『HEADS or TAILS ?』第2話
舞台は昔の静流の家
階段を上がった2階は、廊下が左右に伸びており、左に寝室、階段を上がった正面と右の廊下の先に部屋がある。
静流は12歳
ドカッ‼︎
静流「…ん?」
布団で寝ていたが、大きな物音に目が覚める。部屋は明かりがついていて、静流の隣の布団にいるはずの父親がいない。
静流「父さん?」
静流が寝室のドアを開けると、廊下で知らない誰かが上裸で戦っているのを背後から見る。左肩に刺青がある。
男「はぁ、はぁ。なかなか楽しかったぜ〜。ここまでやるとは予想外だな〜。」
静流「(誰?)」
静流がドアの隙間から様子を伺う。男の奥で父親が血を流しながら壁にもたれて座っているのが見える。
静流「(父さん‼︎)」
父親「はぁ、はぁ…」
男「最後のチャンスだ〜。[父親の胸ぐらを掴み、首元に刃物を突きつける]ELをどこにやった‼︎」
父親「EL?何のことかわからんな。」
男「惚けんじゃねぇ‼︎」
ドカッ‼︎[男が父親の腹を思いっきり蹴る]
静流「(父さん‼︎[ドアの隙間から左手を出し始める])」
男「磁力の能力だ‼︎あの能力が何かわかってんだろ‼︎」
静流「(‼︎[左手を出すのを途中でやめる]…やっぱり使うべきじゃないか…父さんが磁力で助けられることを望むわけがない…)」
父親「…あぁ、もちろん。またお前らの苦しむ顔を見られるのが楽しみだな‼︎」
男「‼︎」
男が父親の首を切る。
静流「[驚愕する]父さん‼︎」
男「[振り向く]誰だ‼︎」
男は仮面マスクをしており、静流を見て、歩いてくる。静流は恐怖で動けない。静流の前で立ち止まり,ドアを全開に開ける。
男「なぁ、ガキ。ELがどこにあるか知ってるか〜?」
静流「い、EL…?」
男「磁力の能力を使ってる人間を見たことがないか〜?」
静流「…」
男「それか〜…お前がその能力を持ってるのか〜?」
静流「…‼︎[そっぽを向く]え、さ、さあ〜何の話だかわからないな。」
男「本当に知らないのか〜?」
静流「う、うん…」
男「…なるほどな〜。」
カチャッ[静流に銃を向ける]
静流「‼︎[口を開けて尻餅をつき、後退りする]」
男「面白い話をしてやるよ〜。銃弾の素材は普通鉛でできているが、ここだけは違う。全部鉄製なんだぜ〜。輸入できない代わりに、ある天才が作った拳銃が出回っているからな〜。その天才はある能力を持っていたから鉄製にしたんだ〜。…さ〜て、話は終わりだ〜。死にたくないのなら、お前の取るべき行動がわかったよな〜?」
静流は汗を流し、険しい顔をする。
男「3〜…2〜…1〜…0〜‼︎」
パンッ‼︎[男が静流に向かって発砲する]
静流がベッドで飛び起きる。髪が白黒になっている。
静流「[汗だく]はぁ、はぁ、はぁ…[両手を何度もグーパーする]生きてるのか…?ぐっ‼︎[撃たれた左腹に包帯が巻いていて、そこを左手で抑える]…嫌な目覚めだな…」
舞台は静流の家の3階の寝室
寝室のドアのすぐ前には白のベッドがあり、その横にタンスがある。反対側の横には大きな窓がある。
静流の横から汗拭きタオルを差し出される。
静流「え?」
静流が横を見ると切ったリンゴを食べている穂希がいる。
穂希「ほら、汗拭かないと風邪ひくよ?」
静流「お、おう…[タオルを受け取る]」
穂希「変な夢でも見てた?」
静流「[汗を拭く]い、いや、別に夢じゃ…」
穂希「そっか。[フォークにリンゴを刺して差し出す]はい。」
静流「あ、サンキュー。」
静流がリンゴを食べようとするが、穂希が引く。
穂希「ち、違う‼︎アーンじゃないから‼︎自分の手で持って食べて‼︎」
静流「お、おう。すまん。[フォークを受け取る]…俺どれぐらい寝てた?」
穂希「5日ぐらいかな。」
静流「そうか…漣が助けてくれたのか?」
穂希「ううん。あの警官がドアを開けてくれた時に、『岩ちゃんは死んでないから、早く治療して寝かすよ。その後は見守ってやってほしい』って言われたの。」
静流「そうか…漣もサンキューな。」
穂希「[髪の触覚をイジりながら照れる]べ、別に私は大したことはしてないよ。」
静流「そうか。俺を殺したかったんじゃなかったのか?」
穂希「君を見てたら、君が殺したかのように思えなくなってきたの…君は本当に人を殺したことがあるの…?」
静流「[笑う]はは。面白いこと聞くんだな。そんなこと、初めて言われた。」
穂希「(笑った…)私を殺した方が君には利益があるはずでしょ?なんで私を助けてくれたの?便利屋にいたときだって…」
静流「助けないとは言ってない。匿わないと言っただけだ。まあ、タバコのお礼だ。」
穂希「なんで匿ってくれないの?」
静流「…大切な人はもう失いたくない。お前が俺にとって大切な人になってほしくないんだ。」
穂希「でも君は1人では生きられないって言ってたじゃん。大切な人が1人もいなかったらずっと1人だよ?」
