタオリドリにそう声をかけた。

リオンさんが編むセーターもハタオリドリが作り上げる巣のようにとても美しくそして長持ちすると評判だった。そのおかげでなんとかこれまで店を続けることができてきたが、最近、だんだん目が見えにくくなっていた。
そのせいか、編み物をするとすぐに疲れてしまっていたのだ。リオンさんは「歳のせい」と半ばあきらめていたが、なんとかこらえてがんばって店を続けていた。

「リオンさん、18丁目に住むカラスなんですが」
ハタオリドリがリオンさんに声をかけた。
「あぁ、森の町の?」
「はい、実はそのなかに1羽だけ白いカラスがいるらしいんです」
「あら、白いカラス?」
「そのカラス・・・・。」

リオンさんがハタオリドリから相談をうけた翌日。
白いカラスのブランシェが店を訪れた。


ブランシェはハタオリドリが言っていたようにまるで雪を着ているかのように美しく真っ白いカラスだった。そしてアルビノの特有のその目はキラキラと透き通り美しい赤色だった。
でもよく見ると白くて美しいはずの羽はどこかくすんでいるようで、透き通ってキラキラと見えたその目は実は涙で濡れていたのだった。

リオンさんはブランシェに水と花の種をあげた。

黒が当たり前だと思われているカラスのなかでブランシェは一人真っ白で、「おまえがいるとこの森の町に災いがおこる」と家から出ることを禁じられているのです、とブランシェは話した。
ブランシェをかわいそうに思ったリオンさんは「ここにずっといなさい」とやさしく言った。その時ブランシェの赤い目に溜まっていた悲しみの涙が「ポロリ」とこぼれ落ちた。
ブランシェはとてもうれしかったのだ。


ブランシェと住むことにしたリオンさんはブランシェにセータを編んであげた。真っ白なブランシェに赤や黄色、緑や青、いろんな色のセーターを編んであげた。リオンさんが編むセータ―を着るブランシェの表情はみるみる明るくなり、いつの間にか店の人気者になってリオンさんの店はとても賑わっていた。


しかし。
リオンさんの目はもう限界だった。
歳のせいだと見えにくくなっていたリオンさんの目はどんどん悪くなっていて、右目はもうすっかり見えなくなっていたのだ。

「ブランシェ、もうお前にセーターを編んであげるのはあと1枚が限界かもしれないよ」そう言うとブランシェは「リオンさん僕はもうたくさんセーターを編んでもらった。だからもう大丈夫。それよりも僕はここでいつまでもリオンさんと一緒に暮らしたいんだ」

そう伝えた。
ブランシェは歳をとったリオンさんを心から案じた。

「ブランシェ、でも私はあと1枚だけ編みたい色があるのだよ」
ブランシェはリオンさんの優しい心にうたれリオンさんが自分のために編み進めるその手を白い羽で温めてあげた。




リオンさんの毛糸屋さんが閉店してからも、ハタオリドリは毎年やってきて店先に巣を作る。
だからどんなに時が経っても、リオンさんの毛糸屋さんは古びていくことは無かった。


ブランシェはリオンさんに最後に編んでもらった黒色のセーターを着て、森の町18丁目で今も静かに暮らしているという。



「ブランシェの黒」

三羽 烏さんのカラスにちなんで考えたお話です。
それから、このお話に絵を描いてもらいたくてちよさんの企画にも参加しちゃいます!

ちよさんの絵のファンなので楽しみです(*´艸`)

ちよさんにイラストを描いてもらいました!
ヘッダーに使わせてもらえて嬉しいです!

ちよさん!ありがとう|*´∀`)ノ゛アリガトウゴザイマス

よろしくお願いいたします。





いいなと思ったら応援しよう!