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【警鐘2】肖像権のリスク——「権利を有したデータのみ」確認画面、考えて押しましたか?品質管理の視点から



先日、同じ部署のメンバーから相談を受けました。
Geminiを初めて操作した時に表示された確認メッセージ。

「全ての権利を有したデータのみをアップロードしてください」

という趣旨の内容に、手が止まったというのです。

「これ、『はい』でいいんですか?『全ての権利』って言われると、なんか抵抗あるんですけど」

そう言われて、私もドキッとしました。なるほど、確かに。

多くの人が反射的に「はい」を押すこのボタン。しかし品質管理のプロとして言わせてください。この「なんか抵抗ある」という感覚こそ、現場で最も大切なセンサーです。
前回の記事(個人情報・機密情報編)に続き、今回は業務上よく扱う「肖像権」について見ていきます。

※前回の記事、個人情報や機密情報等についてです。↓


1.法律・ポリシー・運用リスクは「別の問題」

肖像権の話をする時、この3つを混同すると判断を誤ります。

  • 法律上の問題

  • ポリシー上の問題

  • 運用上のリスク

この3つは別物です。それぞれ順番に整理しましょう。


2.法律上:業務で扱う販促物は「問題ない」場合が多い

私の業務上、販促物のチェックとして、AIに読み込ませることがあるかもしれません。販促物で関連しそうなものにこんなものがあります。

  • お客様の声(顔写真付き)

  • 監修シェフの顔写真

  • メーカー販促物に掲載された芸能人の画像

これらは、広く一般に複製・配布されることを前提として作られた素材です。法律上は、その性質上、第三者への引き渡しや複製も許容されている範囲と考えられます。
ただし、「お客様の声」に個人の連絡先や氏名などの個人情報を含む場合は別の話です。前回の記事で触れた通り、そこは必ずマスキングを行ってください。


3.ポリシー上:Geminiに明示的な禁止はないが「懸念」は残る

Geminiのポリシーを確認すると、肖像権については、明示的な禁止項目として記載されていません。
しかし、ここに一つ懸念が残ります。「著作権」と「肖像権」は別の権利です。著作権がクリアであっても、肖像権の扱いがポリシー上どう解釈されるかは、グレーゾーンが存在します。
説明を求められれば「業務上適切に管理された素材です」と答えられる状況であっても、ポリシーの自動監視システムが同じ判断をしてくれるとは限りません。


4.運用上のリスク:「正しくても止まる」可能性がある

これが今回、最も伝えたいことです。
多くのITサービスでは、ポリシー違反を自動システムで監視しています。人の顔が含まれる画像をアップロードした際、システムが「肖像権上の問題あり」と自動判定し、説明の機会もなくアカウントが停止される可能性があります。
つい最近、X(旧Twitter)でのアカウント凍結が頻発していることが話題になりました。同様のことが、業務で使っているAIツールで起きた場合、その日の業務が止まります
「法律上は問題ない」は、自動判定への反論にはなりません。問題は、止まった後の対応コストです。


5.実務上の判断基準:HACCPの「リスク評価」で考える

法律・ポリシー・運用の3つを踏まえた上で、業務でどう判断するかを整理します。


6.結論:「正しい」より「止まらない」を選ぶ

品質管理の現場では、「問題ないはずだ」という判断よりも、「問題が起きないようにする」設計が優先されます。
業務でAIを使う上でも、同じ発想が必要です。
法律上問題のない素材であっても、自動判定によるアカウント停止リスクを避けるために、人の顔が含まれる画像は事前にマスキングする。これが現時点での実務上の推奨です。
「正しいかどうか」と「止まらないかどうか」は別の問いです。業務継続の観点から、より安全な方を選んでください。


✅ 入力前チェックリスト(肖像権・権利確認版)


メンバーが感じた「なんか抵抗ある」という違和感は、正しいセンサーでした。
AIは強力なツールですが、投入するデータの安全性が担保されていなければ、業務上のリスクを自ら招くことになります。送信ボタンを押す前の「3秒の確認」が、業務継続を守ります。

※法律の解釈については個々の状況により異なります。ケースバイケースです。重要な判断が必要な場合は、専門家にご相談ください。


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