静流「[笑う]フン。確かに矛盾してる。」
穂希「大切な人が死ななければいいんじゃないの?」
静流「そうだな。」
穂希「…[髪の毛をイジりながら静流と目を合わせないように横を見る]わ、私なら死なないよ?強いから。」
静流「[穂希を見て微笑む]そうか。[ベッドを降りて立ち上がる]それなら、お前を匿うのもアリなのかもな。」
静流がパーカーを着て、寝室のドアを開ける。
穂希「どこ行くの?」
静流「最後の便利屋の仕事だ。」
穂希「そんな体で?」
静流「出勤するだけだ。どーせ仕事なんかない。最後の挨拶も必要だ。」
穂希「そう?それじゃあ、いってらっしゃい。」
静流「[振り向く]え?」
穂希「ん?」
静流「あ、いや。俺が帰る前にこの家から出ろ。」
穂希「え、なんで?私ここにいるよ?」
静流「は?」
穂希「いやだって、匿うのアリって言ったじゃん。」
静流「言っただけだ。断言してない。」
穂希「ご飯作って待っとくから。ね?」
静流「…はぁ。勝手にしろ。」
穂希「ツンデレ。」
静流「違う。次言ったら追い出すぞ。」
穂希「はいは〜い。」
静流「[ポケットを漁る]なぁ、タバコ知らないか?」
穂希「[タバコを取り出す]これ?」
静流「それだ。」
静流がタバコを取ろうととすると穂希が避ける。
穂希「タバコは体に悪いよ?病気なら尚更ね。」
静流「気づいてたのか。」
穂希「まあね。私、医者志望だったから。一緒にいるなら、タバコやめてほしいな〜。[タバコを渡す]」
静流「やめるつもりはない。」
穂希「そっか〜残念。あ、そうそう。静流、笑った方がかわいいよ〜。」
静流「別にかわいくなくていい。」
穂希「え〜私は笑ってほしいな〜。」
静流「勝手に思っとけ。」
穂希「いじわる。」
舞台は便利屋
静流が仕事表で仕事の有無を確認している。
華山「[奥から歩いてくる]静流ちゃんさ〜昨日やめるって言ったのになんで今日来たの〜?もうこの事務所片付ける準備してるんだけど〜?」
静流「今までの感謝の挨拶に来た。」
華山「へぇ〜…[静流の頭を見続ける]……」
静流「どうかしたか?」
華山「静流ちゃん、髪の毛なんで白黒なの?」
静流「え?」
華山「あれ〜?黒じゃなかったっけ〜?」
静流「白?[鏡で確認する]う、うそ…白黒…」
華山「ま、いいや〜。それよりさ〜仕事早く全部済ませたいからさ〜[大量の書類を指差す]あそこに置いてる書類だけやってよ〜。俺、出張サービスしなくちゃだから。あ〜世間のヒーローもいいことばっかじゃないね〜。」
静流「[鏡を見続ける]…」
舞台は静流の家。
外の階段を上って2階の玄関を入った目の前のドアを開けた先のリビング。左に食卓があり、そのさらに左にキッチンがある。ドアの前にソファがあり、ソファの前にテレビがある。
家を出てから少し時間が経って、静流が帰ってくると穂希が料理をしている。
穂希「お帰り〜。ちょうどご飯出来たから準備するね。」
静流「[パーカーを脱ぎ、窓を開ける]ああ。」
穂希が食卓にカレーの皿を持っていき、2人が向かい合って食卓に座る。
穂希「冷蔵庫の食料の余りものだからカレーしか作れなかった〜。」
静流「好きだから問題ない。」
穂希「よかったよかった。いただきま〜す。[食べ始める]」
静流も手を合わせて食べ始めるが、すぐスプーンを置いて、水を飲む。
静流「なぁ。これはカレーなのか?」
穂希「うーん。なんか違うね。」
静流「うん、不味い。食えたものじゃない。」
穂希「そ、そう…ごめん…か、片付けるね。今日はカップラーメンでも食べよっか。[立ち上がって静流のカレー皿を取ろうとする]」
静流が穂希の腕を握る。
穂希「ど、どーしたの?」
静流が穂希を床に押し倒す。
穂希「ちょ、ちょっと‼︎」
静流「[笑う]任務完了〜。」
静流が顔のマスクを外すと、華山が出てくる。
華山「お宝は時間が経つほど価値が上がるんだよな〜。」
穂希「か、華山‼︎」
華山「俺の演技どーだった〜?昔とは違うだろ〜?」
穂希「もしかしてアンタが静流の…‼︎」
華山「あれ?気づいちゃった〜?まあいっか。[気味悪く笑う]そうだ。俺がアイツのフリして殺し回ってたんだよ。」
穂希「…‼︎[能力を使おうとする]」
華山「そんな簡単に能力は使えないよ〜。ほら、窓空いてんだろ?静流ちゃんも俺の仕事してくれてるし〜、家の前には部下もいるから助けに来ねぇよ〜。」
穂希「…[下唇を噛む]」
穂希「あ、安心して、別に殺すつもりはないから。お前をサツに渡してお金もらったら終了〜。ね?殺さないでしょ?」
穂希「お父さんも君が⁉︎」
華山「…それは…」
ドアから誰かが入ってくる。
華山「警察か〜。」
?「珍しく店前で開店待ちしてる人が多いなって思ったら…」
穂希と華山がドアの方を見る。
穂希「‼︎」
華山「‼︎」
静流「ただの営業妨害か。クチコミまで営業妨害してなくてよかったが。」
